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第六十三話「ドラゴンライド」

こんばんは、作者です。


今日は色々書けました。


どうぞご覧下さい。

俺達は南下しつつ、最初の大都市である、シガーゴアという街を目指していた。大きな湖の湖畔にある街なんだってさー。


馬車は草原の中にある大きな街道を進んでいた。

見渡す限り平地だ。

遠くに山脈が見えた。

山頂には少し、雪化粧がされていた。

冬が近いけど、それほど寒さは感じなかった。


ルート66と呼ばれる街道だ。


行き交う人や馬車も多い。街道沿いにいくつも村や街があった。

時々、沢山の牛を連れたカウボーイみたいな人が、街道を横切っていた。

今日は晴れ、日差しのぬくもりが感じられる。

のどかだなー。


アークが気になった。

アークは馬車に乗ってから、一言も口を開かない。

荷台で瞑想をしていた。

レイナに聞いてみた。


「アーク、何してんの?」


「んー、何だろ。たまーにやってるけど、あれやると頭がすっきりするんだって」


「そうなんだー。アークって昔からあんな感じなの?」


「そうよ。剣を握った時以外、基本的にぼーっとしてるの。小さい頃もねー、他の子より発育が遅かったってアークのお母さんが言ってた。けどね、ある日、お母さんが目を離した隙に、お家にあった剣握っててねー。でね、お母さんが危ないからって慌てて剣から引き離そうしたんだけどね、ふふふ」


レイナは思い出し笑いをしていた。


「ど、どうなったの?」


「そしたらね、今まで「あー」とか「だー」とかしか言わなかったアークが、いきなり「ママー。これ大丈夫!僕も大丈夫!」って言ったんだってー!ウケるでしょー?」


ウケる!

ウケるのか?

学校に上がる時も剣持って通ってたらしい。

剣持ってたら優等生なんだってー。

けど、忘れっぽいから、剣忘れることもしばしばで、試験の時に忘れて受けると0点取ったりしたらしい。

ふーん。

アークの剣かー。


荷台のアークを見た。

剣を膝に乗せて坐禅を組んでいた。

みた感じフツーの剣だけどなー。

けど、何だろう、、、凛とした何かを感じた。


と、アークがいきなり目を開けて俺を見た。

おわっ!?


「モズ!何か来る!」


は、はい?


と、その時、ドドーンと音がして、前方で土煙が上がった!


うわうわ。


寝ていたアンジーとトッドが起きた。


「マック、どうした?」


俺は振り向き、御者台のマックに話しかけた。


「よくわからん。わからんが、何かがぶつかった音がしたぞ!」


「とにかく行ってみよう」


馬車はスピードを上げた。

この街道はきちんと整地されている。ガタガタ揺れたりしなかった。


向かった先には、とんでもない光景が広がっていた。

馬車が横倒しになっていた。

乗っていたと思われる人達が這い出している。

家族連れかな?


そして、馬車の近くには暴れる馬が一頭。

てか、馬、、だよな?


黒い馬。

だけどサイズが普通じゃ無かった。

世紀末覇者が乗っているようなバカでかい馬だった。小さい象くらいの大きさがあるぞ。


「馬?」


「馬だな」


アンジーの問いに答える俺。

とある世界で見たことある。巨大な馬の魔物だ。

その世界では、クレイジーホースと呼ばれていたが。


「バイアンだ!」


トッドが言った。

トッド曰わく、巨大化した、凶暴な馬だそうだ。


馬は馬車を横倒しにして、人がからくも逃げ出した馬車を踏み潰していた。

やがて、こちらとあちら、立ち往生している俺達の馬車と、道の反対側にいる馬車を天秤にかけるように、値踏みしていた。


「ヤダーこっち来るんじゃない?」


レイナがビクビクしていた。


バイアンはこちらを向いた。

うわー、来る!


「どうする?あんなのに来られたらひとたまりもないぞ!」


マックが言った。

確かに、死にはしないだろうが、移動の足が無くなるのは痛いな。


「アンジェリーナ、やれるか?」


「たわいもない事だ」


アークの問いにアンジーが答えた。アンジーの事だ、リアルに余裕なんだろう。


「じゃあ、お願い出来ますか?姫」


「な!?ひ、姫!わ、わ、わ、わ、わかった」


俺の呼びかけに、あたふたするアンジー。

ウケケ。

可愛いなー。


アンジーは顔を真っ赤にしつつ、いつもより可憐な感じで馬車を降り、剣を抜いた。


アンジー、姫とか言われて、まんざらでもないみたいだな。


他の面々は興味津々でアンジーを見ている。

アークは坐禅を組んだまま、涼しげな目でアンジーを見守っていた。

よもや負けるなんて、思っても無い表情だ。

ま、確かにレグルスの娘で竜人のハーフだからな。

てかアーク、今日はちゃんとリーダーやってんな。

やるじゃん!という思いを込めて、俺はアークに頷いてみせた。

アークはパッと笑顔になって、頭を掻いていた。


前方では、バイアンとアンジーが離れた距離でにらみ合っていた。


やがて、馬がいななき、身体を震わせた。

ビリビリとした何かがこちらまで伝わって来る。

そして。

来た。

バイアンが猛然と突撃して来た。

目が錯覚を起こしていた。距離と身体のデカさが合ってない。

デケー!


アンジーがゆっくり剣を上段に構えたその時。


ヒュオオオオ。


上空から、風を切り裂く音がした。


なんだ?


そしていきなり。


ブワッ!


バイアンの側面、やや斜め上から紅蓮の炎がバイアンに向かって噴射された。


「ギャヒーン」


瞬く間にバイアンが炎に包まれた。

やがて、炎が来た方向より、舞い降りた影が、バイアンに体当たりし、その巨体をなぎ倒した。


なんだー!?


バイアンは吹き飛んで、横倒しになった。

真っ黒焦げだった。

ブスブスと白煙を上げていたが、ピクリとも動かない。

一瞬でウェルダンかよ!


そして、敵か味方か、バイアンを倒したモノが、バイアンの立っていた場所にいた。

熱風の名残が残っていた。


それは鷹のような、巨大な鳥だった。

もはや鳥って大きさじゃないけどね。

しかも全身赤い。炎のグラデーションみたいな色の毛が生えていた。

ゆっくりと羽根を下ろした。


なんかすごいの出てきたぞ!

どーしよー!

敵?


「すげー、ファイヤーホークだ!」


トッドがワクワクした声で言った。


ファイヤーホーク?


「強いの?」


「当たり前だぜー!」


レイナに答えるトッド。

じゃあ大変じゃんか!


しかし、そんな心配を打ち消すように、俺達に話しかける声があった。


「大丈夫かー?無事かー?、怪我人はいないかー?」


え?


そう。その声は、ファイヤーホークの背中からだった。

バイク乗りみたいな格好の兄ちゃんが、これまたタズナみたいなモノを、ファイヤーホークに取り付けて、鷹の背中にまたがって、ニコニコと手を振っていた。


み、味方みたいだ。


「すげー!召喚獣じゃん!ファイヤーホーク乗りかー!かっけー!」


トッドは一人大興奮だった、他のみんなはヤレヤレと呆れるばかりだった。


そう言えばアンジーは?

見ると、アンジーは何故かホッとした顔しながら剣を収めてようとしていた。


あれ?

アンジー!戦うの嫌だったのー?


《べ、別に嫌だったわけではありません。負ける気もしません》


そうか。

けど戦わなくて済んでホッとしてないか?


《そ、それは、、、戦ったら髪やお化粧が、、、》


それが理由かい!?


《お、おかしいでしょうか?》


いや。

それが普通の女の子さ。


《そ、そうですか。け、けど、ここぞと言う時は躊躇しませんから!》


わかってるよ。


《はい!》


アンジーは照れくさそうに足を交差させつつ、手を後ろで組んで笑っていた。

あらあら、急成長がここにもいるよ。

なあ?ルース!

てか元気かルース!


ファイヤーホーク乗りの兄ちゃんはノヴと名乗った。とある店を目指して飛んでいた所、この事件を目撃して舞い降りてくれたそうだ。

カッコ良過ぎる!

赤い髪に赤いライダースジャケット風の戦闘服を着込んでいる割に、とても爽やかな兄ちゃんだった。

レイナは目がハートになっていた。


ブーブー!


俺とトッドがこっそり心無いブーイングを浴びせていたが、レイナに睨まれて止めた。


みんなで馬車の家族の所へ向かった。家族は軽傷だった。

ま、足とか手とか折れてるんだけど、命があればいいのさ。


それに、ここぞとばかりにしゃしゃり出た俺が、やたら芝居がかってトータルヒーリングを発動し、全快させたよ。


当然だ!

カッコいいとこ見せなきゃな。

トンビに、いや鷹に油揚げかっさらわれてたまるかってーの!


「あまねく精霊達よ。ここへ集え!悠久を越えしその力で我と共に闇を払い、この者達へ光を!」


とか言いつつやったよ。

ちなみに全部口からデマカセだ!ええ、そんな事言わなくても発動出来ますけど何か!?


だって、このほうが、カッコいいじゃん!


アンジーとレイナの好感度とマックとアークの信頼度、トッドの尊敬度が、それぞれ上昇した(笑)

トータルヒーリングやるの初めてだったっけ?


「何今の!何ー!モズ治療も出来るのー?」


「まあな、けど、もう魔力切れだ、鼻くそもほじれないよ」


はい。頑張り過ぎました。治療にまったく関係ないけど、見栄を張って、空からさす光の輪とか、羽根とか、余計なエフェクトとかも追加して発動したからね。まさに魔力の無駄遣いだったな。


あ、CMだ!


【魔導士のみんな!魔力は大切にね!マナの無駄遣いはやめようねー!マジ子からのお願いだよ!】


提供はランド王国魔法組合だった。

なんのこっちゃ。


「えーーー!!せっかくちょっと尊敬したのにー!てか鼻くそとか汚い!役立たずー!」


レイナは口ではそう言っていたが、頼もしそうに見つめてくれた。


馬車の家族は、俺達が来た方へ旅行の最中だったらしい。


馬車が無くなってしまったが、後続の馬車の人達が快く、街まで乗せてくれると申し出てくれた。

リリアンまで商人を護衛中の冒険屋さんだった。

ギルドの精神だな。

どこかおっちゃんとローラを彷彿させる、渋い中年夫婦を中心としたチームだった。


俺は、馬車の家族に少しばかり、、、いや、、謙遜はやめよう、かなりの額の路銀を渡した。

家族は恐縮しきりだったが、俺だってバウンサーの端くれだ。

それに金には困って無い!(苦笑)

まだ、いつぞやのバカ貴族の賞金さえ使い切ってなかったからね。

家族は恐縮しつつも、なんとか受け取ってくれた。


「じゃあよろしくお願いします」


「おう。任せときな、怖い思いをしたんだ、我々が、街までしっかり守って行くよ」


冒険屋のおっちゃんが力強く笑った。

エバンスと名乗ったおっちゃんは。Bランクの冒険屋だった。

腕利きだー。

渋いしカッコいいなー!

やがて馬車は家族と家族の荷物を積んで再出発して行った。

家族は俺達が見えなくなるまで手を振っていた。


ちょっとおっちゃんやローラに会いたくなった。


ノヴも、店を目指して飛んで行った。


去り際がカッコいいの何のって。


「店はこの先だ!縁があればまた会いましょう」


そう言いながら、ゴーグルを下ろし、鷹の頭の後ろを優しくポンポンとやると、鷹がバサッと羽根を広げた。

まるで炎の花が咲くような美しい羽根を羽ばたかせると、あっという間にノヴ達は空高く飛翔した。

後にはフワリフワリと、紅蓮の羽が舞っていた。


レイナがまたハートになっていた。


ブーブー!


ギロッ!


シーン。


俺達も出発した。


途中の街のお店で昼食をとった。


レイナとトッドがお腹空いたとゴネたからだ。


【バッファローダイナー】っていうお店だった。

オールドアメリカンスタイルのカフェみたいな店だった。

カウンター席とテーブル席があって、椅子はオレンジ色のテカテカの素材の布張りがされている。

天井には扇が回っていた。

アルミで出来た、古い看板がお店のあちこちに飾られていた。

ジュークボックスみたいなものから、カントリーミュージック風の歌が聞こえている。

店内はカウボーイや旅行者、街の住人で賑わっていた。


いいなー!

こういう店好きだ!


全員ハンバーガーを食べた(笑)


顔くらいの大きさのハンバーガーだった。

ビーフにオニオン、ピクルス、トマト、チーズがとろけていた。

付け合わせはポテト&フライドオニオン。

野菜タップリのチリトマトスープが付いていた。

ドリンク?

あったよ!黒くて甘いシュワシュワするヤツが。

名前は違ったけどね。


俺以外の仲間には、すべてが珍しいらしく。

例のドリンクに驚きつつも、大満足な顔でハンバーガーを頬張っていた。


「美味しー!何これー!何これー!好き過ぎるかもー!」


「こ、これは!ハンバーガーと言うのか!何という美味しさだ!そしてこの飲み物!ビールと違って甘い!癖になる飲み物だな!」


レイナ、アンジー、口の周りがケチャップまみれだよ!

女の子でしょ!

それに、太るよ!

ま、内緒にしとこー。


「兄ちゃん達冒険屋かい?」


店の女主人が話しかけて来た。

レミーって名乗った。

金髪とソバカスが特徴的な、気さくで太ったオバサンだった。


「まあねー」


「そうかいそうかい!特にあんた、ライダーかい?」


答えたトッドにレミーが話しかけた。


「え?あ、ああ、何でわかったの?」


「ゴーグルさ!召喚士の中でも天空を飛べる奴らはみんなそれをしてるからねえ」


「ライダーって何?」


話の腰を折るように思わず聞いちゃったけど?


「召喚士ってのは二種類いるのさ。先生みたいに召喚獣を呼び出して戦わせるヤツと、さっきのノヴや、い、一応俺みたいに、召喚獣に乗って戦うヤツと。乗って戦うのをライダーって言うのさ、ライダーの中でも、空を飛べる召喚獣を操れるヤツは別格なんだぜー!」


トッドが得意気に説明してくれた。いつから俺は召喚士になったんだ?


「やっぱりかい。いいねえ、あたしも飛んでみたいねえ、ま、あたしみたいな重いのを乗せて飛べるのはドラゴンくらいだろうけどね、あっはっは」


レミーは豪快に笑った。

俺達も一緒に笑っていいところなんだろうか?(苦笑)


「あ、そうだそうだ、ちょっと待ってておくれよ」


レミーはそう言い残して店の奥に消えた。


「ドラゴンかー!俺もドラゴンに乗りたいんだー!けど、その前にヒポとちゃんと心が通うようになりたい」


トッドは真剣な顔で自分に言い聞かせるようにつぶやいた。


「お待たせ!ライダーならここへ行ってみな」


レミーがクーポン券のついたチラシを持ってやって来て、それをトッドに渡した。


「レミーさん?これ何?」


「おや、知らないで来たのかい?」


「え?」


「ドラゴンライドさ、ライダーだったら聞いた事あるだろう?」


「あ、、、」


何かを思い出したトッド。やがて、叫び声を上げて立ち上がった!


「あー!!ドラゴンライド!え?この近くなの?」


「そうさ!あんたらライダーには憧れの店だろ?」


話が見えん。


とりあえず食べ終わって店を出た。

トッドはずっと黙っていた。


「気をつけてねー」


レミーが笑顔で見送ってくれた。


馬車に乗ろうとした時、トッドがいきなり土下座した。


「頼む!ちょっとだけ、寄り道していいか?このとおりだ!」


全員言葉も出なかった。

トッドが、

あのトッドが土下座!?


「と、とりあえず、わかるように話せ」


俺に促されてトッドが言うには、ドラゴンライドというのは、この世界で初めてドラゴンに乗ったと言われる男が開いた店だそうだ。


男は自分と同じように、召喚獣に乗って戦う者達の為に、ライダー専用の装備を作って、ライダー達が安全に、便利にライディング出来るようにしようと思い、工房を作ったそうだ。それが店の始まりなんだとさ。

それまでは既存の装備を改造してライダー達は使っていたそうだ。

ちなみにゴーグルの元祖もその店らしい。

今は子孫が切り盛りしているそうだが、いわゆるライダー達の聖地として崇められているそうだ。


「今の俺には似合わないのは分かってる。ライダーとも呼べないくらい半人前だ。けど!この前わかった。俺はヒポと、ちゃんと空を飛びたい!飛ばなきゃいけないんだ!形から入るなんて邪道だってのも分かってる!けど、けど、行ってみたい!ライダーの聖地に!」


トッドの熱意は本物だった。

ヒポはどこかで聞いているはずだ。


ヒポ!お前はどう思う?


《はい。嬉しいです。バカ、、いやトッドも私と同じ気持ちなんですね。そ、それに、、私もちょっと行ってみたいんですが?そ、そのー、どんな物が売っているか見てみたくて、だ、ダメでしょうか?》


ヒポの声が聞こえた。

弾むような声だった。

オモチャ屋に連れて行ってくれとねだる子供みたいだな。


「モズ。モズに判断を委ねるよ。先生でしょ?」


アークは苦笑しつつ俺にふった。


ま、悩むまでも無いな。


「しゃあねー!寄り道すっか!」


「やったー!先生ー!」


「うわ、バカ!やめれー!」


誰も依存は無かった。

ま、トッドのあんな姿とこんな姿を見せられたらなー。

みんなが微笑ましい顔を俺達に向けて来た。

俺達、そう、トッドは俺に抱きついて喜んでいた。


やめれー!

いかがでしたでしょうか?

読んで頂きまして、ありがとうございました。


アークがちょっと空気から脱却しましたかね?


トッドは頑張りました。


アンジーは相変わらず(笑)


マックが空気化しています。


マジ子は組合のマスコットですね。


オズは、いつも通りアホ全開です。

見栄張るからー。


次回はドラゴンライドに向かいますよー!

ではー。

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