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第六十話「なあ、大型二輪の免許取ったら?」

こんばんは、作者です。


出ました、召喚獣。


その実力はいかに?


それでは本編どうぞ。

狼狽するトカゲ野郎達を尻目に、トッドはヒポグリフに近寄る。


「よう。久しぶりだな」


声をかけながら、愛おしそうに、頭を撫でようとした瞬間。


「うわ!」


ぶっ!


トッドはヒポグリフの前足で頭を抑えつけられ、地面にうつ伏せに倒された。


「ちょ、ちょ!そりゃねーだろヒポー」


言いつつ起き上がるトッド。

ヒポグリフの背中に手をかけた。

だが今度はヒポグリフのくちばしに首もとの服を摘まれて、宙吊りにされ、ポイッと投げ捨てられた。


ぷぷ。


てなづけてられてないのかよ!


「わはは!バカかこいつ!召喚獣に懐かれてないのかよ!」


トカゲ野郎達が、やや安堵の表情で嘲笑した。

確かに、この体たらくじゃ、戦いようが無いな。


しかし、ヒポグリフがトカゲ野郎達を睨む。


「う、うっ!」


トカゲ野郎達が蛇に睨まれたカエル、、トカゲみたいになった。

どないやねん!

どうやらヒポグリフは主がバカにされるのは腹が立つらしい。


「トッドー、ヒポちゃんにちゃんと挨拶しないからでしょー!」


「ぅぅ」


やや、元気を取り戻したレイナに指摘されて、落ち込むトッド。

ヒポグリフがフルフルっといななき、レイナに向かって向き直り、嬉しそうに尻尾を振った。

レイナには懐いているようだ。ウケる!


「ヒポグリフだからヒポちゃんか、安直な名前を付けられたもんだな」


思わず本音が出た。

ヒポグリフが俺を睨んだ。


うわ、コエー!


だが、ヒポグリフはじーっと俺を見つめて来た。


???


《リュウホウ、様?》


???


リュウホウ?

リュウホウ、、、あ、、、俺だ。

久しぶりにそう呼ばれたな。

オズは本名じゃないんだ。前にルースの冒険屋デビューの時に、自動車免許の話したよな?

小津龍法、オズタツノリ。オズリュウホウとも読めるよねー。

本名はリュウホウ。リュウエイの兄貴で、リュウオウの叔父だ。

本名は嫌いなんだ。

って、誰だ?

俺を本名で呼ぶのは。


《私です。ヒポです》


目の前のヒポグリフを見た。

琥珀色の瞳で俺を見つめていた。


お、お前か?

しゃべれるのか?


《はい。限られた力を持った相手となら》


じ、じゃあトッドやレイナとも?


《いえ。レイナさんは、何となくで私の感情を読んでいるようです。あそこのバカは、、、ま、会話はまだ無理ですが》


ヒポはやれやれと首を振った。


あー、まあ、あの様だからな。


《ええ。けれど、良いところも沢山あります。主の失礼をお許し下さい。えっと、リュウホウ、オズ、モズ、、様?何とお呼びすれば?》


色々知ってんだな。

オズでいいよ。

それが俺の名前だ。

というか、よく俺が誰だか分かったな?


《はい。直接お会いするのは初めてですが、色々お噂は伺っております。この世界でお会いできるとは思いませんでしたが》


ヒポはフリフリと尻尾を動かした。


そ、そうか、いい噂だといいが。


《ふふふ。さてどうでしょう。ただ私も、姿こそ見えませんが、普段も主のそばにおります。まだ短い間ですが、ともに過ごしたあなた様は噂通りのお人柄のようで、お会い出来て光栄です》


そ、そうか、よ、良かった(汗)

あ、トッド達には言わないでね、てかあれか。


《会話は無理です、今は》


そうだよな(苦笑)


《いかがいたしますか?》


え?


《この状況です。オズ様が出張られますか?それとも私達が戦いますか?オズ様のお手を煩わせるくらいなら、このバカに手を貸して、私めがリザードマンの相手をしますが》


ヒポは顔でトッドをしゃくってみせた。

あ、ああ、、、。

いや、任せる。

ただ、これは勇者達へのカイロスからの試練だ。

普段通りやれ。

トッドとも普段通りでいい。

それもまた彼への修練だ。


《はい。分かりました》


「モズ?ヒポちゃん?」


レイナがキョトンとしていた。


いかん、バレそうだ。

じゃあ、頼むよヒポちゃん。

ヒポは尻尾で軽く返事をすると、倒れているトッドの所へノシノシと歩いていった。

トッドが立った。

頭を掻いている。


「ヒポ。ごめんなさい。力不足の俺だが、一緒に戦って下さい。二人を守らなきゃいけないんだ。頼む」


トッドは素直に頭を下げた。

こういう所は良いとこだよなーコイツは。


《ええ。このバカがただのバカなら相手にはしません》


主を褒められたヒポの背中は嬉しそうだった。


その後、乗り方が気に入らないのか、何度もトッドを振り落としながらも、ヒポはようやくトッドを背中に乗せた。

やれやれ。

レイナは爆笑していたが、ヒポの背中に乗ったトッドを見て、目を細めていた。

レイナはトッドの事をどう思っているんだろう?

ま、いいや。


「よ、よし、なんとか乗りこなし、、、乗せていただいたな、さ、さて、貴様等、俺の、、あ、いや、俺達、、いや、、ヒポの力を見せてやる!」


トッドはいちいちおっかなびっくりだな。

勇ましいとは程遠いが、とりあえずそれらしいセリフを高らかに吐いた。


「くっ!こ、こうなったら、全力で相手してやる!半人前の召喚士なんかに我々が負けるか!」


トカゲ野郎達も覚悟を決めたようだ。

武器を構え、臨戦態勢をとった。

隙の無い構えだった。


「レイナ!それにカス野郎!うわっ!」


ドサッ。


俺達に叫んだトッドが、ヒポから振り落とされた。

びっくりしつつ、またトッドはヒポに乗る。


「レ、レイナ、カ、ス?うわあ!」


ドサッ。


また落とされた。

愕然とした表情でヒポと俺を見比べるトッド。

うぷぷ。

やがて気を取り直してヒポに乗った。


「レイナ!カス先生!危ないから離れていてくれ!」


今度は落ちなかった。

カス先生はいいんだ(苦笑)


《きりがありませんので、先生で我慢なさって下さい。このバカなりに敬語のつもりなのです》


ヒポは俺にちょっと頭を下げた。

そ、そうか。

ま、行って来い。


「よっしゃあ!」


トッド達は激しい風とともに地面からわずかに飛び上がった。

リニアカーのように浮遊している。

翼で飛ぶ訳じゃないんだな、カッコいいー!

そのままトカゲ野郎達に突進した。

なんとかトカゲ野郎達はよけたが、キンドが翼にかすっただけで錐揉みしながら吹き飛び木に激突した。


「ぐわっ!」


フラフラと立ち上がるキンド。


「キンド!おのれ!さすがにヒポグリフか」


まだ冷静なマード。


マードはキンドとグラに目で指示を出した。


林の中を縫うように散開した。

木の幹を蹴りながら、ジグザグに飛び回る。

なんちゅう身体能力だ。


「逃がさないぜー!」


トッド達も浮遊しながら、林を抜ける、時折空中で、手に持ったブーメランとマードの剣が斜めに交錯する。

キンドとグラを撹乱に使い、アタッカーはマードのようだ。


「ちくしょうすばしっこい奴らめ!アバッ!イテテ、お、おろろ、おっとっと」


トッドはぶっちゃけ下手だった。

初心者マークを付けといった方がいいくらい、危なっかしい。

木の枝に顔を払われ、落ちそうになる。

また激しい旋回に身体がついていかず、落ちそうになる。

乗りこなしているというより、必死に掴まってる感じだな。

トッドの体重移動とヒポの飛行が合って無い。

トッドの動きとヒポの飛行がバラバラだ。

トッドがそちらへ行きたいから行くのか、ヒポが向かっているだけなのか、お互いの意思疎通が上手くいって無いようだ。


トカゲ男達はそれを見抜いたようだ。

木々の多い場所をブラインドに使い、やがて三匹で攻撃をして来た。


「うわっ!くっ!くそー」


トッドが焦る。

顔には枝による小さい傷が出来ていた。

ヒポも時折枝を顔に受けて嫌そうだ。


三匹がいきなりトッド達の前に三方向から現れた。


「ぬおっ!」


トッドはボウガンを放ち、ブーメランで剣撃を受ける。

ヒポは首をすくめて槍をかわした。

いきなり三匹が散開する。

そして、その先には、トゲのいっぱいある、野薔薇のようなヤブがあった。


「あっ!う、うわー!」


トッド達はヤブに突っ込み、野薔薇を引きちぎりつつ上空へ脱出した。

あーあ、見てられないわ。


「痛そー、かわいそう、、ヒポちゃんが」


レイナはさり気なく毒を吐いていた。


ついにヒポがキレた。

逆さまになってトッドを振り落とした。


「う、うわー!ヒ、ヒポー!」


トッドが落下して来た。

おいおい。

かなりの高さだぞ。


《オズ様、申し訳ありません。限界です。まだまだこのバカには時期尚早のようです。あ、トッドはこれでもなかなか頑丈です。死にはしないでしょう》


上空で身体を振り、トッドと葉っぱを落としているヒポの声がした。

あらあら。

ま、確かにまだまだだな。てか、頑丈って!

普通の人間なら死ぬ高さから、落下してるけど!?


《大丈夫です!今日はこれで失礼します。申し訳ありません。オズ様、後はお願いします》


大丈夫なんだ。

ま、しょうがないな。これが現実か。

わかった。任せろ。

切り傷、お大事にな。


《お気遣い、傷み入ります。ありがとうございます》


ヒポは深々と頭を下げ、光とともに消えた。


俺の近くでは、落下して来たトッドが、両足で着地した。


「い、イテー、折れたー!こらーヒポー!」


トッドは、ヒポが消えた空を恨めしげに見つつ、折れたにしてはよく動く足をバタバタさせながら、地面をのた打ち回っていた。

なるほどね、頑丈だ。

てか、なんつー脚力してんだコイツは。


「ヒポちゃんを傷だらけにした罰ね」


レイナ、顔と発言が怖いよ。

って、こんなことしてる場合じゃないな。


「ふはは、頼みの綱のヒポグリフにも愛想を尽かされたようだな」


そう。

三匹が現れた。

仕方ない、俺が相手だ。

と、前に出る俺をレイナが制した。レイナ?


「カス先生は引っ込んでて、あたしもやんなきゃ!」


おいおい。

レイナ、戦えるのか?

って、やっぱりカス呼ばわりなのね。

先生は悲しいよ。


「ほう?ガキが、お前も戦うのか?面白い。キンド、貴様が相手をしてやれ、手負いの貴様にちょうどいいだろう」


マードが言った。

その言葉に呼応するようにキンドが前進して来た。


「レイナ!ダメだ!危ない事すんな!ちくしょう、この足、動け!」


やや離れた所からトッドが声をかける。

足がしびれて動けないようだ。

てかしびれただけかよ!


「制約があるから!あたしだって戦うんだから!モズと貴男を守らなきゃ!」


杖を地面につけて仁王立ちのレイナ。

足開き過ぎだよ。

女の子なんだからね!


「ふふ、一瞬で終わらせてやる」


キンドが剣を肩口に構え、突進して来た。

うわうわ、来たよー。

俺も応戦しようとした時。


「主よ、あたし、、違った、わたくしにお力をお貸し下さい。光の中へ、あなたの救済を、主はおられますか?ノック、ノーック!ハンドエイド!」


レイナが何やらブツブツ言いつつ、杖で地面をコンコンとやった。

地面に白い光が浮かび上がった。


な、なんだー?

魔法陣とは違うが魔法陣に似た六角形の物体が出現した。

見慣れない、、いや、、大嫌いな文字が書かれていた。


いきなり光の中に巨大な手のひらが現れた。

キンドのほうを向いている。

人間を握りつぶせそうなくらい大きな掌だった。


地面に杖が何の支えもなく立っていた。


レイナは左手の人差し指と中指を眉間に当てていた。右手は、巨大な手と同じようにキンドのほうを向いていた。


レイナが右指を動かすと、巨大な手の指も動いた。


すげー、リンクしてんのか。


手のひらはキンドを身体ごと受け止め、ビンタをかました。

キンドは木に叩きつけられて、グチャグチャになった。

うわーグロっ!

てか、今のただのビンタだよな?

ビンタって全身じゃなくて、顔にするんじゃねーのかよ!


「キ、キンドー!お、おのれー!!」


グラが叫んだ。


「ど、どうかしら!ハアハア、あ、あたしだって、やるときはやるのよ!ううっ」


レイナは苦しそうに肩で息をしていた。

魔法陣モドキからは強大な力を感じる。

制御するのに、相当の魔力を浪費するんだろう。


「クソガキ!切り刻んでやる!」


グラが向かって来た。

直線的に踏み込んで来た。


レイナは指をデコピンの形に変えて、弾いた。

しかし、よけられた、先ほどのヒポとの戦いといい、こいつらは相当の手練れだ。闇雲に突っ込んで来た訳じゃあないようだ。

フェイントか!?

剣をレイナに投げつけつつ、レイナの側面に回り込むグラ。レイナは手で剣を払いのけたが、グラに対して反応するも、やや遅れた、グラの蹴りがレイナの肩に当たった。


「ぐふうっ!」


レイナが蹴り倒された。

青い顔で地面に転がったレイナ。

魔力も限界だったのか?


魔力陣モドキは消えた。

杖もカタンと地面に倒れた。


「レ、レイナー!」


俺が叫ぶより先にトッドが叫んだ。


「ふふ。貴様も身の丈を知ったほうがいいな、ま、もう遅いがな」


グラはそういうとレイナのお腹に足を置いた。

まるで踏みつぶそうとするように。


く、クソッ。

潮時だな。

監督不行き届きだ。

俺は力を解放しようとした。

その時。


「くっそおおおおー!汚ねー足をレイナからどけろー!」


倒れていたトッドが、ヘッドスプリングで起き上がった、足を大きく開いてカエルのように地面に踏ん張ったトッドは。跳躍した。


物凄いスピードで、地面の僅か上を滑空してくるトッド。


「な!?」


グラが目を見開いた。


トッドはグラのすぐ手前で、手をつき軌道を変えた、グラの斜め左に急転し、またその地面を蹴った。

グラの視線は追いつかない。

仮面のバッタ男みたいな態勢になったトッドの蹴りが、グラの脇腹を下から蹴り上げた。


「ゴハアッ!」


グラは口から緑色の体液を吐きながら、空へ飛ばされた、高い木に激突し、それをなぎ倒すようにしつつ、やがて、力なく落下した。


地面に倒れたグラは、もうピクリともしなかった。


「レイナ!レイナ!大丈夫か?」


レイナに駆け寄るトッド。


「うん。へーき。蹴られただけだから、、いつもあたしを助けてくれるのね」


苦悶の表情を浮かべつつも、しっかりトッドを見つめ、弱々しく笑うレイナ。


「あ、当たり前だろ!レイナは俺が守るんだ!」


トッド。カッコいいじゃないかー。

最初から蹴りでやれや!

レイナは俺が治療するか。てか、俺、色んな意味でオジャマムシじゃんかー!


「モズ!レイナを頼む」


二人のもとに駆け寄った俺にトッドが言った。

レイナは大丈夫そうだ、怪我より魔力の消耗が辛そうだ。


トッドは立ち上がり。

最後の一匹、マードに向かった。


「残るはテメーだけだ、トカゲ野郎!」


マードは特に狼狽える様子も無かった。

何だコイツのこの余裕。

虚勢じゃなさそうだし。


「バカが。俺だけじゃないさ」


な、何?


森の中から、六人のリザードマンが現れた。

ば、バカな!

まだいたのか!?


「これだけ騒いだんだ、俺の仲間が揃ったな、なあお前ら」


「ふふ、ニンゲン風情が、よくもグラとキンドを、楽に死なせはしないぜ」


仲間と一人と思わしきトカゲ野郎が、怒りの表情だが、残忍に笑った。


「そ、そんな」


トッドがヘナヘナと座り込んだ。


「モズ、トッドと逃げて、あたしはいいから」


トッドを見やり、俺に真剣な顔で懇願するレイナ。


「バカを言え」


「そ、そうだ、レイナを置いて逃げられるかよ!」


俺とトッドが反論した。


「バカね。二人とも。あんなの七人も相手に勝てる訳ないでしょ?トッドももう限界じゃない」


「なら俺が戦おう」


「え?」


レイナが驚いた。


三分でやれるかなー、自信ねーなー。

けど、他に手段は無かった。


俺はマードに向き直った。


「トカゲ野郎。よくも俺の仲間を痛めつけてくれたな。ここからはカッコマンのグラサン野郎の無双タイムだ!」

読んでいただきまして、誠にありがとうございました。


ヒポちゃんて(笑)


レイナにかかると、気高い竜人の戦士も、崇高なレジェンドモンスターも、何でも可愛くなりますね。


さて、しかしながら、レイナの頑張りも虚しくピンチです。

どうする主人公?


ちなみにレイナの能力に関しては、今はオズの嫌いなアイツらに関するものだとだけお伝えしておきます。


あ、どーでもいいような、自動車免許の伏線も回収できました(笑)

誰も覚えてないかもしれませんが。

ま、何で自分の名前が嫌いなのかは、後々判明する、、はず。


それではまたー。

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