蘇りし、天秤
シリウスとA.Oが戦っている場所から離れた所に小さい山があった、周りがなだらかな丘陵地帯なだけあってその山は異常な存在感をはなっていた、そしてその山の麓に迷惑集団『ソー・セージ』が集結していた。
「さぁーーーー皆の衆!準備はよろしいか!?」
「ムッフォー!!いよいよ我等の理論が正しい事が証明されますな!!」
「中級攻撃魔法を同時に発動!融合させれば最強の魔法になるという我々の修行の成果が!!」
「ヒョーーーーー!拙者胸がピョンピョンしてきたでござる!!」
「普通にキモくて草っ!!!!!!」
この迷惑集団はこの目立つ山を破壊し、自らの魔法がいかに強力かを主張すべく今回集まってきたのである、これに気づいたのは、誰が一番強力な魔法を使えるか草原で試していた時、偶然同時に放った同じ魔法が空中で合成し、威力が上がったのが切っ掛けで偵察中の『Vulpecura』を破壊したのもこの魔法である。
「それでは、早速試すでござる」
「「「「おおっ!!!」」」」
全員の目の前に魔方陣が出現する
「ゆくぞ!!!!」
「「「「「’降りゆく火炎星’」」」」」
この魔法は上空から火の玉を降らせ広範囲を攻撃するという、その魔法事態強力なのだが。落ちてきた火球は彼等の予想を大きく上回るものだった
「ややっ!これは予想以上にでかすぎるでおじゃる!!!!」
彼等の頭上から実に直径100mはあろうかという火球が落ちてきたのである、これには放った張本人達も呆然と立ち尽くすしかなかったのである。やがて火球は山に接触し辺りに破壊の暴風を撒き散らす
「ぬぉぉぉ!!我が生涯に1辺の悔いなしぃぃぃぃーーーー!!!!!」
彼等は跡形もなく吹き飛び死に戻りした。だが、誰も知らなかったのだ
【Warnig Warnig】
After being attacked,treat the target as an enemy and enter a battle stance
(【警報!警報!】攻撃を受けた、これより対象を敵とみなし、戦闘態勢に入る)
これが、偽装した<Libra>その物であったことなど....
「こいつが<Libra>....」
リン:「A.Oく~~ん!」
近くで活動していたのであろう、レインとリンが爆発音を聞きつけて合流する
レイン:「ちょっと!!なんなのあのデカブツは!?あれが<Libra>だっていうの!?」
「そう、あれが<Ground Mobile Fortress:地上機動要塞 Libra>だよ...」
シリウス:「あれがなんなのか、僕らにも教えて欲しいな?」
A.Oの視界には友軍情報として、この巨大要塞の情報が表示される
<Libra>
全高80m、幅250m、塔の様な円錐形の身体の先端に、イージス艦のSPY-1レーダーの様なアンテナを周囲に向けた戦艦の艦橋の様な設備をのせ、身体の上部から左右に伸びる腕の先端には51Cm電磁加速砲を1基3門、上下6門の合計12門の主砲を搭載、円錐形の身体の周囲には速射砲、対空機関砲、対地対空両用パルスレーザー砲を搭載し、基部には6本の脚部とその間から戦闘機兵の発進口があり中に約1000体の戦闘機兵を格納・整備・補給を行い、その上部には対地ミサイル、対空ミサイルのVLSが存在する。その姿は名前の<Libra:天秤座>を連想させ、女神アストライアが使った天秤のように、自らの手で争いに善・悪を決めてしまう、とでも言いそうな機動要塞の名に恥じぬ堂々とした姿がそこにあった。
「僕達はあれが敵に廻らないように、この草原で彼等の仲間のロボットを破壊しにくるプレイヤーを妨害していたんだ...」
シリウス:「それが事故とはいえ敵対してしまったと...確かに誰もこんな物がここにあるなんて思わないだろうね...」
レイン:「ちょっと!何呑気にしゃべってるのよ!!」
玄武:「そうです!直ちに退避を!!」
「そうだね!シリウス達は『ミッドリール』に避難勧告を......何!!」
A.Oは<Libra>の主砲がゆっくりとだが、旋回しているのを見て思わず叫んだ
「全員伏せろーーーー!!!」
A.Oは咄嗟にレインとリンにおおい被さった、その直後今までで一番大きな爆音と前方から土砂混じりの爆風が6人を襲った、やがて爆風が収まって顔を上げた6人は目に飛び込んできた光景に言葉を失う
レイン:「そんな...こんな事って....」
リン:「ミッドリールの町が....」
6人が見たのは無数のクレーターを残して消え去った『ミッドリール』の町であった
シリウス:「流石にこれは不味いね...」
玄武:「団長!『ミッドリール』の町にいた団員は全員死に戻りしました!」
シリウス:「プレイヤーは戻れるさ...だが、NPCは...」
朱雀:「恐らく生存は絶望的でしょう....」
この『UWPS』というゲームは死んだNPCは戻らないので、護衛系ミッションは困難を極め、シナリオによっては進行しなくなる物も存在する。<Libra>が砲撃した『ミッドリール』には、プレイヤー含め約3000人いたが、一瞬で消え去ったのである
リン:「.....!!」
レイン:「リン!何してるの!!」
リン:「決まってるよ!アイツを止めるの!!私達は、死んでもリスポーンするだけだから!」
「ダメだ!!」
リン:「なんで!?もしかしたら、上手く行くかも知れないじゃん!!」
「アイツの足元をよく見るんだ」
リンがA.Oの行った通り目を凝らして見てみると無数の人影が蠢いていた
レイン:「あれは...何?」
「<Libra>の中にいたMB-7で作られた戦闘機兵達だよ、ああやって死角に入られないように護衛してるんだ」
リン:「そんな....」
レイン:「打つ手はないっていうの?」
絶望的な空気が場を支配するなか、A.Oは決意を秘めた声で話し出す
「シリウス頼みがある、この2人を連れて<ファストヘッド>に戻ってくれ、そして可能な限り戦力を集めるんだ、奴は人口の多い所を狙うから次は『ファストヘッド』のはず、その前に迎撃ラインを敷くんだ」
シリウス:「それぐらいは構わないが?君はどうするんだい?」
「奴を足止めする」
レイン:「そんな無茶よ!今の貴方の武器じゃ敵わないって!誰でも解るわよ!!」
「勿論完全破壊は無理だろう、だが損傷させて暫く動けなくするくらい可能だ」
リン:「そんなこと出来るの!?どうやって!?」
A.Oは2人の目を見て
「君たちに言ってなかったが、この身体は反応炉で動いているんだ、それはこの胸の辺りにある。ここを大きく損傷させれば....」
レイン:「ねぇ?まさか貴方がやろうとしているのは...」
「炉が暴走し戦術核弾頭と同等の爆発を起こせる」
リン:「やめてよ!!そんな馬鹿な真似!!A.O君はプレイヤーじゃないから、元に戻らないかもしれないんだよ!?」
「その時はまた最初からやり直すさ」
A.Oは2人に背を向ける
「頼んだぞシリウス!!」
A.Oは<Libra>に向けて走り出す
リン:「いやっ!離して!!」
シリウス:「駄目だ!彼の覚悟を無駄にしてはいけない!!」
リン:「ダメ!!A.Oくーーーーん」
A.Oは<Libra>に接近する当初は味方だと思われたのか、警戒されなかったが近付くにつれて視界に多数の警告文と周りの戦闘機兵達が武器をA.Oに向けだした
「チィッ!!足元まで接近したかったがここまでか!!」
遂に周りの戦闘機兵達が発砲し始め、A.Oは接近出来なくなる
「ここまでが限界か....おい、<Libra>聞こえているかわからないが....」
A.Oは両手の対装甲切断刀を逆手にもち
「これが、宣戦布告のあいさつだーーーーーーーー!!!!!!」
自らの胸を一気に貫いた、その直後二度目の大爆発が起こった。




