第八十四話「バンドやろうぜ!雰囲気的に!」
こんばんは、作者です。
タイトルに深い意味はありません。
雰囲気でつけました。
夕方になる前にガンナー協会に行ってみる事にした。仕事の仕方とか聞きたいし。
善は急げだからね。
協会はアメリアのギルドと同じ建物にあるらしい。
併設されていると、色々便利なんだそうだ。
地図上だと、保安局の近くにあった。
ちょっと酔っ払っていたから、タクシー馬車を拾った。
馬車に揺られて惰眠をむさぼった。
ひとときの後、馬車はギルドに着いたようだ。
ギルドは昔ながらの建物だった。
赤茶けたレンガで作られている。
なんかほっとするな。
馬車の運転手が話しかけて来た。
「シックな外観でしょ?古めかしい造りだけど、建て替えられたばかりなんでさぁ、このレンガがわざわざランド王国から取り寄せたんで」
なるほど、落ち着く訳が分かった。
レイナも懐かしそうに目を細めていた。
旅から旅で、テッサにいた時間がこれまでで一番長いとは彼女の談だった。
ギルドの中に入った。
テッサより人が少ない。
二階がガンナー協会みたいだ。
階段を上った。
そこには沢山の人がいた。
お国柄かな、ガンナー協会のほうが賑わっているんだな。
ギルドと兼用になっている依頼の掲示板もあった。
後は仲間募集の掲示板とかも。
「クラシック系のスタイルでやっています。早撃ちが得意な人求む」
「うちらガールズチームです!男子お断り!女の子来てー!」
「曲撃ち中心に活動中。マッチ棒倒せる人を探しています」
などなど、色んな勧誘文句が書かれていた。
バンド募集みたいだな(苦笑)
「入る?」
レイナが目をらんらんと輝かせていた。
「何でやねん!アーク達がいるだろう」
「そ、そうだけどー、あ、当方イケメンだってー!」
ちょ!
自分でイケメンって言ってんのにロクなのいないぞ。
初期のルースとか、、ジョニーとか、、。
「君達、仲間を探しているのかい?」
声をかけられて振り向くと、綺麗なお姉さんと、小さいが、がたいが良く顔がやたらデカい紳士がいた。
お姉さんのほうは艶っぽい姉御系だ。
紫色の髪が美しい。
紳士のほうは、栗みたいな名前の某大統領か、トラブルが複数形になったような名前の某俳優を、ギュッとデフォルメした風刺画みたいな男だった。
「え?え?い、いやそういうんじゃないけど」
「そうかい!あたしらも最近一人抜けちゃってねえ、今から募集の紙を貼るのさ」
お姉さんが掲示板に紙を貼り付けた。
「ロイヤル・ストレート・フラッシュ!メンバー募集!素人お断り!」
ロイヤル・ストレート・フラッシュ!?
ジャックのところじゃないかー!
「ジャックの仲間?」
「おや、ジャックを知ってるのかい?そうさ。あたしはシェリー。通称クイーンさ」
「私はワイアル。通称エースだ」
「トランプみたいだね。俺はモズ」
「あたしレイナ!」
「どこでジャックに会ったんだい?」
「さっき試験会場で」
それを聞くと、露骨にシェリーは興味を失ったようだった。
まあ、素人だからね。
「そ、そうかい。確か今日は試験官をやるって言ってたからねえ」
「君達は合格したのかな?」
ワイアルが聞いてきた。
「ああ、レイナは高得点だったけど、俺は最後の最後、撃ち合いの試験でジャックと相撃ちになって、なんとか合格したよ」
「ほ、ほんとうかい!?あのジャックを撃っただあ?」
シェリーがびっくりしていた。
「まぐれさ。んでね、ガンナー協会を訪ねてくれってジャックが言うからな。働き方を聞くのも兼ねて、やって来たんよ」
「そ、そうなのか。ジャックをね。たまげたな」
その時だ。
シェリーの身体越しに、階段を上がって来るジャックが見えた。
彼が俺達とシェリー達に気づいた。
「おー!モズ!来ていたのか!」
「よう!さっきぶりだな。仕事の仕方とかの説明を聞きに来たんだ」
「そうかそうか、よっ!シェリー、ワイアル」
「ジャック!聞いたよ!あんた素人に撃たれたのかい!?油断にもほどがあるよ」
「そう怒るなって!こいつは俺を入れて5人も片づけたんだぜ、相撃ちにならなきゃ、時間も達成出来たんだから。この子も筆記は満点。総合得点もなかなかだったんだ」
「そ、そうなのかい?や、やるじゃないかあんた達。見た目は普通の優男と可愛らしい女の子のカップルなのに」
シェリーは少し見直したらしい。
レイナはカップルという言葉にニヤついていた。
「まあ、こんなところで立ち話もなんだ。どうだ、お茶でもしないか?協会の仕事の仕方とかも教えてあげるよ」
ワイアルの提案でギルドのカフェに行くことになった。
カフェは三階にあった。
結構賑わっている。
カレーもあったよ。
この地方では、フライドチキンやハンバーグなどをトッピングするのが通みたいだ。
ま、お腹一杯だったから今度だな。
「さて、俺達はロイヤル・ストレート・フラッシュってチームだ。ま、ポーカーからとった名前だ。カジノで知り合ったからな。俺はジャック、自己紹介は済んだみたいだが、こいつらはクイーンにエース、もう一人キングがいる。本当はあともう一人いたんだが、脱退しちまってさ」
「なるほど、今はいわゆるブタ札ってやつか」
「はは。そうだ、なあ俺達のチームに入らないか?」
「あー、入りたいのは山々だが、今人捜しの真っ最中でな。だからテッサからこっちへやって来ているんだ」
「そうなのか。でも、なんでガンナー登録を?」
「ああ。探す相手がガンナーだからな。ま、詳しい事は勘弁してくれ」
「分かった。まあ気が向いたらでいい。俺達も色々な活動をしているからな、様々なガンナーに会えるぞ」
「ありがとう。考えておくよ」
まだどういった奴らなのか分からないからな、安易に手の内を見せるのは避けたい。
ただ、まだ雰囲気だけだけど悪い奴らじゃ無い気がした。
その後は、ジャック達に協会の仕事の仕方を教えてもらった。
基本的にはギルドと変わらなかった。
受け方や報酬の支払い条件も同じだ。
元々の創設に冒険屋が関わっているんだから頷けるな。
内容は護衛や警備、賞金首の捕縛から、街や地方都市のお祭りでの銃を使った余興や、村を回っての小さな興行など、サーカスみたいな分野の仕事も充実していた。
なかなか面白そうだ。
「ビンゴゲームのアシストとかな。目隠しして、ビンゴになっている的を撃ち抜くんだ。観客が喜ぶんだよ」
ジャックが余興の仕事について説明してくれた。
人を殺す道具ではあるが、使い方によっては、人を楽しませる事もできるんだと熱弁していた。
「へー、いいねえ。ジャック達はシリアスな依頼とエンターテインメント系どっち派なの?」
「バランス良くやってるよ」
「そうかー」
楽しそうだ。
うーん。
帰ってからレイナと相談だな。
しばらく色々な話を聞いてジャック達と別れた。
とりあえず、ホテルに帰るか。
「色々ありがとう。またね!」
「おう。あたしらはたいていこの辺りをうろついているから、気軽に声をかけてくれ!」
シェリーの姉御肌な声に見送られてギルドを後にした。
酔いもさめたから、バイクでホテルに帰る事にした。後ろのレイナに話しかけた。
「どうしようか?」
「あたし達初心者だから、ジャック達とつるんだ方がいいかもね。依頼の内容は秘密にしてさ」
「まあなー。だよなー。二人だと心細いもんね」
やっぱり臨時とかでいいなら仲間入りを打診してみよう。
アミマイはオレンジ色の世界に変わっていた。
夕焼け空が綺麗だった。
けど、今は11月の半ばも過ぎ、そろそろ終わりなんだよなー。
ランド王国は寒いだろうなー。
「バレンシアってさ。この季節はどうなの?寒いの?」
「うーん、緯度的にはランド王国とアメリアの中間くらいだから、そんなには寒く無いよ。冬も雪とか降らないし。雪見たいなーあたし!」
雪かー!
ランド山の山頂にはうっすら雪が積もっていたからなー。
ホワイトクリスマスとか、憧れるよなー。
それまでに帰れるかなあ。
というか、今年は女の子と過ごせるかなー。
もちろんシルフィーが本命なんだけどさ、仕事でベネーリアだしな。
アンジーはなんかマックと急接近中だしな。
となると、背中にいるこいつか。
でもなー、トッドの手前、気安く手も出せないしなあ。
困ったな。
後ろからレイナの手が頭に伸びた。
?
ナデナデして来る。
なんだ?
「ど、どした?」
「なんとなく」
「そ、そうか」
「うん」
その後はあまり話さずにホテルまで着いた。
気まずい雰囲気とかではない。
なんか居心地が良く、話す必要を感じなかったんだ。困ったなー(苦笑)
ホテルへ帰って部屋に行った。
部屋には灰になったトッドがいた。
「おーい!生きてるか?」
「あ、先生!ねーねー、保安官って大変だよ。ふわー」
みなまで言わなくても、何となく分かった。
しごかれたんだろうよ。
「夕食の時に聞いてね!あ、そうそう、見てよ!ヒポがねー!」
トッドは例の仕草をして、ヒポを召喚した。
ポン!
すぐにヒポが出てきた。
早くなったな。
って、、、、!
えーーー!?
「どうよこれ!」
ヒポはまたもやカスタマイズされていたよ。
《私も保安官の計らいでイメチェンしてみましたっ!》
誇らしげに胸を張りながら、尻尾を揺らすヒポ。
そう。
ヒポはあのアーマーの上に、パトライトを装着して、保安局のレリーフの入ったステッカーを貼っていた。
う、うわー!
パト○イバーの何かみたいだよヒポ!
《パト○イバーとは何でしょうか?似合います?》
あ、ああ、まあな。
似合ってるよ。
《わーい!》
ヒポは最初に会った頃より子供っぽくなって来ていた。
「へへー!パトヒポだよー!」
トッドが自慢気に背筋を伸ばした。
やれやれ。
「そういやトッド。ヒポが出てくるのが早くなったか?」
「ああ、召喚士とのリンク度が上がると早くなるんだよ。なーヒポ」
ヒポは体を揺らして喜んでいた。
うーむ。
ヒポが子供っぽくなったのは、トッドとのリンク度が上がったからだろうな。
こいつも成長しているって事か。
「明日から馬は止めて、ヒポとパトロールするんだぜー!」
「マジか!?」
「ちなみに、夜勤と日勤にチーム分けされたんだー」
え?ええ?
トッド曰わく、効率を優先させる為に、保安官助手としての仕事に慣れる為の日勤と、そこで培われたコネを利用して、密輸の事を嗅ぎ回る夜勤のシフトがあるらしい。
ハードだな。
チームはアーク、トッドチームと、アンジー、マックチームだそうだ。
スタンは基本的にはどちらかにサポートとして付いてくれるそうだ。
わー、色んな意味で気にかかるチーム分けだなー。
ちなみに今追ってるのは麻薬についてだそうで、銃の線は俺達に期待しているそうだ。
うわうわ、プレッシャーだぞ!
アンジーとマックは今寝ているそうで、明日から夜勤なんだってー。
だから今宵の夕食はアークとトッドと俺とレイナのメンバーになるそうだ。
しばらくアンジーの顔は見れないかもなー。
頑張れアンジー!
あ、マックもね。
しばらくそんな話をしていると、部屋をノックする音が聞こえた。
レイナだった。
「どした?」
「聞いた?日勤と夜勤の話」
「お、おう」
「アンジー起こしたらかわいそうだから、お部屋どうしようかと思って」
「え?あー、そうだな。一人部屋をとるか!」
「え?いいの?お金、、、大丈夫?」
「平気!金ならある!」
そう。金ならある!
「そ、そう?あ、、、オズと一緒にひと部屋でもいいよ、あたしは!」
「ちょ!しーっ!」
レイナの口をふさいだ。
アホか!
トッドに聞こえて無い事を祈りつつ、部屋をフロントに手配するよう頼み、ニタニタ笑うレイナを部屋の入口から追い出した。
まったく!
何を言い出すんだアイツは!
といいつつ、ちょっとそれもいいなと思う俺だった。
えへ!
部屋割りが変わった。
アークとトッドでひと部屋。
ひとり部屋はいらないんだってさ。
お利口さんだね。
マック、アンジー、俺、レイナでそれぞれひと部屋づつ取りました!
夜這いが出来るぞー!
読んでいただきまして、有り難うございました。
ロイヤル・ストレート・フラッシュ。
また名前が再登場しました。
ジャックの仲間が出ました。
そして、ギルドからの帰り道、何やら決定的な事が起こったような、そうでもないような。
そして、チームになったアンジーとマック。
果たしてオズは夜這いをかけられるのか?
次回、ご期待ください!




