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第六十九話「アミマイの夜」

こんばんは、作者です。


アミマイ着きました。


さて、どんな展開が待っているのか?


本編どうぞー。

高架駅に汽車が滑り込もうとしていた。

車窓には黄昏時のアミマイ。

南方を海に預けるようにして、その街はあった。


海の西に沈もうとする夕陽が本日最後の輝きを放っている。

燃え上がるような太陽の光りに赤く染まる白い砂浜、砂浜と街の境目には椰子の木が植えられた歩道が見え、沢山の人が夕暮れ時の散歩を楽しんでいた。やや離れた所にヨットハーバーが見える。

色とりどりのレジャーボートが停泊していた。

海遊びとかするんだな。


街はガラス張りのビルが多い。

ガラス張りなのかな?

近代的なビル群と白壁のレトロな外観の建物、モダンと古風が入り混じっていた。

ビルに夕陽と海が反射している。

オレンジとブルーの競演、眩い夏の夕暮れがそこにはあった。

夏?

そう。汽車を降りた俺達の第一声は。


「暑っ!」


うん、忘れてたよ。

アミマイは南国。

夏の楽園だった。


「あー、水着持ってくれば良かったー。海ー!」


レイナがはしゃいでいる。

トッドは呆れ半分期待半分といった表情で、レイナを見ていた。

胸デカいからなーレイナ。


ふと、隣のアンジーを見る。

巨乳だな。

俺の卑猥な視線を感じたのか、アンジーは胸の谷間を隠すようにしていた。


アンジーの顔を見つつ、心の中で呟く。


ビキニだな!


《む、無理です!》


却下!


《えー!ぜ、絶対海には近づきませんからねっ!》


アンジーは固く何かを決心したようだった。


とりあえず、依頼主に会うのは明日になった。

座っていたとしても、長距離の移動はしんどい。

ましてや俺とアンジーは戦闘もしたからな。

正直クタクタだった。


今夜は奮発して、浜辺の高級レジャーホテルに泊まる事にした。

というより、どこも満室だったからだ。

空室のあるホテルを探しているうちに、どんどんグレードが上がっていき、結局海辺の一等地にある【グランド・オーシャン・ホテルズ・アミマイ】なんつー、三ツ星ホテルになっちゃった(汗)

アミマイは観光地でもあるようだ。

浜辺には他にも高そうなホテルが沢山建っていた。

ぶっちゃけ、お金は俺が出した。

もはやアーク達のお金では賄えなかった。

ま、俺は成り上がりセレブだからな。

ギルドカード、一発決済だった。


「わー!展望露天ジャグジー付きの部屋だよアンジー!お風呂!お風呂!」


レイナは早速アンジーの手をひいて部屋へ走って行った。


他は俺とトッド。アークとマックの組み合わせだ。

俺を残して、みんな部屋へ行った。

俺はまだチェックインの手続きの途中だった。

あいつら!薄情なやつらめ?


本当は一人部屋が良かったんだけど、満室だったんよね。

何でこんなに混んでるんだろ?

フロントマンに聞いてみよー。

最初、キョドりながら入って来た俺達をジロリと蔑むように睨んだ時とは、打って変わったようにニコニコしていた。

なんせギルドカード一括でポーンといったもんな。

ギルドカードには俺がバウンサーだという事も書いてあって、何故かスイートルームを普通料金であてがってくれた。

あ、これが例のギルド割引か?

しっかしホテルマンめ!

ころころ態度変えやがって!現金なもんだな。

いやカードで払ったんだけどね。


「いつもこんなに繁盛してるの?」


「ええ、おかげ様で、週末は満室が多いです。が、今日明日は特に混み合います」


「どして?」


「ベネーリアの歌姫のコンサートが開かれているからです」


「ま、まさかピーチなんちゃらか?」


「はい。よくご存知で。ピーチウェル・インセンス様です」


「な、なるほど、、、」


「私も行きたいのですが、なんせチケットが取れませんので」


「そ、そんなに人気なの?」


「あったり前で!そりゃあもう!し、失礼しました、つい興奮を。大陸一の歌姫と言われる、インセンス様ですが、最近はもう、あまり人前で歌ったりなされなくなりまして、コンサートも年に一、二回しかされません。ですから、チケットはプレミアが付いて、もはや我々庶民には手が届きません。今回も、いきなり開催が決まりまして、もう上や下への大騒ぎで、国内外からファンがアミマイに押しかけておりまして」


そ、そんなにすごい歌姫なのか!

あのオバチャンが?

舞踏会で挨拶したくらいだったけど、なんか苦手なんだよなー。

心の中を見透かされてる気がしてさ。


「ふーん、確かに、こないだ聴いた歌は上手かったな」


「え、ええ!?またまたご冗談を。今年に入ってまだコンサートは開かれてませんよー。はははー」


「はははー」


いっけね!ついつい、余計な話を。


と、ここでフロントマンは声をひそめた。


「そうそう、極秘なんですけどね、インセンス様は当ホテルにお泊まりなんですよ!」


「げっ!」


俺の反応をフロントマンは違う意味にとったらしい。


「オズ様!貴方は運のいいお方だ。インセンス様を見れますよ!もうすぐ!」


「え?えー?」


「もうじき会場入りされるお時間です。先ほどまではお部屋で発声練習をされておりまして。それそろ下りてこられる頃かと」


まるでフロントマンの声が合図だったかのように、タキシード姿の男達が吹き抜けの階段から下りてきて、エレベーターみたいなものの前に整列した。

辺りを警戒している。

ボディーガードか?

映画みたいだな。


チーン!


と音が鳴って、エレベーターの扉が開いた。

同じタキシード姿の男が二人出てきた。

そして、それに続いて、、桃井、、いや、ピーチウェル・インセンス。

その人が現れた。

夏だというのに毛皮のコートを着ている。

髪はアップにまとめてあった。

顔はサングラスをしていてよく分からないが、厚化粧だ。

暑苦しいわ!魔女かよ!


「来ました!インセンス様ですよ!」


ああ、知ってるよ。


インセンスが相変わらず気だるそうにエントランスへ向かっていた。


ボディーガード達が先導していた。

一人が俺のそばに来て、邪魔だとでもいうように、手で遮った。

ちっ!んだよ!

お高くとまりやがって!


が、インセンスが俺の前を通り過ぎようとして、ふとこちらを見て立ち止まった。


「あらん。いい風」


やべっ!


「ど、どうも」


「ご無沙汰ね。ホテルの趣味が合うわね。あなた、、、随分イメージチェンジしたのね」


まあな、色々あんだよ!


「ふふ。そのようね」


聞こえてんのかい!?


「ええ。けど私は前の髪の色が好きだわ。ま、人それぞれよね。でも、相変わらずいい風をお持ちで。カイロスからあの後の武勇伝は聞いたわよ。英雄さん」


「あ、、ま、まあな」


思い出した!

あの時、カイロスと踊ってたよな。

知り合いなのか。


「ふふ。そうだったのね。貴方がここにいるからなのね。もう!人をダシに使うなんて、ふふ」


インセンスは俺をじっと見つめて微笑んだ。

これが苦手なんだよ!

この目!

てか、何に納得したんだ?


「ど、どういう意味だ?」


「ふふ。じきに分かるわ。それでは失礼するわ」


インセンスは一人楽しそうに笑うと、また気だるそうに歩いてホテルを出て行った。


やれやれ、意味がわからないよ。

疲れるオバチャンだ。

さてと、手続きの続きをしなきゃな。

フロントマンに視線を移す。

彼は固まっていた。

死んだ?(苦笑)


「おい?大丈夫か?息しろよ!」


「あ、あ、あ、あ、あ、あなた様は、あの、あの、あの、イン、インセンス様とお知り合いなのですか?」


落ち着けってば。


「ま、まあな」


フロントマンは興奮を抑えきれない様子だ。


「そ、そ、そ、そうでいらっしゃいますか、えーとオズ様?お部屋を最上スイートに変更しましょうか?もしよろしければ、お客様を追い出して、皆様へ一人部屋も用意させますが?」


フロントマンの態度が一層へりくだった。

ムチャクチャだな。


「い、いや、いいよ」


「そ、そうですか。カードのお名前と宿帳に書かれたお名前が違うのは、そのせいですね。オズ、いえモズ様。インセンス様とお知り合いで、かつ歌を最近聴かれた、、、!まさか!あなた様は!お忍びですか?い、いえ、素性を詮索するつもりはございません。全力でおもてなしさせて頂きます。あ、いけない、い、今支配人を、し、少々お待ちくださいませ」


「いや、いいって!ちょ!おーい!」


フロントマンは走って支配人を呼んで来た。

支配人は青息吐息で走って来た。


「こ、この度は当ホテルをご利用下さいまして、大変ありがとうございます。さぞや名のあるお方と伺いました。御滞在の間、誠心誠意、頑張らせて頂きます。ええ、御身分の隠匿に関しましては、万事お任せください。あ、私、支配人のゴトーと申します。こちらはチーフのデニスです。どうぞよろしくお願いいたします」


二人が恭しく礼をした。

勝手に派手な勘違いをしてくれたな。

誰と間違えたんだか。

ま、いいか。

過ごしやすくなるかな。


「オズ様。アミマイは観光地としても有名です。ラウンジやクラブ、カジノなども沢山あります。しかしながら夜は治安があまり良くありません。慣れないうちは外出はお控えくださいませ。また移動はホテルの護衛付き馬車をお薦めいたします。もちろん無料で奉仕させて頂きます。はい」


支配人がそう付け加えた。


うーん。すごい街なんだな、そう、まるで


《マイアミだな》


あー、言っちゃったよモトユキ。

久しぶりだな。

元気にしてた?


《まあな、巨大な木偶の坊と戦った以外は元気だな》


モトユキ、言ってる意味がよく分からないけど、元気で何よりだよ。


《ふふふ》


モトユキは意味深な笑いを発したが、それっきり黙った。

な、なんだろう?

ま、いいや。


やっと自分の部屋に上がった。

部屋には支配人より、山盛りのフルーツの盛り合わせと軽食が届いていて、トッドが訳も分からずパクついていた。

ラッキー(苦笑)

セレブ扱いじゃん!


部屋で少しまったりした後、俺達男軍団は、誘いあわせて屋上の露天風呂へ行った。

空中庭園の中にプールのような大きさのジャグジーがあった。

すげー!


「ヒャッホー!」


ザブーン!


ってコラ!アーク!トッド!飛び込むんじゃない!


「ガキか!少しは社会人らしくせーや!」


「ご、ごめんなさい。けど、すごいな!綺麗な夜景だなー!」


「すいませんでした先生。けど、すげーよ!この景色!宝石箱ひっくり返したみてー」


「ふっ。百万ゴールドの夜景だな」


アーク、風呂場にまで剣を持ってくるなよな。

トッド、意外にロマンティックな事言うんだな

マック、知りもしないでニヒルな事言うなし、田舎もんが!


確かに、屋上からの夜景は絶景だった。

グランディアより都会だなー。

街全体がキラキラと光り、カラフルなネオンサインに覆われているようだった。

海側に目を移すと、月が海に反射して道が出来ていた。

眼下の砂浜付近には、オープンテラスのダイナーが点在していて、炎が焚かれ、サルサのような曲がかかっていた。


いやー、なんかワクワクして来たぞー!

アミマイ最高!


夕食は最上階のレストランだった。

海が一望出来る。


緩やかな音楽がかかっていた。

当初は部屋でのサーブを提案されたんだけど、みんなと一緒が良かった。


が、問題がひとつ。

ドレスコードだ!

そうノーネクタイ!ノーディナー!

俺達の服装じゃ、入れなかったのさ。

すいませんねー庶民で!


結局支配人が衣装を貸してくれた。

晴れて入店出来た。

約一名、七五三みたいなのもいたがな(笑)


まずはアーク。

馬子にも衣装だ。

帯刀はともかく、蝶ネクタイに黒のスーツ姿はなかなか様になっていた。

剣を握りしめたままなのはいただけないがな。


トッド。

七五三だ(笑)

赤い蝶ネクタイは、もはや嫌がらせレベルに坊ちゃんだった。

腹イテー。

当の本人は得意満面だったけどね。


マック。

はー。

大人だね。

シルバーのスーツに青いシャツ、クリーム色のネクタイ。

シャツの一番上のボタンだけ外してるのがいいね!

若頭みたいだね!


そして、、、。

刺客が二人。


まずはレイナ。


ふわふわしたピンクのドレス。

お姫様みたいだよー!

アップにした髪に、綺麗な髪留めが揺れていた。

肩から胸にかけて、深い切れ込みが入っている。

胸!こぼれ落ちそう!

細いとは言えない足だけど、キュッと締まった足首にキラキラのアンクレット、そしてヒール。


「どう?」


レイナはわずかに右肩を下げて、首を傾けつつ、優雅に聞いて来た。

ウインク付きで!

女の子は化け物か!

し、しかし、当たらなければどうという事は、


ズキューン!


トッドと、珍しくアークが被弾した。

さらば友よ!

お前達の夕食は俺が食べてやろう。


最後にアンジーがやってきた。


真っ赤なドレスに黒のショールを肩にかけていた。

腰からはタイトな仕立てになっていて、太ももに深ーい、深ーいスリットが入っていた。

そして足は、ヒールの高い黒のミュール、赤いペティキュアにラインストーンが輝いていた。


赤い彗星だ!

赤い彗星が来たぞー!


アンジーは、頑張ったのか、お目目パッチリメイクに、長いツケマをしていた。ぅぅ、可愛い!

髪は上でまとめてつつ、左肩へ垂らしてあった。

ピアスとネックレスが揺れていた。

照れたような、困ったような表情で、長いまつげをパチパチさせつつ、上目使いで俺を見たアンジー。


「ど、どうでしょうか?」


ズキューン!


ビ、ビームだと!?

俺とマックが被弾した。


うちの女の子達は悪魔みたいだな。

かくして、四人の男子の死体がラウンジに転がった。


合掌!


「いただきまーす」


なんとかご飯にありついた。

フレンチとかじゃないよ。

そこはアメリア連邦。


ロブスターみたいなものを主体に、揚げ物、焼き物、グラタン、カクテルサラダ、スープ、ゼリー寄せ。などなど、まさに海老尽くしだった。


「いやーん!海老おいしーい!」


レイナのいやーんに、また二体撃沈した。

俺も危なかった。


「グラタンが美味だ!」


アンジーの言葉に俺とマックが撃墜された。

正確には言葉じゃない。

アンジーが、口の周りに付いたホワイトクリームを舌でペロリとやるからだ!

普段ならまだしも、その姿でやるなし!


うー、今夜のディナーは美味しすぎる、色んな意味で!


なんだかんだで楽しい夕食だった。

ワインをしこたま飲んだ。


アンジーは酔っ払ったレイナを部屋にお持ち帰りした。

お持ち帰りってもそういう意味じゃ無いからねっ!


マックとトッドはホテルのカジノへ行った。


マックー!トッドに悪い遊び教えないでね!


アークと俺は限界だった。

アークは勇者モードに、俺は疲労と浮気心を抑えるのにね。


二人で部屋に戻った。

俺達の部屋は同じ階にあった。

部屋の前まで来た時、アークが真面目な顔になった。剣の柄を握っていた。


「モズ!貴方はすごい人だ!僕は貴方のようになりたい!この手を離したら、今の会話さえ覚えていないかもしれないけど。貴方と旅が出来る事を誇りに思う。ウインドランサー・インフィニティー!僕はいい名前だと思うよ、モズ、いや、オズ。おやすみなさい」


「え!えー!?」


「えー!?何?何?どうしたのモズ!?ズズズ」


「えー!?」


「何ー!?怖いんだけど!?」


怖いのはお前だよ!

一体どこまで分かってて、どこまで覚えてるんだ?

ま、いいや。

アーク!

こちらこそ、お前が真の勇者になれるように見守って行けるのを嬉しく思うよ。

とりあえず、、まずは鼻拭けや!

目の前には、剣から手を離した、普段のアークがいた。


さ、寝よう!

おやすみ勇者達。

また明日。

読んでくださいまして、ありがとうございました。


ちなみにいつもお礼から入りますが、コピペではありません(笑)

よく見ていただくと、いくつかバージョンがあります(笑)

何というか、お礼は毎回自分で打ちたいのです。


さて、本編では、例のオバチャンが出て来ました。

そして田舎者丸出しの主人公達。

男性陣を襲う刺客。


アークはどうなんでしょう?

考えてる事が、作者にもよく分かりません。

人称も、僕や俺などコロコロ変わりますし。


ま、そんな仲間たちと共に、明日もがんばれオズ!おやすみオズ!

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