第八十二話「優等生とお荷物」
こんばんは、作者です。
風邪引きました。
皆さんも、お気をつけ下さい。
昨日は過去最高のユニークユーザー数でした。
ポイントもじわじわと上がって来ました。
ありがとうございます。
感謝でいっぱいです。
今日はガンナー登録に向かいますよー。
試射を終えた俺達は、ガンセンターの二階にいた。
そう、ガンナー登録をする為だ。
まずは登録しないと。
ガンナーになると、装備品や弾が安く買えるからだ。
二階は沢山の人がいた。
ちなみに、ガンナーじゃなくて、銃の所持許可証だけをもらいにくる人もいた。
こちらは前科が無く、身元が証明でき、真っ当な仕事に付いていれば貰えるそうだ。
いわゆる民間人の自衛手段として、重宝されているらしい。
「人いっぱいだね」
「だねー」
俺達は順番の列に並んでいた。
しばらくすると、順番が回って来た。
「こんにちは、今日はいかがいたしましたか?」
受付のお姉さんが声をかけてきた。
ガンナー登録をお願いする旨を伝えた。
身分証の提示を求められた。
とりあえずギルドカードを二人分出した。
「あら、テッサから。随分遠くからいらっしゃったんですね」
「ええ、仕事で」
お姉さんはスキャナーにカードを照らした。
緑のランプが点いた。
「お二人とも、問題ないようですね、オズさんはバウンサーでいらっしゃるんですねー」
ちょっとお姉さんが見直してくれたようだ。
「では試験を受けて頂きます。銃はお持ちですか?」
「はい。さっきヘンリーに貰いました」
「あら、ヘンリーさんに。そう!気に入られたのねー、珍しい」
ヘンリーの偏屈は、ここでも有名なんだな。
俺達はお姉さんに教えてもらい、試験場に向かった。
試験場は別の棟にあった。
免許センターみたいだな。
モトユキ達と通ったなー。
イットウ以外は一発合格したんだっけ?
まずは筆記試験か。
銃に関しての一般的な試験だった。
試験が始まるまで、会場の横のベンチで予習をした。
レイナは真剣な顔で教本をパラパラとめくっていた。
「レイナ、大丈夫か?」
「うん。今覚えた」
「まじ?」
「勉強嫌いだけど、バカじゃないから!」
お母さんの血かね。
自信満々に答えた。
試験が始まった。
意外に簡単だな、オモチャで遊んどいて良かった。
隣のレイナも、カリカリと快調に解答していた。
なかなか凛々しい横顔だな。
書けた人から退場していいらしく、俺とレイナはほぼ同時に退室した。
「出来た?」
「余裕よ!」
本当に余裕そうだ。
リザードマンの時も、ちゃんと地図の確認してたっけね。
次は実技か。
実技の試験場はフェンスに仕切られた屋外にあった。
前の組が試験をしていた。ターン、ターンと銃の音が聞こえて来る。
レイナはまた、実技の教本をパラパラめくりつつ、銃をいじっていた。
うーむ。
こういう優等生モードの時はあまり喋らないんだな。
凛としていて素敵だ。
教本から顔を上げたレイナと目が合った。
「なあに?」
「な、何でもない」
「ふふ、こういうあたしも好き?」
ぐっ!
見透かされていた。
レイナはニタっと笑うと、また本に目を戻した。
しばらくすると、俺達の組の番になった。
実技は三種類だ。
一つ目は、銃に弾を込めて、撃ち、排莢までを行う試験だ。
「はい、じゃあ皆さん集まって!」
試験官の男がやって来た。紳士風のかっちりした服に身を包んだ男だった。
上着の丈が長い。
昔の公爵って感じか?
同い年か、ちょい上くらいかな?
なかなかに男前だった。
「皆さんこんにちは、私はジャック。ガンナー協会からボランティアで、やって来ました。この時間の試験官を務めます、よろしくお願いします、おや、なんと素敵なレディーだ。ご機嫌いかがかなマドモワゼル、」
ジャックはレイナに歩み寄って来た。
恭しく膝を付き、レイナの手にキスをした。
「あら、光栄ですわ」
レイナは喜んでいた。
うー!イライラする。
「いかがかですか?試験の後にお食事でも」
「あら、嬉しい、」
「だーめ!!」
別に付き合ってないし、あと、別に付き合ってないし、そうそう、別に付き合ってないんだけどさ、なんか腹立ったのさ!
「おや、君は?」
「こいつの、、か、か、彼氏だ」
あーあ、言っちゃった。
「ダーリン!」
レイナが小悪魔になった。
し、しまった、罠だ、こいつを利用しただけか!
レイナはご機嫌だった。
あーあ、、、(汗)
「これは失礼しました。では試験を始めましょう」
試験は、弾を込めて無い状態の銃に装填をして、色々な射撃姿勢で的を撃つようだ。
基本動作のおさらいみたいな感じなのかな?
試験が始まった。
みんな緊張していた。
弾を落とす人、うまく装填出来ない人、足がガクブルになって的に当たらない人。
いやー、だんだん自信が無くなって来た。
いよいよ、レイナの番になった。
「がんば!」
「ありがと」
レイナが銃を備え付けの机に置いて構えた。
一拍、深呼吸をした。
周りがざわつく。
銃もレイナみたいな女の子も珍しいんだろう。
ゆっくり銃を手にとった。
あとはパンチラショーだった。
キリッと引き締まった顔と、赤色の悪魔の競演。
いやー、いいものを見た。
え?結果?
バッチリだったよ。
次は俺か。
ジャックが話しかけて来た。
「君達の銃は、何なんだ?」
「ああ。これな、ヘンリーの新作だ。七発プラス、チェンバーに一発入る」
「は、八発入るのか?」
「そうだ。この弾倉を入れ替えるだけで、再装填も可能だ」
「す、凄いな。形もまるで、」
「エボニーみたいだろう?」
「君はいったい?」
「ただのガンオタクさ」
ジャックはまだ聞きたそうだったが、後がつかえているから諦めたようだ。
「よし」
俺も準備位置の机にマガジンを抜いてフレームオープンの状態の銃を置いた。
スタート。
マガジンを叩き込んだ、フレームを戻す。
初弾が送りこまれた。
スタンディングスタイルで二発。
ジャムに気をつけつつ引き金を引く。
ジャムって、動作不良の事ね。
座って二発、寝て一発。
二発残して、全弾命中した。
レイナよりバラけたなー。やっぱり風のアシスト無しだとこんなもんかな。
終了!
「オズ。凄いじゃん!この前と大違い」
「ふふ、ありがとう」
リヴォルヴァーは握り慣れてないから苦手なんだ。
なんせ、お城のオモチャは、ブローバックしかないからな。
俺達はベンチに座って、他の人の試験を見ていた。
「試験っていいね。あたし、こういうドキドキ感嫌いじゃないなー」
「あはは、そうか、俺は嫌いだ」
レイナ、Mなんだね。
レイナはまた教本を読んでいた。
夏の風がレイナ側から吹き抜ける。
いい匂いがした。
ちょっとドキドキ。
こういうドキドキは好きだぞー!
「ねえ、オズ、大変、次は早撃ちなんだけど」
「え?早撃ち?」
想定外だ。
クイック&ドローだっけ?そんなのやった事ないぞ!
そもそもセミオートで早撃ちは厳しいな。
シングルアクションの銃なら早撃ちは得意だろうけどさ、ファニングって技があってねー。
映画で見たことある。
腰らへんで銃を構え、反対の手で撃鉄を弾くように撃つんだー。
ど、どうしよう?
「まあ早さより、正確さを優先するしか無いな。焦って引き金を早く引くとジャムるからな」
後ろを振り返るとヘンリーがいた。
受験者がどよどよしていた。
そうだろう、偏屈者で有名な伝説のガンスミスが人前に現れたんだからな。
しかも試験会場に。
「ど、どしたのヘンリー」
「ああ、一つ渡すものがあってな」
ヘンリーの手には皮のホルスターが四つ握られていた。
わー、カッコいい!
茶色のホルスター、白色のホルスターがそれぞれ二種類。
一つは腰用、一つはショルダーホルスターだ。
刑事みたい!
「用途に応じて使ってくれ。腰用のは角度が変えられる。背中から抜ける形や、利き腕のすぐ前の腰元、後は剣みたいに反対側の腰からも抜ける。使いやすいほうで使うといい。プレゼントだ、じゃあな」
ヘンリーはそれだけ言うと、帰って行こうとした。
「ヘンリー、見ていかないの?」
「ああ、注目されるのは嫌いでな。それに、君達が落ちるはずが無い」
「へへー、ありがとう。あたし、がんばる!」
「ありがとう」
「はっはっは、健闘を祈る」
ヘンリーは去って行った。
「ねえねえ見てー、白の皮よ!かわいいよねー!で!どうやって付けるの?」
ズルッ!
知らないのかよ。
しょうがないから、俺はレイナの腰にしゃがみ込んでホルスターをつけてやった。
お、意外にくびれ!
あー、いつ見ても素敵なお尻、超間近じゃん!
いかん、真面目にやらんと。
よし、これでいいかな。
レイナは早撃ちは苦手だから、手から一番近くて、抜きやすい所にホルスターを持ってきた。
デニムミニの腰に、白いホルスターと白銀の銃が揺れていた。
うん、よく似合う。
レイナは俺が調整している間、終始モジモジしていた。
こいつまさか、攻めるのは得意だけど、逆は苦手なんだな。
ふふ!
「よーし出来たぞ!」
俺はそう言いながら、レイナのお尻をポンと叩いた。
「き、きゃ!ち、ちょっとオズ!」
柄にも無く赤面するレイナ。
可愛いヤツめ。
俺もその後、右の大腿骨の上辺りにホルスターをはめた。
よく海外ドラマの刑事が付けてるポジションだね。
さあ、やるぞ!
一つ目の試験は終了していた。
俺達はゴルフの打ちっぱなしみたいな場所を奥へ進む。
二つ目の試験は、レイナの言うとおり、早撃ちの試験だった。
受験者は皆、慌ただしく腰のホルスターを調整していた。
「はい、では次は早撃ちの試験です。早撃ちと言っても、コンテストの様なスピードじゃないですよ。いわゆる、瞬時の対応を見ます。時間は5秒。ブザーが鳴りますので、それから終了のブザーが鳴るまでの間に、的に当てた数が点数になります」
その後は点数の説明をしていたが、俺は緊張して聞いていなかった。
「はい!皆さんいいですか?ここで注意する事は、自分の足を撃たない事!」
受験者に笑いが起きた。
「はい!笑ってますが、だいたい一回の試験に一人はいますからね!ガンナーを受けるくらいの皆さんでも、緊張すると、一回目の試験みたいに、普段の力が出ない事もあるんですからね!」
みんな下を向いた。
そう、さっきは悲惨だった。
ガンナーを受けるくらいだ、日常的に銃を扱っているんだろう。
それなのにガクブルするんだからな。
ま、俺だってレイナがいなけりゃガクブルものだがな。
「ちょっと、リラックスしてよねー」
レイナの声がして、俺のお尻がペロンと撫でられた。
「うわっ!こらー!」
「さっきの仕返しー!緊張ほぐれた?」
あ、、、。
そう、ほぐれた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
会場に目を移すと、試験の準備が整っていた。
芝生の上に台が置いてあって、そこに人型の的があった。
芝生から数メートル離れた所の地面に白線が引かれていて、その手前に足跡を模した絵が描かれていた。
あそこに立って、的を撃つんだな。
「はい。では始めますよ。受験番号の早い人からどうぞ!」
ジャックの声に、受験者の一人が動いた。
立ち位置に着く。
ゆったりと構えながら、右手は腰の下にダラリとしていた。
ビー!
ブザーが鳴った。
銃声が六発響いた。
ビー!
どうだ?
三発命中していた。
まあまあ、、かな?
でも半分だよな。
「はい!じゃあ次!」
その後も試験は続く。
最初の受験者は中の上くらいだった。
一発も当たらない人。
全弾当てる人。
様々な人がいた。
ちなみに足を撃っちゃう人はまだいなかった。
いかん、フラグが立ち始めた。
お、俺は足は撃たないからな!
前フリじゃ無いからなー!
いよいよレイナの番になった。
「レイナ、がんばってね!」
「ありがとう!任せといて、ちょっと考えがあるの!」
何だろう?
レイナが立ち位置に着いた。
ゆっくり深呼吸していた。
ビー!
ブザーが鳴った。
レイナは他の人に比べると遅い動作で銃を抜いた。
パン!
パン!
パン!
ビー!
ブザーが鳴った。
三発しか撃てなかった。
「これは凄い」
ジャックが驚いていた。
見るとレイナの弾丸はどれも、的の真ん中を正確に撃ち抜いていた。
「レイナ!凄いじゃないかー!」
「えへ、下手な弓矢もなんとかの逆をやってみたのー!」
なるほど、正確さをとった訳か。
弾数は捨てて、キチンと狙いを定めて撃ったんだな。
確かにその方がいい。
ニホンに行った時に、テレビのドキュメンタリーで、アメリカの警官の映像を見たことがあった。
銃に日常的に触れている彼らでも、事件に遭遇した時に、いきなり抜いて発砲しても、一発も当たらない事があるらしい。
レイナの弾は真ん中ばっかりだからな、かなりの高得点だろう。
凄いなー。
レイナは頭いいな。
次は俺か。
レイナに肩を揉まれつつ、俺は所定の位置に着いた。
うー、怖いよぅ。
ビー!
ブザーが鳴った。
俺は銃を抜いた。
ドン!
焦ったからか、反動を変な風に逃がしてしまった。
銃が斜めっていた。
ガキン!
あ、あれ?
弾がイジェクトポートに挟まった。
あーーーーー!?
読んで頂きまして、ありがとうございました。
優等生ぶりを遺憾なく発揮しているレイナ。
一方フラグが立ったかもしれないお荷物野郎。
オズはついていけるのか?
頑張れオズ!
ジャムってる場合じゃないぞ!
ではまた次回。




