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第九十四話「俺様を舐めるなよ!」

こんばんは、作者です。


今日は総論の話です。


例えば、ドラゴンライドの話が各論なら、あの辺りで挿入された、おっちゃんとレグルスが何かを守った話は総論です。


今日はそんな、この物語の大枠にまつわる話です。

控え室の外でタバコを吸っていると、レイナがやって来た。


「オズー!おめでとー!」


レイナは抱きついて来て、キスしてくれた。


「お、おう、ありがとう」


「ねーねー、さっきのジェスター何?ナイトメアとハーメルンでしょ?オズの召喚獣?超可愛い!ちょっと怖いけど!」


「あ、ああ、あれか。一応召喚獣だ。女の子のほうは会った事あるんだぞ?」


「え?」


「リザードマンから助けてもらっただろ?仮面を付けていたから分からなかったと思うけど、ゲーゼだよ」


「嘘ー!あの子だったんだー。もう一人は?」


「あれはモルピーといってな、あの子の主だ」


「へー!モルピーとゲーゼかー!可愛かったし、面白かったねー!また見たい!今度出してー!」


「分かった!今度な」


レイナはキャッキャッとハシャいでいた。

正体は伏せておこう。


その時、係員が笑顔で走り寄って来た。


「ジョーカー選手。お見事な戦いでした。初戦突破おめでとうございます。というか、ブロック戦も突破しましたよ。いやー、進行が早まって助かりますー」


え?ブロック戦突破?


「はい?」


「あー、お聞きになられてないんですね。こちらをご覧下さい」


係員はバインダーに挟んだトーナメント表を見せた。Aブロックの表だった。

一番右に俺の名前が書いてある。

最終的に六人が勝ち上がる頂点になっていた。

俺の名前から赤線が引かれて、一番上まで続いていた。


「どゆこと?」


「ええ、貴方の山の選手が全員棄権しました。先ほどの戦いを見て、勝ち目が無いと悟ったようです」


「マジか!?」


「という訳で、かなり巻きで今日の分の予選が進行出来ます。ありがとうございます。もうお帰りになられてもいいですよー!」


え、えー!?

ラ、ラッキー!


「では私はこれで、本戦は明後日から始まります。コンディションを整えておいて下さいね。まあ貴方には関係無さそうですがね、ハハハハハ」


係員は走って去って行った。


ハハハハハ(苦笑)


「ハハ、勝っちゃった」


「アハハ、ウケる!おめでとー」


「ありがとう」


レイナと手を取り合って喜びを分かち合った。


今日はもう帰っていいんだ。

どうしようかな?

レイナは勉強も兼ねて、ワイアル達と観戦するようだ。

色々勉強になるらしい。

手に持ったノートに、可愛らしい字で絵やメモが書き込まれていた。

えらいなーレイナ。

お母さんの血が発動しているんだね。

俺は、、別に見なくてもいいよなー。


「ちょっと街をフラフラして来るわ!」


「うん!分かった!また後でねー!」


レイナは頬ずりをしてくれると、ウキウキと跳ねるように去って行った。


さて、どうするか?


俺はコロッセオを出て、街を歩いていた。

大会期間中だから、かなりの人出だった。

屋台でホットドッグを買って、ムシャムシャと食べながら歩く。

ジャンクフードって美味いよなー。


そんな事を思いながら歩を進めると、一軒の店が目に入った。

時計屋さんだ。

ショーウィンドーに、掛け時計や置き時計、懐中時計や腕時計が並んでいた。

いいなー、時計集めたりとか好きだ!

モグモグしながらウィンドーショッピングをしていると、ふと一つの時計に目が行った。

懐中時計だ。

見た目はシルバーの何の変哲も無い時計だったが、文字盤が黒い色をしていてお洒落だった。

よく見ると、文字盤には黒く細かい格子の縦線横線が浮き上がっている。

ふむ。渋いな。

しばらく見ているうちに、引き込まれそうな不思議な感覚に襲われた。

無限の空間が浮かび上がるように思えた。

いいねー。素敵だ!

これ買おう。


俺はカランコロンと店の扉をくぐった。


「いらっしゃいませ!」


朗らかな顔をしたオジサンが迎えてくれた。


「あのー、あそこにある懐中時計が欲しいんですけど」


「あー、あれですか!お客様、お目が高い!と、言いたい所ですが、あれは売り物では無いんです。あ、いや、売らないと言っている訳ではありませんが、あれは時計としては役に立ちませんでして」


「え?」


店のオジサンとショーウィンドーにある、例の懐中時計の所へ行った。

やっぱりいい雰囲気の時計だな。

オジサンは申し訳無さそうな顔になった。


「これ、壊れてまして」


「そうなの?」


オジサンは時計を手に取ると、枠にあるボタンを押した。

時計が逆回転を始めた。

あらあら。


「お分かりになりました?ひょんな事から手に入れた品物なんですが、当時からこの有り様でして。私も時計屋の端くれですので、修理を試みたんですけど、裏蓋はもちろん、どこも開けられなくてですね。一体どうやって作ったのやら。そんな訳で、どうにもならずに置いてあるんです。見た目は非常によく出来た逸品なんですが、惜しいですよねー」


なるほどねー。


「それでもお買い上げになられるのなら、お安くしときますが?」


どうしようかな、モトユキなら直せる気もするんだよなー。


「じゃあ、買、」


その時、店の扉がカランコロンと音を立てた。


「あ、いらっしゃいませ!」


「店主!ショーウィンドーの懐中時計を売ってくれ!黒い文字盤のヤツだ!」


声の主は急かすようにまくし立てた。

主を見る。

女だった。

アンジーと同じ位の身長だった。

銀髪をポニーテールでまとめ上げ、メタルフレームみたいな眼鏡をかけていた。

かなりの美人だった。

女優のグウィ○ス・パルトローに似ているな。

乗馬服みたいなジャケットに、ピチピチのパンツを履いていた。

首から時計をネックレスみたいにぶら下げていた。

両腕にも時計が見えた。

時計マニア?


「あー、いや、あの時計は」


店主が俺に対しての反応と同じ態度になった。


「金に糸目はつけない」


女が返す。


「いやー、あの時計は壊れてまして、それに先客がいらっしゃいまして」


女は今気がついたように、俺を見た。

正確には俺の存在だけを認識した感じだ。

俺はどうでもいいみたいだ。


「貴方がその先客か?いくらだいくらで譲る?」


え?いやー、まいったな。


「いくらと言われても、お金じゃないし」


「あれは時計としては役に立たないのだぞ?そんなものをどうするつもりだ?」


女が問い詰めて来た。

それはこちらのセリフでもあるんだけど。


「いやー、どうするって言うか、気に入っちゃったからなー」


女は次第にイライラして来たようだ。


「では、どうすれば譲ってもらえる?」


「うーん、断る!」


あまり欲されると、イジワルしたくなるんだよな!


「ま、まあまあ、まだこの方もお買い上げになるとは仰られてませんから」


見かねた主人がフォローしたが、逆効果だった。

確かに「買」までしか言って無かったけどね(苦笑)

女の表情が変わった。


「な、何?謀りおったな!じゃあ早い者勝ちか!」


女がさっと時計に手を伸ばした。

速っ!

あ!てかズルいぞ!

ギリギリ俺の方が速かった。


「もーらい!」


「くっ!小賢しい真似を!」


瞬きをした。

あ、あれ?

今、確か、、、?

次の瞬間、時計は女の手の中にあった。


???


どんな手品だよ!


「これで私の物だ」


女は勝ち誇った笑みを浮かべていた。

店主が女の後ろで慌てふためいていた。

ぐぬぬ!

よーし、見てろ!

俺はゲイルシフトと同じ要領で、手のひらをパパパと女の眼前にかざした。

一瞬の後、時計は俺の手のひらにあった。


ざまーみろ!


「ぬぅぅ、下手に出ていればつけあがりおって」


ギリギリと女が歯ぎしりをした。

下手って!どこが!?


女が手を伸ばして来た、俺も防戦する。

ちょっともみ合いになった時、俺の手が女の肩を掴んだ、振り払おうとする女。

その時、


ビリビリ


っと音がした。

え?紙?

見てびっくり!?

女の肩からお腹にかけて、紙みたいな裂け目が出来ていた。

中は空洞、というか星が煌めく銀河が見えた。

な!?何だコイツ!?

主人は女の後ろにいるので見えていないようだ。


「くっ!しまった!おのれ不埒な無礼者め!見られたからには!」


女が指をパチンとやった。

俺は意識が飛んだ。

飛んで無いんだけど、真っ暗闇になった。

何だこれー!


店からは俺の姿が消えていた。

女は振り返り、店の主人に対してもパチンとやった。

今度は何も起こった様子は無かった。


「あ、いらっしゃいませ!すいません。気がつきませんで、ボーっとしていて」


「いやいや、構わない。店主、この時計をもらおう」


「流石お客様、お目が高い、と言いたい所ですが、、、」


そんな会話をしながら、女は時計を買い、店を出た。

勿論俺には知る由も無かったがな。


一方俺は気がつくと、何にも無い野原にいた。


えー!?


野原と言っても半径30メートルほどだった。


え?その先はどうなっているかって?

何にも無いよ。

空には星が輝いていたが、夜じゃなかった。

そう、星の輝く空間の中にポツリと浮いた野原にいた。

どこだよここ!?


ぐるりと見渡した。

背後に石で出来た大きな門だけが建っていた。

門はしっかりと扉が閉じられていた。

他には神殿の柱のような遺跡が転がっている。

それだけ。

あとは何にも無かった。

まいったな、、、。


草原の淵はどうなっているんだろう?

俺はテクテクと歩いて行った。

崖の先に星河が見える。

本当にポッカリと浮いているんだな。

淵に立った。

そーっと下を覗こうとした。


「あー、それは止めといったほうがいいのぅ」


振り返ると魔法使いのような姿をしたじいさんが立っていた。


「どうして?」


「そこから先の空間は、神だけが行き来出来る世界じゃ。人が触れたら一瞬で身体が無くなるぞ!」


「神の世界だー?」


「そうじゃ」


あー、誰か通訳してくれないか?

モトユキー!


《久しぶりだな。随分変わった所でピクニックしてるんだな》


久しぶり。

好きでやってる訳じゃないぞ。

なあ、この先に出たらどうなる?


《分からん》


はい?


《リュウオウ陛下なら問題ないだろう》


俺はダメなのか?


《リュウエイ陛下でも大丈夫だろう》


、、、?


《自分の生い立ちを忘れたか?》


そういう事か。

だから答えが、


《分からない。まあ進んで危険を冒す必要は無いだろう》


ここはどこだ?


《それは目の前の男に聞け》


どうやって帰る?


《来た時と同じように帰れ、オーバー》


えー?

しょうがないな。

俺は前にいるじいさんに話しかけた。


「じいさん、ここはどこだ?」


「神の世界じゃ」


「ふざけてるのかマジなのか?で、あんたは誰だ?」


「わしはクロックス。この門の守り人じゃ」


「この門は何だ?」


「これは時間を司る神。クロノス様のゲートじゃ」


うん。

あまり答えになってないな。


「俺はどうしてここにいる?」


「お主、神の機嫌を損ねたか?お主は飛ばされてここへやって来たんじゃよ」


「どうやって帰れる?」


「神がお主を思い出せば」


「いつ?」


「さあ、、、。今、思い出せば、この扉はまだお主がいた世界とつながっているから、すぐに帰れる」


「思い出さなければ?」


「神が次に扉を開くまで待つしかないの。五分後か、十年後か。神のみぞ知る。たとえ開かれたとしても、その先はお主がいた世界とは違う世界かもしれんの。時折忘れさられる人間がいる。そやつらは扉が開かれるまで延々待ち、開かれた時に、仕方なく違う世界に旅立つか、待ちくたびれて絶望し、淵から身を投げるかするもんじゃ」


「身勝手な神だな。飛ばしといて忘れるとか」


「それも神の思し召しじゃ」


随分じゃないか!

人の人生を弄びやがって!

だから神は嫌いなんだ!


「舐めてんのか?クソ神が!」


「言葉を慎め!なんたる不遜!無礼であるぞ!」


「やかましいわ!」


俺はイライラしながらノシノシと門まで歩いて行った。


「じじい!今なら俺が来た世界とつながっていると言ったか?」


「そうじゃ。考えておる事は分かるが、人には無理じゃぞ!扉を開けるのは神の力を持つ者だけじゃ」


「ああそうかい!神は偉いんだなあ」


「そうじゃ!何人も贖う事など出来ん」


なるほどね。

よーし。

贖ってやろうじゃねーか。

この俺をこんなムカツク場所まで飛ばしやがって!

あの女、いや恐らくあれが時の神クロノスだろう。

見つけてぶっ飛ばしてやる。


俺は門の前までやって来た。

ポキポキと手を鳴らす。

じいさんが俺と門の間に割って入った。


「やめんか!無駄じゃと言うとろうが!万が一傷でも付いたらどうするのじゃ!」


「どけ、死にたくなかったらな」


「な、何じゃと!おお!神よ、この神をも恐れぬ不届き者に神罰を!」


「うるさいわ!やれるもんならやってみやがれ!いいかよく聞け!俺は帰る!帰ってクロノスをぶっ飛ばしてやる!今からそれなりの力を出す。巻き込まれたくなかったらどきさらせ!」


じいさんは絶句をし、狂人を見るような目で俺を見た。

失礼なヤツめ!

まあ俺みたいなこんなのは、普段飛ばされて来ないだろうから無理も無いか。


「もはや聞く耳を持たぬか。哀れなヤツじゃ」


「頭が高いんだよてめーらは!俺様を誰だと、、まあそれはいいや」


俺はピアスを外した。


出力70%くらいでいいだろう。

クロノスなんざその程度だからな。

というかモトユキ、関係各所にバレない?


《問題ないだろう。そこはクロノスの私空間だ。ついでにクロノスの口を封じておけばモアノープロブレムだ!》


あ、ああそう。


俺は息を吸い込んで腹の下に溜めた。

扉はこうやって開けるのが一番だ!


俺は左足を踏み出し、しっかりと地面を踏みしめつつ、扉に向けて右足で思いっきり前蹴りを放った。


ゴゴーン!


物凄い音がした。


《ポキポキ手を鳴らしといて、足で蹴るのかよ!》


いいじゃねーか!

開かないドアは蹴破るもんだ。


バーンと扉が開いた。

質量の法則が完全に無視されたように、重そうな扉がベニア板のように跳ね飛ばされて外れていた。

ざまーみろ!


《神級器物破損罪だな》


うっせ!


「ば、バカな!蹴り破ったじゃと!ありえん!ありえない!お主、何者じゃ!」


じいさんがアワアワと腰を抜かしていた。


「頭が高いと言ったはずだ!俺様を舐めるなよ!」


「クロノス様のパワーを超える存在!あわ、あわわわわ!お、お助けー!」


何やら必死に俺に手を合わせて拝むじいさんを残して、俺は巨大な扉をくぐった。

クロノスめー!お仕置きだー!

その綺麗な顔と、下に履いてたピチピチのパンツを引き裂いて泣かし、、、じゃ無かった(汗)

ワガママな神にゲンコツグリグリの刑、逆・天罰を食らわせてやる!

読んで頂きまして、ありがとうございました。


クロノスが出て来ました。

時の神ですねー。


ゼウスの父ちゃんと同じ名前ですが、あれとは違います。

クロノスって二人いるんですよー。


この物語に出てきたのは、クロノグラフの語源にもなっている方のクロノスです。


さて、理不尽な飛ばされ方をしたオズは、理不尽なやり方で脱出しました。

まあこのくらいはやってもらわないと。


さて、どうなる次回?

ご期待下さい。

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