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第六十二話「さあ入国だ!」

こんばんは、作者です。


やっとアメリア連邦に入ります。


それでは本編どうぞー!

その日の15時過ぎ。

俺達は、リリエンの街にあるレストランで遅めの昼食か早めの夕食をとっていた。

もう、どっちでもいいほどお腹が空いていた。

炭火みたいな煙がもうもうと立ち込める店内。

ジューっと、何かがこんがりと焼けていた。


「ねえちゃんカルビ二人前!」


「はーい」


「ねえちゃんこっちに、スペアリブとソーセージねー」


「はーい」


ワイワイガヤガヤとした店内に、注文の声が飛び交っていた。

そう。トッドとレイナのリクエストにお応えして、俺達は焼き肉を食っていたんだ。

店は【ビーフスクエア】という色んな意味でドキドキする名前のチェーン店だった。

この世界の焼き肉は、ニホンの焼き肉とグリル料理とバーベキューをミックスしたみたいな感じだった。

カルビ、ロース、タン、チキンの香草焼き、ソーセージ、野菜などなどが、俺達の前で美味しそうな匂いを発していた。


「野郎共!食い付けー!」


俺の掛け声に二人が嬉しそうに答えた。


「合点だー船長!」


「はーいせんちょ!」


ガツガツと食いまくる。

人は肉を前にすると、皆海賊になるのはなぜなんだし!

けど、二人の笑顔にビールも進む。

いやー、仕事の後の一杯は旨いなー。

ま、依頼は失敗したけどねー(苦笑)


一時間ほどして、レストランにアーク達がやって来た。

ギルドに、ここにいると、伝言を残しておいたからだ。


チーム戦は引き分けだった。

こちらは、レイナが怪我したし。

依頼も未達成。

向こうは、アンジーの単独行動に、テンパったアークが剣を抜いてしまった。

魔物は討伐したものの、アンジーが考え無しに暴れた結果。

討伐したことを証明する物。つまり証拠部位である、魔物の牙まで粉々になってしまった為、報酬は貰えなかったんだってさ。


どっちもどっちだと言うことになり、勝敗つかずだったのさ。

アークとアンジーはどんよりと落ち込んでいた。

背景に縦の線が見えるくらいだ(笑)


それに比べて、依頼の結果そっちのけで、夕方前から俺の奢りでたらふく飲み食いし、すっかり気分転換した我々Bチームは、和やかだった。


「でよ!でよ!先生の手首はすっ飛んで行ったんだ!んでよ、先生、膝をがっくりついて首斬られそうになっててよ」


「そーそー、絶対終わったと思ったもんあたし!」


「ただ、先生がすげーのはそっからよ!」


「うん。いきなり立ち上がって、パーンチだもんねー!」


あー、あの場面か、、、無事だったとは言え、二度とちょんぎられるのはゴメンだな。

トッド達はその後の場面の話をしていた。


「でよ、どー見ても、この世のものとは思えねー化け物でよー!今度こそ死んだと思ったんだけどさ、ププ、そしたら、ギャハハ、ギャハハハハハ、なあ、レイナ」


「そうそう。化け物の胸にね、【モズの味方】って書いてあってさー、アハハハハ、超ウケるでしょー!あたし腰抜けたんだから!」


トッドが話す内容に驚くAチームの面々。

そして、


「先生!これ、この肉もういけるよ!今が食い時だぜー!」


「モズー飲んでー、はーい!あ?野菜も食べてね」


などと言いつつ、俺に肉を取り分けてくれるトッドや、ビールを注いでくれるレイナ、二人の俺への態度。


すっかり結束し、ワイワイやっている俺達を見て、アークとアンジーは益々落ち込んだようだった。

マックはさすがに大人だからか、俺達のはしゃぐ姿を嬉しそうに眺めていた。


「ま、それぞれ課題が見つかったんだろ?それでいいじゃないか!」


俺がまとめに入った。

ちなみにBチームはきな粉アイスを食っていた。

真剣に頷くアークとアンジー。


「お前らには、まだまだ伸びしろを感じる。トッドもレイナもな。これからがんばればいい!」


アンジーとアークの顔がパッと明るくなった。

レイナとトッドは嬉しそうにしていた。


「モ、モズ!私も食べていいかな?」


グー。


アンジーのお腹が鳴った。


「ぶはは。アンジェリーナもお腹空くんだな!」


トッドが爆笑していた。

アンジーは珍しく怒る様子も無く、しおらしくしている。

トッドの顔色が変わった。


「ま、まあ、い、いいよね?先生!今日は先生の歓迎会って事でさ」


「先生の奢りだけどねー」


こういう時のトッドとレイナは息がぴったりだな。


「自腹で歓迎会ってなんだよ!?ま、いいけどね。さあみんな食え!食いまくれー!」


俺の言葉にアークやアンジー達もそれぞれ注文を始めた。

何故かトッドとレイナも。


「あ、俺カルビ」


「あたし特上ロース」


おい!お前らも食うのか!

さっきデザート食ってただろうが!


お、お店の人ー!

ここカード使えますかー?(泣)


しこたま食って、しこたま呑んだ。

アーク達に会ってから、初めてみんなで楽しいご飯を食べた気がする。


シルフィー、仲間仲間!仲間になった気がするよー。


そして、次の日。

ギルド経由で、越境手形が発行された。


やっと、やっと、アメリア連邦へ入国だー。


ちなみに全員二日酔いで、胃もたれに悩まされていた。

こんな勇者ご一行でいいのかなー。

ヨタヨタと入管施設へ向かう。

ランド王国とアメリア連邦の間にはフェンスが張られていた。

魔力を感じるフェンスだった。

入管施設は、思った通り、空港みたいだった。

沢山の人々がいた。

両国それぞれの、お土産屋さんや、飲食店もある。

なんつーか、外交関係が悪い訳では無いな。

悪かったら、こんな雰囲気の施設にはならないもんなー。


「キンコーン!10時の出入国をお待ちの皆様、3番ゲートへお進みください」


俺達は出発ロビーみたいなところにいた。

ゲートがいくつも並んでいる。

色々検査みたいなのがあるらしい。


「10時のって、僕達だな。行こう」


アークの声に従って、みんなが移動した。

ドキドキするなー、てか、何持ってたらアウトとかあるんだろうか?


あ、三組前のヤツが、麻薬かなんかで捕まってるー。

麻薬かー、持ってない、、よな、、一応。


俺達の番がやって来た。

アークを先頭に恐々ゲートに近づく。

押すな押すな状態だ。


アークが越境手形を、入管の係の人に見せた。

目を通し、顔色が変わる係員。


「アーク様ご一行ですね。こ、こちらへどうぞ」


俺達はゲートをくぐらずに、違う入り口から国を越えた。


「お気をつけて、では行ってらっしゃいませ」


背後でバタンと施設のドアが締まった。


あ、あっさり行ったな。


みんな狐につままれたような表情だった。

これがカイロスのはからいだと、特に俺に対してのだと知るのは、もう少し先の話だった。


「モズ。ここからどうするんだ?」


アークが聞いて来た。


「まずは依頼主に会おう。ベイツ長官だっけ?アメリア連邦の主国、アメリア王国の首都にいるらしいから、そこへ向けて出発だな」


地理的にはリリエンはグランディアから南下した、一番近い国境の街だ。

アメリア王国はこの大陸の最南端にあった。

つまりは南へ南へといけばそこが目的地だ。


「じゃあ決まりだなー!」


俺達は馬車に乗り換え、南を目指した。

リリエンのこちら側は、ニューポートと呼ばれる街だった。

お店が沢山立ち並んでいた。

交易都市なんだろう。

やたら原色の看板が目立つな。

街には街路樹が植えられていた。

この国の人々はカジュアルな服装の人が多かった。

アメリカンスタイルだな。

みな開放的な人柄らしく、街のあちこちで気軽な挨拶が交わされていた。


「ねー!見た?街中で抱き合ってるよ!あ、ほら、あそこは男同士だよー!マニアックー!」


レイナは大興奮していた。アンジーは赤面して目をそらしていた。


「ああ、あれな、挨拶だ」


俺が言った。

多分。勘が正しければな。


「ウソー!ああいうのって親しい間柄だけでしょー?」


レイナが、物珍しそうにしつつつぶやいた。


「この国はな、色んな国家が入り混じってるだろ?だから敵意を示して誤解されないように、なるべくオープンに伝わりやすく、自己表現をしてるんだと思うよ」


「へー!」


一同が納得していた。

いちいち反応が初々しいな。


「確かにモズの言うとおりかもな、戦場で他国軍と共闘する時は、なるべく相手に不信感を与えないように振る舞ってたしな」


「へー!」


その後、カイロスから貰ったアメリア連邦の概要が書いたガイドブックをみんなに配って読ませた。


ほー、とか、へー、とか言いつつみんな食い入るように本を読んでいた。

完全に修学旅行みたいになって来たな。

修学旅行が海外とか羨ましすぎるぞゆとり教育め!


《オズ、、、》


ん?

アンジーか?


《はい》


どした?

元気無いね。


《はい。私、人に誤解されやすいので、この国で上手くやっていく自信がありません》


隣のアンジーはしゅんとしていた。


大丈夫だよ。

会ったばっかの時はともかく、最近のアンジーなら。


《そ、そうでしょうか?昨日の依頼でも、頭に血が上って暴走してしまいました。ジョシリョクも足りません。私はまだまだ未熟者です》


アンジーは自分の膝の上の手をギュッと握った。

色々堪えたんだろう。


アンジー!


《はい?》


こっち向け!


アンジーはこちらを向いた。

悲しそうな目だった。


笑え!


《え?む、無理です》


アンジー。

笑ってるほうが可愛いぞ!


《え?えー?いきなり何を?》


アンジーの顔が真っ赤になって、優しげになった。


「あー!モズとアンジーがまた見つめ合ってるー!」


目ざとく見つけたレイナが茶々を入れてきた。


「ち、違う!」


アンジーは怒った顔をしてみせた。


「ふふふー。アンジーはどんどん綺麗になって来たもんねー!」


ん?

そう言えば、今日のアンジーは、いつもとどっか違うな。

今日のアンジーは、髪の一部を後ろで束ねて、まあるく巻いてあった。

束ねた所には髪飾りをつけていた。

残りは後ろに下ろしてある。

量が少なくなった下ろし髪がフワフワと揺れている。

清楚な感じがした。


それに、アンジー、、、お姉さんっぽいな。

えーっと、えーっと。


あ、、、!


「ふふー、モズ。気づいたー?アンジー、良かったねー。早起きして、頑張ったもんねー」


「メイクか!」


お化粧してるー!

うっすらとだけど、ナチュラルメイクってやつか!

アンジーの美貌はそのままに、優しげに見えるように、アイラインやチーク、あと、口紅もか!

だからかー!

なんつーか、正体は姫なんだけど、騎士として振る舞ってるお嬢様って感じのイメージだ。


「あ、そういやそうだな、アンジェリーナ嬢って感じだ」


トッドも気づいたようだ。アンジェリーナ嬢か、うまいこと言うねえ。


アークはキョトンとしていた。

こいつはこっち方面はダメだな。


マックは運転中だから、後ろからはどんな表情かはわからなかったが、ニヤニヤしてるのは、頬の緩みでわかった。


「な!?嬢とか!そ、そんな、、、」


アンジーは顔を隠そうとした。


「隠す事ないじゃんか。アンジー綺麗だよー」


俺はアンジーの手をつかんで止めさせつつ、精いっぱい優しく言った。


「き、綺麗?、、ほ、ほんとに?私が?」


アンジーの手から力が抜けた。


「そうだよー!アンジー綺麗ー!」


「おう!今日のアンジェリーナは令嬢みたいだ」


「え?え?」


レイナ、トッド、アークの順だった。


アンジー、お世辞を言う奴らじゃ無いことは、よく知ってるだろ?

みんなの本音のご感想は?


《う、嬉しいです》


ようやくアンジーは、にっこり笑って、


「ありがとう」


と言った。

ピンクの薔薇が似合いそうな素敵な笑顔だった。


「うふふ。笑った笑った。アンジー可愛いー!」


レイナが嬉しそうに言った。

レイナの貢献度は高いからなー。


トッドはちょっとアンジーの魅力にやられたようだ、声も無く頷いていた。


アーク、こいつはもういいや(苦笑)


な?最近のアンジーなら大丈夫だよ


《うふふ。はい!》


レイナみたいに笑って、いつものアンジーみたいにハキハキした返事が返って来た。

アンジーは元気になった。


《そ、その、、オズ》


あれ?まだ何か言いたいの?


《えっと、手、手を、その、そろそろ離してくれませんか?》


あ、忘れてた。

俺はアンジーの手を掴んだままだった。


恥ずかしそうに頬を赤らめながら、上目使いで懇願するように見つめて来るアンジー。


!!!!?


不覚にも、ドキドキしてしまった。


手を離してやると、アンジーはホッとしたような、残念そうな、何とも言えない表情をしていた。

うう、、今すぐ手を握ってみたい。


うーむ。

アンジーのジョシリョク、侮れないぞ!


はっ!

い、いかん。

やばい!やばいぞー!

前途多難なのは、実は俺なのかも知れなかった(汗)

読んで頂いてありがとうございました。


いやはや、トッド達に焦点を当てるつもりが、最後は全部アンジーがもっていきました。


もう作者はアンジーを止められません。


スッピンでも充分可愛い女性が、メイクした時のインパクト。

強烈ですよねー。


なんの話でしたっけ?

あ、そうそうアメリア連邦に入りましたよ。

え?どうでもいい?

すいません。


ではまた次回。


この小説は次回からは「竜人族の女戦士だけど、ジョシリョクに目覚めました」にタイトルが変わるようです(んなわけねー、頑張ります、苦笑)

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