蜘蛛の狙撃手と最前線
6人はプレイヤー達から逃れ、一路南方向にある名も無き森林地帯へ向かっていた
「そういえば、Hina達は何処でスタートしたんだ?」
Hina:「”FOB-180”って所さ、何だか施設は半壊していてね、幸い戦闘機兵の区画は無事でね何とか2人分の資材は確保出来たよ」
豊:「待ってくれ。”半壊していた”?」
Hina:「地上施設なのだから当たり前じゃないか?見た感じ戦闘で壊れたようだったよ。君達は違うのかい?」
茜:「うちらは今の所全員地下施設でスタートさ。半壊してるのは今のところ、あんたとダーリンの所だけさ」
豊:「いや、俺の所も地下施設はほとんど被害はなかったからな、地上施設だけの基地は初めてじゃないか?」
「そうだな。Lisその施設の情報は?」
Lis:『申し訳ありませんマスター。該当施設は私の記憶領域に存在しません』
「なに?どういう事だ?」
Lis:『ハイ。記憶領域には私が作られてからの基地は正確な場所以外全て入っているはずですか、該当の番号の基地は存在しません』
豊:「まためんどうな事になりそうだ....」
「まだわからないさ、そろそろか?」
6人は森の手前に到着したが、そこには誰もおらずただ静かな森が広がっていた
レイン:「誰もいないわね?」
「いや、いるよ。Alexは遠距離攻撃を得意としていてね、特に狙撃仕様だと、高いステルス能力があるから発見は困難なんだよ」
6人は森の中へ足を踏み入れるが、リンが不思議がるようにレインに尋ねる
リン:「レインちゃん....この森変だよ?モンスターの気配が全然ない」
レイン:「確かにそうね...普通なら小型モンスターでも出てきそうなのに...」
Lis:『現在索敵範囲内に動体反応なし。確かに変ですマスター』
「あぁ、それはね...」
Hina:「おそらくAlexが片っ端から倒してるんだろう。彼は自然の多いところではで無類の強さを発揮するからね、此処はすでに彼の”狩り場”のなのさ」
Hinaの回答に2人は背筋に冷たい物を感じる、それは捕食者の狩り場に入ってしまった獲物の心理と同じであった、その時Lisが何かを発見し警告を発する
Lis:『警告。高速移動物体、急速接近』
「左だ!」
全員が左を向くと同時に大型のモンスターが木の陰から飛び出し、最初の獲物と決めたのかリンとレインに飛び掛かるが
Gan!!
背後からの発砲音と同時にモンスターが吹き飛ばされた
リン:「な、何!?」
レイン:「大型の『フォレスト・ウルフ』が一撃で....」
「ヘイ!お嬢さん達怪我はないかい?」
陽気な声と同時に、背後から巨大な蜘蛛?らしき陰が飛び出してきて
レイン:「イヤーーーーー!!蜘蛛ーーーー!!」
「オット!!ちょっと待ってくれ!!俺は蜘蛛じゃないぜ!!」
蜘蛛も嫌いなレインが悲鳴をあげA.Oの背後に隠れると、蜘蛛?のような影は慌てる
「Alex...その姿は蜘蛛と間違われても言い訳できないよ...」
Alex:「What!?俺を蜘蛛と一緒にしないでくれ!」
レインが恐る恐るA.Oの陰から覗くと6本足で大型のライフルを持った緑色の戦闘機兵が立っていた
レイン:「蜘蛛...?じゃない?」
Alex:「そうだぜお嬢さん!俺は”Alex”っていうんだ、宜しくな!!」
「紹介するよ、同じチームで狙撃や長距離砲撃をやっていた”Alex”だ」
Alex:「おうよ!『SOM』では俺以上の狙撃手はいなかったんだぜ!」
Alexが自慢げに言うが
リン:「へぇ~。狙撃手ってもっと物静かな人がやるもんだと思ってました」
リンの一言でAlexはズッコケそうになりA.Oを除く元チームメイトは爆笑していた
Alex:「おいおい、お嬢さんそれは偏見ってやつだぜ~」
豊:「くっくっく...まあ、確かにそういうイメージがあるものな。だが、コイツの腕は一流だよ現に俺達や木々の間を縫って狼の頭を綺麗に撃ち抜いたんだから」
実際にAlexは立っている味方と木々の間を抜いて、飛び出してくる『ファレスト・ウルフ』のみを撃ち抜いていた、それは機体の補正があったとしてもそう簡単にできる事ではなかった
「それよりAlex、君とHinaが目覚めた基地はここから近いのかい?」
Alex:「ん?何であんな廃墟に用事があるんだ?」
茜:「廃墟って...そんなにひどいのかい?」
Hina:「Alex、どうやらあの施設に重要なデータがあるかもしれないんだ」
Alex:「なるほどな、それなら案内してやるよついてきな!」
一同はAlexを先頭に森を進む
「ところで...Alex、その足どうやって動かしてるんだ?」
Alex:「これか?何か前に進もうとする勝手に動くんだ」
(えぇ...何それ?)
A.Oはこれがゲーム補正だとしても納得いかなかった
Hina:「ここが例の基地だよ」
「これは...」
茜:「こりゃまた、手酷くやられてるわ」
それはまさしく廃墟といっても過言ではないほど荒れ果てた基地の残骸があった
レイン:「逆によく無事な施設がありましたね...」
Hina:「そうだねぇ...どうやらその施設だけ妙に新しい感じがするんだよ?」
「妙に新しい?」
Hina:「あぁ勘違いしないでほしいんだが、この中ではって意味でね。ほらあの建物さ」
Hinaのいう方向を見ると確かに残骸に混じって格納庫らしき建物が形を残してそこに立っていた
リン:「本当だ。あれだけ残ってる....」
Alex:「な?ここまで徹底的に破壊しといておかしいだろ?」
「兎に角いってみるか」
全員は格納庫らしき施設に近づく
豊:「まるで急造品だな...」
レイン:「今までの基地だともっとしっかり作ってましたよね?」
その施設は配管等もむき出しで内装もほとんどなく、あからさまに突貫工事がされたようだった
「どうだLis?何かわかったか?」
Lis:『残念ながら此処には最初からサーバー等がなかったようです』
Hina:「フムっ最初から存在しないとはどういう事だい?」
Lis:『ハイ。軍事施設には当初から管理A.Iや戦闘機兵を支援するためサーバー等を設置、地下に隠されていますが。この施設はその痕跡がありません』
リン:「つまり?」
Lis:『推測ですが、此処は元々民間施設です。過去の記録には此処に植物の研究施設があった事になっています』
Alex:「つーことはだ、俺達みたいなのをおく程重要な施設だったのか?」
豊:「いや、それだと他の施設みたいに破壊されてないと辻褄が合わない。恐らくだが、民間施設が破壊された後に建造したんじゃないか?」
Lis:『ハイ。』
「それだとLisに記録されてないのはおかしくないか?」
Lis:『可能性としては私が作成される前に破壊された、もしくは破棄された施設です。記録上いくつかそのような基地があったそうです』
Lisの回答に『SOM』出身の5人は何か感じるものがあった
茜:「作ったそばから破壊される...これはあれかい?」
Hina:「何だか懐かしい気がするねぇ」
Alex:「思い出すぜ、他の連中とやりあっていた日々を...」
豊:「勢力同士のぶつかり合い、その2つの勢力図が隣り合わせで行ったり来たり、毎日変化する場所....」
「おそらく過去の戦いでは、ここがFront Lineだったんだ」




