Alex:「交渉を始めよう」A.O:「お前意外と得意だよな」
豊:「情報クラン『ユグドラシル』だと?」
ブックメーカー:「左様。あまり知られてないが、どちらかと言えば表の顔である考察クラン『Dictionary』のほうが有名であるがな」
茜:「知ってる?」
リン:「はい、数ある考察クランの中で最もこのゲームの核心部分に近いと言われるクランでこのゲームの情報サイトの9割は彼等の考察だと言われてます」
茜:「へぇ~、それはそれは随分大物じゃないか」
リン:「ただ、このクランは実態がよくわからなくて、その構成メンバーやクランマスターも不明で、時折そのメンバーを名乗るプレイヤーが接触してくるだけなので一部では運営の成りすましなんじゃないのかと言われています」
Alex:「なるほど。正体不明の考察クランね」
ブックメーカー:「ほっほっほ、そんな大それたものではないよお嬢さん。私らは謎解きが好きな変わり者の集まりじゃからな」
そう言いながらブックメーカーは微笑む
豊:「なら、あなたが本物のクランマスターであるという保証もないわけですね?誰も知らないのだから」
豊達はいまだに警戒しているが、それを察したのかブックメーカーが背を向けて
ブックメーカー:「まあ、いきなり信用しろとは言わん。」
手を向けるとそこには大きな扉が現れる
ブックメーカー:「とりあえず腰を据えて話をしようじゃないか」
そう言いながら『ブックメーカー』は扉に入っていった
レイン:「すごい!これは転移系アイテムで持ってる人少ないんですよ!」
Alex:「......どうする?」
茜:「どうするも...行くしかないんじゃない?」
豊:「罠だとしても、こんな回りくどいやり方はしないだろう。それよりも、何で俺達に接触してきたかそっちの方が気になる」
Alex:「なら、行くか」
5人は扉をくぐった
扉を出た先は閉鎖空間になっており、どうやら大きな木の中のようであった
豊:「これは....」
あたりを見渡すと淡い光に照され数多くの横穴がまるで小部屋の様になっており様々な種族のプレイヤーがその中で何か作業をしていた、そして部屋の中や壁一面にはびっしりと本が入っていた
茜:「まるで図書館だね」
レイン:「クランが拠点で使う『クランハウス』ですね、通常街の中で一定の金額で購入するか自分達で何処かに建築するかするんですが、中にはアイテムとして出現するものもあるんですよ」
茜:「なる程ねぇ、うちらの基地みたいなもんか」
ブックメーカー:「お~い、こっちじゃ、こっち」
声のするほうを見ると大きな木製テーブルにブックメーカーが座り手招きしていた
ブックメーカー:「これはクランメンバーで話し合いをするためのテーブルなんじゃが、いかんせん客人なんぞこんからのぉ、粗末なテーブルですまんが茶は良いものを用意しているからのぉ。さあ、かけてくれ」
5人は木の切り株の様な椅子に腰掛けると女性プレイヤーが紅茶とケーキを出してくれた
茜:「.....」
豊:「スマン、我々は物を食べる事が出来ないんだ」
ブックメーカー:「そうじゃったのか?それはスマンかった」
茜:「2人とも美味しい?」
リン:「ハイ!とっても!」
レイン:「このゲームは味覚の再現もすごいですから。それにこのケーキ料理スキル持ちのプレイヤーが作ったやつですよね?それも結構高レベルの」
ブックメーカー:「気に入ってもらえて何よりじゃ」
茜:「......」
豊:「茜さん、今日この後ケーキ買いに行きましょう、あの気になるって言ってたお店の。だからそんな2人を凝視しないでください」
実は茜は甘いもの好きで気になる店は隣県まで足を運ぶ程ではあるが、そんな事は露知らず2人は美味しそうにケーキと紅茶を楽しんでいた
Alex:「ハァ~、話が進まんから言うがあんたは俺達に同盟の提案?があるんだよな?」
1人蚊帳のそとだったAlexがブックメーカーに何故自分達を呼んだのか確認する
ブックメーカー:「左様。同盟と言うとちょっと違うかも知れんがの、簡単に言うと情報の売買をしたいというかんじかのぉ」
Alex:「それはまた何でだ?」
ブックメーカー:「フムッまず我々の事から話すかの」
ブックメーカーは咳払いをすると説明を始める
ブックメーカー:「先程も言った通り我々は表向きは考察クランとして活動しているが、実際は様々な情報を扱う情報クランとして活動している、自ら収集しにいく事もあれば金銭や対価で情報を売り買いしておる」
レイン:「何でそんな面倒な事を?」
豊:「....他のクランから敵対視されないためにか?」
リン:「どういう事です?」
Alex:「さっき金銭もしくは対価で情報を売買と言ったが、その情報の中にはクランの構成やプレイヤーの能力も含まれているんじゃないのか?例えばあるクランから金銭を受け取る変わりにそのクランの敵対組織の情報とかな、確実な情報であればより相手より有利にたてる」
豊:「だから表向きは考察クランとして活動している。情報を売られた方からしたら真っ先に恨むからな報復待ったなしだ、しかも個人ではなく集団で活動しているのならその情報の正確性や量も桁違いだろう」
ブックメーカー:「話が早くて助かる」
ブックメーカー:「無論、相手はよく吟味するが概ねその認識であっとる」
豊:「それで俺達に接触した目的は何なんだ?面と向かって弱点を教えてくれとでも?それに最近拠点の周囲にプレイヤーが出没したが、あなた方が教えたのでは?」
豊の質問にブックメーカーは首を振る
ブックメーカー:「怪しむのは最もだが、その情報を売ったのは我々ではなく個人でやっているプレイヤーじゃ。今日あなた方に接触したのはもっと別な目的があるのだ」
豊:「別な目的?」
ブックメーカーは一息つくと目的を話し始める
ブックメーカー:「我々は元々謎解きが好きと言ったが、情報を集めるにも金がいるのでな活動資金を得る為に情報を売っているが本質的には考察クランなのだ、他人に認知されてないのはそれ意外の活動をしてないからだ」
豊:「フム、それで?」
ブックメーカー:「私も最初はただのゲームと思っていたのだがね様々な情報を収集し、精査し、集約していくうちに段々とこの物語の根幹部分が知りたくてね、気がつけばすっかりのめり込んでしまった」
リン:「あ~、わかりますそれ!このゲームの作り込みすごいですからね」
ブックメーカー:「だが、収集していくうちに壁にあたったのだ、ある時期を境にそれ以前の情報が全くないのだよ、まるで消されたかのように」
豊:「ある時期?」
ブックメーカー:「およそ約300年前、我々は各地に残る遺跡がまだその頃は現役で稼働していたと推測している」
ブックメーカー:「我々はその失われた時代を『Lost True Story《失われた物語》』と呼んでいる」




