絡む陰謀 1
三章:絡む策謀
コンピューターはミュータントのことを殺すほど嫌っている。制御が効かないからだ。規律を乱すからだ。
しかしもし思いのままに動いてくれるミュータントがいればどれだけ便利だろうか。
コンピューターはミュータントの死体からクローンを作り、研究していた。一部はすでに完成していた。
優秀かつ悪用されても致命的にはならない能力を持った集団を。
コンピューターは彼らを特別に扱った。一般市民とは格の違う生活をさせ、コンピューターを親友ではなく母親と思うような人格を作り上げることにするためだった。
そんな特別な環境で育った彼らを実戦投入することを決断したコンピューターは、その四人を特別会話室と呼ばれる場所に呼び出していた。内装は会話室とあまり変わりない。
違う点は壁に巨大なスクリーンがあることぐらいだ。
目の前のスクリーンに写される赤、青、黄、緑の四色で描かれた国旗に四人は一礼する。
「お母さん! ついに悪を退治するときが来たのですね!」
集められた四人のうち一人の少女が嬉々としてそう言った。
『可愛い我が子たち。貴方たちに仕事を任せたいのです』
「喜んで! お母さんのためならなんだってするよ!」
『ありがとう。貴方たちは私の自慢です……。ここ最近、我が親友を殺し、あげくの果てに街で毒ガスを散布するという凶悪犯罪が行われているのです。貴方たちにはそのテロリストの捕縛、処刑を任せたいのです』
「そんなの俺の能力で燃やし尽くしてやる!!」
四人の一人である黒い髪をした少年は瞳を光らせた。鮮やかな青色をした光はまるで炎のようであった。
隣にいた少女は金の髪を揺らしながらキッとその少年を睨み付け、張り合うように瞳を光らせる。紫と黄色が混ざったような、幻想的な光が発せられた。
『頼もしいですね。それと貴方たちのことを知らない無能者が、ミュータントだからと処刑しようとするかもしれません。けどこれを着れば安心ですよ』
天井から四着の衣服を落ちてきた。
それは白い制服だった。動脈部分にプロテクターが付けられる。他には黒いメットにゴーグルなどがある。
『その服を着ていれば勘違いされることはほぼないでしょう。あなたたちは特殊警察として活動してもらいます。名前は……そうですね。特殊警察部隊【マンハント】にしましょう』
『エルザ、ロイ、ユリアーナ、ヴィンツェンツ……』
「はい」
『あなたたちはその制御された力を国のために、私のために使ってください…………。被害が甚大なものになる前にお願いします。また私の親友が一人、殺されたようです。違法銃によって胴体を撃ち抜かれたとのこと。あの人には家族がいたというのに……。必ずテロリスト共を処分してください。まずはそのために情報を集め、思考するのです』
「了解!!」
四人の少年少女……【マンハント】が部屋から去って数分後、国旗を表示していた画面に小さな文字が少しずつ、独り言のように書かれ始めた。
『失敗作のエルザとロイ、成功作のユリアーナとヴィンツェンツ。あなたたちが駆り出されるのはこれで最後かもしれません……。もう、いませんでしたか』
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