崩壊の鍵 1
五章:崩壊の鍵
第四発電施設へ向かう車の中。
不愉快そうな表情を浮かべていたルドルフは、不意に頭を抑えた。脳内通信が来たのだ。
仲間の死の連絡でないことを祈りながら、同士の連絡を受けた。
「脳内通信……5、4、3……1。接続しました。リーダー、第三発電施設にて私たちと敵対……コンピューター側のミュータントを予知しました。敵の能力はもう少し近づかないと分かりません。どうするべきですか? 殺すべきですか?」
ミュータントという単語に、ルドルフはぴくりと身体を揺らした。
そしてすぐに思ったことを伝える。
「殺すな! 僕らは【ランプロス】……ミュータントを守るための組織だ。きっとそのミュータントは洗脳されているに違いない。でないと一番の敵であるコンピューターに付くなんて有り得ない!! 捕獲できるか?」
「魅了が効くなら容易です。効かない場合はメンタルブラストでショックを与えるしか方法はありませんが……それだと下手をすれば殺してしまいます。ギルベルクじゃなくて私が死んでいれば……」
【ランプロス】の一人は自身の無力さを恨み嘆いた。
「そんなことを言うな!」
「言ってはいませんよ。思っただけです」
「屁理屈を思うな、聞こえてるから同じだ。とにかくなにかあったら随時連絡してくれ。僕も発電施設へ移動中だ。よっぽどのことがない限りは連絡に応えられるはずさ。……敵ミュータント捕縛も無茶はしないでくれ。お前らの命の方が大切だ」
「リーダー……嬉しいです! 私、頑張りますね! リーダーも頑張ってください! ……でも能力の使いすぎはしないでくださいね。これ以上リーダーが大切な思い出を忘れるところを、私は見たくないんです」
「残念だがそれはできない。僕はミュータントたちの希望の光じゃなきゃ駄目なんだ。だから瞳を暗くするなんてありえない。たとえ身体が電気で焼け焦げようと、思い出に霧が掛かってもだ。…………ミュータントの未来のために! 僕は過去も現在も捨てよう! たとえ何があろうとも! 必ずやミュータントだけの……いや、ミュータントも暮らせる国を作ろうじゃないか」
皆が沈黙し、ある者は苦しみを堪えアクセルを踏み、ある者は泣いている中、ルドルフはそっと目を閉じて祈りを捧げた。
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