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第七十話「ロイヤルストレートフラッシュ」

作者です。

こんばんは。


私めの小説、一番読者数が上がるのが、週の半ばです。

不思議だー。


今回はなかなか楽しく書いていました。


それでは本編どうぞ。

次の日の朝。


俺はタバコを吸いがてら、海辺の砂浜へとやって来た。


夜遅くにトッドは戻って来たようだった。

まだ寝ている。


「ふ、ふごー!ど、どうだ!ロイヤルストレートフラッシュだー!ふごごー」


寝言を言っていた。

ポーカーやってたのか。


起こすのも可哀想だったからな。


砂浜は、まだ朝だというのにサーフィンを楽しんでいる人や、水浴びをしている人で賑わっていた。


しっかし、暑いな。

アミマイはこの時間でも、熱帯特有の暑さを発揮していた。

サングラスして来て良かった。

喉渇いたなー。

俺はカフェテラスに入って、モヒートを頼んだ。

モヒート。ラムにライム、ミント等を混ぜたエメラルドグリーンのカクテルだ。

やっぱり南国に来たらこれだぜ!


パラソルの付いたスタンドに寄りかかりつつ、モヒートを飲む!

ラムの芳香とミントの爽やかさ。

南国に吹く、一陣の風だな。

あー美味い!


何故朝から酒かって?

アミマイの美しさのせいさ。


《嘘をつけ!呑みたいだけだろ!この、酔いどれ殿下が!》


や、やかましいわ!

モトユキ、おはよう。


あ、そうだ、アークって何なんだ?

何故俺の正体に気づいた?てか気づいてるのか?


《あ、おはよう。アークか、、俺にも分からん。が、、、勇者なんてそんなもんだ。ま、いいやつだということは間違いないな》


ま、まあな。

勇者、、、ね。


タバコを吹かしながら、俺はボンヤリと海を見ていた。

砂浜にあるカフェからは、歩いてすぐの所に波打ち際があった。

じんわりと汗がにじむ。

パラソルの下は風が通り抜けて行っていたが、暑い。

海入りたいなー。


水面が朝の光に輝いていた。

と、目の前の水面から、ザバーッと顔を出した人影。

潜っていた海から上がって来たんだろう。

髪をフルフルと振り、水を払った。

身体から落ちる水しぶきがキラキラ光る。

緑色のビキニ姿の女性だった。

キュッと締まった腰には短剣のようなものが付けられていた。

海女?


陽光で顔はよく見えない。

やがてその女は、腰をくねらせながら海から砂浜へ向かって来た。


細いうなじ、華奢な肩、豊満な胸から、腰へと続くくびれ、やや小さいが、上を向いた柔らかそうなお尻。適度な筋肉がついたスラリと伸びた足へと、水が跳ねるように滴り落ちていた。はりのある肌のなせる技だ。

うわー、スタイルいいなー。

お尻に食い込んだ水着を片手で直す仕草が艶めかしい。


眩しそうに太陽を見上げた横顔。

しっとりと濡れた緑色の髪が綺麗だった、、、


って、エエエエエエエー!????


「シルフィー!?」


俺の声に気付いた女は、俺の方を向いた。

そして、見えない帽子を脱ぐような仕草をしつつ、片手を高々と上げ、アミマイの朝に負けないくらいの笑顔で言い放った。


「まいどー!」


シルフィーの背中に18番の背番号が見えた気がした。

お前はハムの元エースかよ!


「シルフィー!」


シルフィーはトテトテと走って来て、抱きついて来た。

うわうわ、ビッチョビチョ。

けど、ウヘヘ。

って!


「シルフィー、何してんのこんなとこで!?」


「何って海水浴に決まってるやん!スローカーブ投げてる様に見えた?あれ?スローカーブって何?まあええわ、海来たらする事は一つやろ!」


「ああそうか、南国と言えば海だからなあ、ビキニ良く似合うよって、違うわ!」


「へへー、うちを誰やと思てんの?」


「俺の彼女?」


「そうやでー、へへー。オズ大好きっ子のシルフィーちゃんやでー、ってちがーう!違わへんけど!うち諜報員やで!お仕事してんねーん!ふふー」


「なーるほど。お仕事か。んで今朝の海はどうだった?」


「あ、綺麗やったで、ゴミも落ちてないし、せやけど今日は土曜日やから、海混むから、迷子と溺れる人に注意せなって、ライフセイバーちゃうわ!」


「ブオーン。ブオーン。シュゴー、シュゴー」


「それはラ○トセイバー!って、何言わせんねん!勝手に口が喋るー!ラ○トセイバーって何?てかもうやめさせてもらうわ!」


「どうも、ありがとうございましたー」


周りの人達から、まばらな拍手が起きた。

って夫婦漫才やってる場合か!

とりあえずシルフィーの分もモヒートを頼んだ。

グビグビと呑むシルフィー。

相変わらず、いい飲みっぷりだね。


「プハー、美味し!」


ニカッと笑った。


「結局何でアミマイに?」


「プリンセス・エクスプレスで」


「そうか、遠距離恋愛の定番だもんなって、もういいよ!」


《ここでCMです》


雨が雪に変わるらしい歌のイントロが聞こえて来た。


それもいらーん!


ぐにゅーんと音がねじ曲がり、消えた。

AR東アメリアめ!


「ふふ。インセンス様にくっ付いて来てん」


「インセンス?あのオバチャン?」


「失礼やで!昨日会うたんやって?」


「あ、ああ、あ、、、?」


「インセンス様はなー、いわゆる協力者やねん。今のうちがやってるお仕事のな、うちは表向きはインセンス様の侍女っちゅーわけやねん」


「そうだったのか、それならそうと言ってくれればいいのに」


「書いたやん!歌習てるって!」


「!?、、、た、確かに」


いつぞやの紙飛行機に、そんなこと書いてあったな。まさか、あのオバチャンに習ってるとはね。


「けどなー。今回は仕事とは関係無いねん!」


「そ、そうなの?」


「インセンス様がなー、そろそろコンサートでもやろうかしら、って言わはるからなー、オズがアミマイに来るのは紙飛行機で教えてもろたからな、アミマイにしよーアミマイにしよー言うて、無理やり引っ張って来てーん!会いたかったでー、オズー!」


シルフィーは俺に抱きついて、ブチューっとキスして来た。

懐かしい、タコみたいなキスだった。


「まったく、朝からお盛んねー。もー、暑いの嫌いなのよーあたし。けどシルちゃんにねだられたら断れないわよねえ。あたしはキューピットじゃないんだけどねえ」


二人して振り返ると、オバチャ、、、インセンスがお供も付けずに立っていた。手にはコーラ、、いや違うな、キューバリバーを持っていた。


「お師匠さん!」


「師匠はやめてよね、柄じゃないのよ」


「けどー、お師匠さん、、、」


「もー、そんな顔しないの!貴女という子はホントに。まあいいわ。好きに呼んで」


「へへー、お師匠さん!」


「ふふ。かわいいわねえ、オズ、素敵な彼女がいて、貴方は幸せ者よねえ、あ、おはよう」


なげー!挨拶までが長いよ!


「お、おはよう。何やら俺の彼女がお世話になってるそうで、また、ご迷惑もかけているそうで、すいません」


「ふふふ。迷惑だなんて、賑やかでいいわ。それにシルちゃんに上目使いで頼まれたら断れないのは貴方もよく知ってるでしょう?この子の頼みじゃなかったら、こんな暑苦しい国には来ないわよ。あー暑っつーい」


、、、。

その毛皮のコートを脱げばいいんじゃないか?

バカなの?天然か?


「失礼ね」


「失礼やで!」


ぶっ!

聞こえてんだ。


「ま、まあ、詳細は分からないけど、シルフィーをよろしくお願いします」


「ふふ。愛ね!もちろんよ」


「へへー」


「けど、どうして一人で歩いてるの?」


「あたしだって一人になりたい時もあるのよ、今頃警護が大騒ぎしてる頃よねー、ま、ほっとけばいいわ」


有名人はつらいよな。


「お互いにね」


!、、、。

喋るの止めようかな(汗)


「オズー!お師匠さん、こんなんやけどめっちゃいい人やねんでー!」


「失礼よ」


「失礼だぞ!」


「ごめーん、へへー」


ま、確かに。

相変わらずの喋り方だけど、今日のインセンスの雰囲気は、普段の周りに人がいる時のそれとちょっと違う。


それにシルフィーも可愛がってもらっているようで、よく懐いている。

シルフィーの事も、俺の事も、優しげな目で見てくれていた。

知ってか知らずか、シルフィーのおねだりの為だけにわざわざこんな最南端までやって来てくれたんだからな。


いい人なんだろう。


「あら、照れるわ」


やっぱり聞こえてんだ!


「ふふ、さてと、そろそろ戻らなきゃ。軍隊が捜索に出て来かねないものね」


インセンスは自嘲気味に笑った。


「そや!お師匠!戻りましょ!」


シルフィーがインセンスの手を引いた。


「あらあら、シルちゃんはもうしばらくオズに甘えていていいのよ」


「あかん!うちもオズもお仕事中や、酒飲んでるけど」


シルフィーは言葉を切って苦笑していた。

というか、三人共、自分達が朝から酒を飲んでる事を思い出して苦笑した。


「ちょっとの間だけやけど、オズに会えたから。頑張って仕事するねん!オズも頑張って!」


「お、おう!」


「シルちゃん泣かしちゃダメよ、ふふふ」


「お、おう!(やべー、どこまで見透かされてんのか)」


「ほんならな!またねダーリン!」


シルフィーは最後にもう一度熱烈なキスをすると、インセンスの手を引っ張って、走って行った。


「ち、ちょっと、シルちゃん!走らせないで!汗かくの嫌いなのよ!」


「あかん!お師匠様!たまには運動せな!太るでー!」


「失礼よ!太ってないわよ!」


インセンスはシルフィーと似たような体型だ。

流石セレブだな。


「ツベコベ言わへんの!ほらダッシュ、ダッシュー!」


「ち、ちょっとシルちゃん!いーーーやーーー!!!」


インセンスはシルフィーに引きずられるように走らされて行った。


絶叫してる割には楽しそうだった。

確かに賑やかでいいわな。

てか、似たような光景を前にも見たな。

シルフィーの強引さはリーアム譲りか。

けど、シルフィー!

元気そうで何よりだ!


部屋に戻るとトッドが起きていた。


「先生おはよう!どうしたの?ニヤニヤして」


「い、いや、別に、お前こそ寝言でポーカーの話してたぞ、昨日は勝てたか?」


トッドはズーンと沈んだ。

勝てなかったんだ。


「俺、単純で顔に出るから、ポーカー向いてないってマックに言われたんだ」


「ははは。ポーカーフェイスから一番遠いからなお前は」


「う、うん、はあ、、、」


落ち込むトッドを立たせて、俺は朝食を食べに昨夜のレストランへ行った。


朝食はまたもやバイキングだった。

しかーし!

あったよ!あれが!

駅弁からみても、もしやと思ったが。


かくして俺のテーブルには、ご飯、海苔、鮭、味噌汁、おひたし、納豆、卵。

そう、朝定食が並んだ。

いえーい!

流石三ツ星ホテル。

味も完璧だった。


おかわりしてる頃に、アークとマック、レイナとアンジーが眠そうにやって来た。

レイナはまだメイク前で眉毛が無い。

アンジーも然り。

ま、アンジーはスッピンでもあまり変わらないけど、昨日が凄すぎたからな。

とはいえ、二人共昨夜とえらい違いだな。


「なあにこれ?美味しそう!」


レイナが俺の定食に興味を示した。

俺は同じものを用意してやった。

ついでにアンジーにも。


「ズズズ。わー美味しいこのスープ。お酒が抜けて行くー!」


レイナはシジミの味噌汁が気に入ったようだ。


「こ、これは!腐っているぞ!」


アンジーがお約束の反応を示した。

はいはい納豆ね。


「腐っているんでは無いぞ!これはな、こうやって」


俺は納豆を混ぜ、カラシとダシをかけ入れ、再度混ぜた。


「きゃはは、何これ、おもしろーい!ネバネバー」


レイナが見よう見まねで遊んでいた。


「はい、出来上がり!ご飯にかけて食べるんだ!」


「えー!?うっ!すごい匂いだ、、、」


アンジーは顔をしかめた。レイナは果敢にチャレンジしていた。


「美味しいじゃん!けど!食べづらーい、糸!糸!」


朝からテンション高いなコイツ。

アンジーも、恐る恐る食べ始めた。


「ふむ。モグモグ、ふむ、モグモグ、ふむふむふむふむ!美味しい!」


アンジーはパクパクと納豆ご飯を口に運ぶ。

糸は剣さばきならぬ、見事な箸さばきで切っていた。空中で切られた糸が、絹のように茶碗に戻っていく。

神だ!納豆の女神がいる!

あっという間にアンジーもレイナも一杯目のご飯を完食した。


「おかわりー」


俺に茶碗を差し出す二人。

いや、自分で行けや!

バイキングだってば!


しょうがないので、俺は二人のご飯をよそってきた。


「じゃあ次は海苔!」


「海苔?これ?食べ物なの?手拭きかと思った」


違うわ!


海苔を開けて、お醤油をほんのちょっと付ける。

箸でご飯を巻いて、はいアーン。

箸が下手なレイナの口に入れてやった。

アンジーとトッドが羨ましそうな顔をしていた。


「アーン。モグモグ、モグモグ、うーん、デリシャス!最初パリパリ、ご飯熱々、んで最後しっとり香ばしくて美味しい!」


気に入ったみたいだ。


これをご飯におかずが進んだ。


「おかわりー!」


俺を含めた男性陣が、ギョッとなった。

ま、まだ食べるの?


食事の度に思うけど、二人共、よく食べるよなー。


じゃあ最後はこれだな。


じゃーん!

卵かけご飯!


ご飯を用意して。

何故かテーブルにある昆布塩をさらっとひとふり。

卵を割り、軽くかき混ぜてご飯へ投入!

ご飯の熱で卵白が白くなる。

いいねえー。

最後に醤油を垂らして、完成!

これを締めに食べて、今日も頑張るのだ!


何故かアーク達まで卵かけご飯を用意していた。

トッドは納豆もトッピングしていた。

レイナに無理矢理口に入れられたが、思いのほか気に入ったらしい。


「こんな食べ方、俺様しか思いつかないぜー!」


いや、あるから!そういう食べ方。


マックは、、、バイキングからワサビとシラスみたいなものを持って来て、トッピングしていた。


「ふふ。これはアートだ!」


また始まったよコイツの十八番。

ニタニタとご満悦のマック。キモいよ!

ま、センスは認めるけどね。

思うにマックは料理人とかになった方がいい気がした。【小料理屋・幕夜】とかさ。幕夜と書いてマクナイト、なんつって!


「ププッ」


隣でアンジーが笑っていた。

いや、アメリカンジョークじゃないから!

何か心外だな(苦笑)


《す、すいません、つい、、、幕夜って、クスクス》


何だかんだで、全員美味しく卵かけご飯を完食しました。


「ごちそうさまでした!」


食事が終わった後、各自準備をして、一階に集まった。

チェックアウトはしない、しばらく滞留することにしたからだ。


今日は依頼主に会うんだ!


部屋の鍵をまとめてフロントまで預けに来ると、昨日のフロントマンがいた。

デニスだっけ?


「あ、おはようございます。お出かけですね。鍵をお預かりします。あ、そうそう、先ほど、インセンス様の侍女の方が見えまして、モズ様にこれを渡してくれと」


デニスは小さい封筒をくれた。

シルフィーかな?

何だろう?


封筒を開けると、中には手紙と、レザーで編んだようなミサンガが入っていた。

風車をモチーフにしたシルバーの飾りが一つ付けられていた。


手紙を読んだ。

《オズへ。これ、うちが作ってん!うちは今、基本的にはベネーリア王国におるぬん。ベネーリアはファッションの最先端の国やねんでー。こういうのいっぱいあるねんでー。んでな、お師匠様に教えてもろて、頑張ってん!風車はブレザール公国のシンボルマークやねんで!下手っぴやけど、オズに風の加護がありますようにって思って!お仕事頑張ってな。離れておっても、うちの心はいつも貴方の側に。貴方のシルフィーより》


うわー、やべー、ちょっと泣きそう。


早速付けてみた。

ぴったり!

エレーナがくれたミサンガの隣に重ね付けした。

うーん。

勇気が湧いてくる!

エレーナには力を、シルフィーには勇気をもらった。

ウヘヘ。


「あの侍女の方。超美人でいらっしゃいますよねー!あの方ともお知り合いなのですか?」


デニスが聞いて来た。


「ああ。俺の彼女だ!」


氷像みたいに凍りついたデニスを残して、俺は仲間の所へ戻り、ホテルを出発した。


シルフィー。

まさに彼女こそロイヤルストレートフラッシュだな。


《寝言は寝てから言え》


寝言じゃねーよ!モトユキ!

読んで頂いて、ありがとうございました。


シルフィー。

仕組まれた奇跡ですね(笑)


歌はオバチャンに習っていたようです。


書いている自分が言うのも何ですが、いい子ですねーシルちゃん。

オバチャンとも上手くやっているようで。


ちなみに海から上がって来るシーンは、自分が大好きな映画シリーズのワンシーンのオマージュです。

実写で見てみたい今日この頃です。


それにしても、食べ物のこだわりには性格が出ると言いますが、先日の駅弁もそうですが、登場人物に飯を食わせると性格があらわになりますねー。

書いててちょっとびっくりしました。


明日はいよいよ依頼に取りかかります。

ご期待ください。

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