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第五十八話「兄ちゃん仲間外れだけど頑張るよ」

こんばんは、作者です。


応援ありがとうございます。

嬉しいです。


本編のほうは、テンプレみたいな展開ですね。


グール対勇者+足手まとい。


てば本編どうぞ

さて、みんなの戦いぶりはどうかね。

俺は暇つぶしに、仲間の戦いを観戦していた。


アーク、アークはとにかく、正確だった。

一直線に綺麗な太刀筋。

道場剣道とでも言おうか。

グールの四肢を確実に切断していた。

スライディングするように足を切り。

だるま落としみたいに縮んだグールの両手を切り落としさた。

グールは地面でもがくだけ。


「よし。次だ!」


落ち着き払ったアークの声がした。

いつもの鼻たれ小僧はどこにもいないな。


アンジーは、もはや滅茶苦茶だ。

グールを剣の刃の腹の部分で押し潰す。

剣を回転させてグールを千切りにする。

強すぎる。

が、耳に光るピアスと風になびく長い髪が美しい。


《そ、そんな、美しいとか、、、》


アンジー、集中しなさい。


《す、すいません》


トッドは軽快かつ、速かった。

ボウガンから真空みたいな矢を放ち、敵を足止めし、近距離は手に持ったブーメランで殴っている。

召喚獣が見たかったけど、出番無しみたいだ。


「オラオラオラーガラクタどもー」


トッド、戦ってる時も君は君なんだね。

みんな強いなー!


マックはビリヤードに夢中だった(笑)

馬車に近づくグールを爆発させていた。

時々かなり接近してくるグールは火球で燃やしていた。


「ふー、今のは危なかっな」


独り言を言うマック。

てか、最初からそれでやれや!

イライラするー!


レイナは護衛達の回復と、怪我の治療を行っていた。護衛は三人だった。

白い柔らかな光の魔法陣を駆使するレイナ。光に照らされた彼女の横顔は、普段と違いキリッとしていた。

美人だなー。


俺?

俺は石を投げたりしていた。

途中アークに当たって睨まれた。

ご、ごめんなさい。

剣を持ったアークは怖いな。


30人程いたグールが、みるみる減って行く。


その時、馬車の側面にいたレイナの後ろに一匹のグールが近寄る。

レイナは戦況を見つめていて気づかない。

マックは前方に集中していた。


あ、いかん。


レイナの真後ろに迫るグール。

気配を察知したのか振り返るレイナ。

恐怖の表情に変わる。

グールのパンチを杖で防いだが、地面に崩れた。

や、やばいぞ。


よし、風牙。

出番だ。


ニャー!


振り下ろされたグールのパンチに、観念したのか、目を閉じるレイナ。


だが。


ウインドスラッシャーby風牙!


俺はカイロスの指輪の力で、精霊術を繰り出した。

グールの右腕は根元から弾け飛んだ。


だがグールは痛がる様子も無い。

しげしげと吹き飛んだ右腕を見つめていた。

やがて、左でレイナを殴ろうとした。

レイナは何が起こったのか、よく分からないみたいだったが。

また攻撃が来ると知って、顔をしかめて、立ち上がろうとしていた。


くそ!

手だけじゃ駄目なのか?

これならどうだ。


ウインドスラッシャー、シルフィード!


再度、風の刃が飛んで行った。

え?魔法陣?

いらんよ俺には。

だって、精霊だもの。


風の刃はグールの左腕を吹き飛ばした。

まだまだー!

生き物のように旋回した刃が、足を刈る。

首も飛ばした。

バラバラになれ!

女の子を襲ったバツだっ!


後は知らん顔しといた(笑)

レイナはしばらく茫然としていたが、やがて胸をなで下ろし。キョロキョロしつつ、小首を傾げていた。

ハッと俺を振り返るレイナ。

俺は全然違う方向を見ていた。


だって、変装中だから。


かなりグール数が減って来た。

戦闘はパラパラとになっていた。


なんとかなったな。

俺も胸をなで下ろした。


しかし、次の瞬間。

身の毛もよだつ光景が広がった。

四肢や首は無くしつつも、それ以外は無事で、動けなくなっているグールの体に、飛ばされて、まだ形をとどめている頭や腕や足が、飛んで行き。

くっついた。

ゆらりと再び立ち上がるグール。

もはや誰の腕か、足、首なのかも分からないが、ありあわせの部品で作られたロボットのようなグール達は、背筋が凍るくらい不気味だった。


「な、何なんだこいつらー!」


トッドが叫んだ。


馬車の乗客達も悲鳴をあげていた。

馬車の護衛達はヘナヘナと座り込んだ。

気持ちは分かる。

やっと開けた道が、閉ざされようとしていた。


「よ、弱気になるな!ここまで減らしたんだ。もうひとがんばりだ!」


アークが大きな声で言った。

不思議な声だ。

俺まで勇気が湧いた。

アークか。

最初にアークを見た時、何を思ったか思い出した。

俺じゃないぞと言ったが、本当は違った。

俺じゃないのは知ってた。アークは、リュウエイ、そう俺の弟によく似ていた。

俺と同じ髪の色。

俺と違って、真っ直ぐで優秀な男。

口走る事すら、誰かに感銘を与える事が出来る男だった。

張り合っていた訳じゃない。俺は弟が好きだった。

負けも素直に認めた。

こいつなら精霊界を背負っていけると思ったんだー。

第一血筋が違うよ!

ま、いいや、昔の話だ。

弟の話はまた今度だな。


「アークの言う通りだ。動けなくなるまで、切り刻めば、どうという事はない」


アンジー、無茶ぶりもいいとこだよ。


アークとアンジーの強さを目の当たりにしていたであろう馬車の護衛達が、力を振り絞って立ち上がった。


不思議な光景だった。

立ち振る舞いで、人に勇気を与える者達。


ああ、これが勇者なんだなー。


みんなはまた、グールに突っ込んで行った。


しかし、グールは強力になっていた。

なかなか、思うようにバラバラに、とはいかない。


だんだんと疲労の色が濃くなって来ていた。


なんとかしないと。

けど、どうすれば、、って、んん?


俺は、あるものを見つけた。

それは、グールの身体から糸のように出ていた。

何だあれ?

それは紫色のオーラのようなものだった。


オーラはグール一体からそれぞれ出ていた。

また、つぎはぎになったグールのものは、腕や足、首、その接合部にも見ることが出来た。

全てのグールから出るオーラは、やがて収束し、グールの一団の中まで続いていた。


操り人形?


俺はマックとレイナの所へ行った。マックに話しかけた。


「戦況はどうだ?」


「芳しく無いな」


「そうか、なあ、気になる事があるんだけど」


「何だ?」


マックは戦線を睨みつつこちらへ顔を向けた。


レイナも同じように俺を見た。


「グールからオーラが出てるの見える?」


「な、何!?どういう事だ!」


驚くマックに、俺がさっきの説明をした。


「まいったな、見えるのか、それが」


意味の分かって無い俺に、マックがグールの説明をした。

グールは漂う悪霊が死体に憑依したものだとは先ほども聞いた。


「ゾンビはな、何らかの理由で、死体に魂が残ったものだ。つまりは中の人は人格が崩壊していても、自分の身体なのさ」


グールは違う。

ようは他人の車を運転しているようなものらしい。


「グールには、もう一種類いる。使役した悪霊を、死体に取り付かせたものだ、意図ある誰かによって作られたものだ」


なーるほど。

キョンシーみたいなもんか、古いか(苦笑)


「てことは、こいつらはもしかして?」


「ああ、モズの見立て通りだ。どっかに術者がいる。そいつを倒せば終わりだ。だが、俺もさっきから探しているが、見つからないんだ」


なるほど。

そういう事か。


「見つけよう、簡単だ」


「え?」


「はい?ちょっと、モズ!ギャグ言ってる場合じゃないのよ!百戦錬磨のマックが見つけられないのに、モズに見つけられるワケないじゃん!だいたい、今の戦いでも、何にもしてないじゃん!みんな頑張ってるのに!」


レイナが怒りの表情になった。

そらそうだな、戦いに参加してない奴が、偉そうな事言ったら、誰でもムカつくわな。


「何にもしてない訳じゃないぞ」


「え?、、、ま、まさか、さっきの」


俺の反論に、驚いたレイナの顔が、やがて思案顔になった。


俺はレイナをシカトしつつ、カメラマンがやるように、手で四角の照準を作っていた。


うーん。

どこだー?


照準を右へ左へ動かす。

手の形に特に意味は無い。

雰囲気だ。


俺はグールから出ている糸の先を探していた。


えーっと、こうなって、ここで束なって、こいつか?いや違うな。

こいつ?こいつじゃない。


「ホントにやれるなら急いでくれ、皆疲労困憊だ、長くは持たないぞ」


マックが懇願している。

レイナはじっと俺を見ていた。


えー、えー、ここがこうなって、ここにつながって、ここからは何も、、あ。


いた。


全ての糸はそいつから出ていた。

明らかに他のグールとは違う、貴族のような、いい身なりをした、グール?こいつもグール?

見た目はグールだった。

だが、目が違う。

正気無き目じゃなかった。よどんだ瞳をせわしなく動かしている。

意志を感じる目だ。

糸はそいつが持った、何かから出ていた。


何だあれ?

そいつの肩には、フランス人形が乗っていて、糸はそこから出ていた。


「発見!」


「ま、まじか?」


「ホントに?ねえ、ホントに?」


マックとレイナが驚いた。


「あいつだ。貴族みたいな服着た、人形野郎」


俺が指差した方向。

グールの一団の中心を二人が見た。

やがてマックが納得した感じで言葉をはいた。


「確かに、あいつは他とは違う」


「目がな」


「うん。人間の目みたい、見てるわ、他のグールを、アーク達を」


俺の相槌に答えるレイナ。


「やれるか?」


マックに聞いた。


「うーん、厳しいな、敵味方入り乱れ過ぎてる、アーク達に知らせても、あいつまでたどり着けるかどうか」


マックは苦悶の表情を浮かべた。


「どーすんの!ここまで来たのに!街も見えてるのに!何にも出来ないで、誰も救えないで、死んじゃうのなんてヤダー」


レイナは半ベソだった。


確かに、街の灯りが見える、先の空も町明かりでぼんやりと光っていた。

もうすぐだ。


絶対みんなを無事に連れて行かなきゃ。

アドバイザーだからな。


俺はレイナの頭に優しく手を置いた。


辺りはもう、すっかり暗かった。

夜が満ちた。


「まかせろ。何とかしてやる」


「え?」


真っ赤な目で見つめてくるレイナ。

今度は怒ったりしなかった。


「やれる、のか?術者を見つけたあんただ、疑わないが、にしても、あんた何者だ?」


マックが問いかける。


「精霊使いのモズだ。兄貴の影に隠れる不憫な弟だ。そして、出来のいい弟を持った、冴えない兄貴でもある、、かな。ま、兄貴の意地を見せてやる」


マックとレイナが意味を理解したとは思えない。

後半はタダの愚痴だ。

それでも二人は、黙って頷いた。


さて、あれやろ、あれ。


俺はちょっと意識を集中して、周りにいる例の困ったちゃん達に声を掛けた。


おーい!


《ケラケラ、ウフフ、ヨンダ、ヨンダ、オズガヨンダー!ハーイ》


返事が返って来た。


また頼むわー。

時間が余り無い、今度は真剣に言うこと聞いてくれる?


《ハーイ!オズシンケン!ワタシタチモシンケンヤルー!》


ふふふ。サンキュー。


《サンキュー!サンキュー!オレイウレシイー、ケドマダー、コレカラー》


はは。そうだな。

よし行くぞ、闇の精霊達よ!


ダークマペット改、悪鬼魔吊りー(秋祭り)


《アキマツリー!》


闇が地面を走った。

今回はイタズラ無しでやってくれた。

えらいぞー!


《キャッキャッ!》


大はしゃぎだな(笑)


磁石に操作される砂鉄のように、闇はズズズと盛り上がり、グール達を覆った。


それー、レッツダンシングー!


グールが、パレードのレビューのように踊り出した。


呆気に取られるアーク達。


マックとレイナは目を見開いていた。


足を交互に振り上げて、グール達は踊る。

やがて、被って無いシルクハットをちょっと傾けて、お辞儀をすると、グール達は左右に整然と滑るようにはけた。


「道が開いたぞ、今だ、アークとアンジーを術者に突撃させろ」


俺がニヤリと笑いつつ、マックに言った。

我に返るマック。


「あ、、あ、ああ。よし。おーい!アークー!その真ん中にいるのがグールのボスだ!そいつをやればおしまいだ!行けー!」


アークはこちらの声に頷いて見せた。

アークとアンジーが視線を交わし、術者に、一気に突撃した。


「な?何とかなっただろ?こういうのは得意だ」


「ああ。今のも精霊の仕業か?」


「まあな、普段は言うこと聞かないが、今日はお利口さんだったよ」


《ホメラレターホメラレター、キャッキャッ》


精霊達は嬉しそうだった。何故かグール達も、嬉しそうに万歳ジャンプしていた。

コラコラ、気持ち悪いからリンクするのは止めなさい!


「もしかしてさっき私を、、、ま、まさかね、、、」


隣でレイナがじーっと俺の横顔を見ながら、つぶやいていたが、聞こえないフリした。


アークとアンジーの二人がかりの前に、術者は為すすべも無く、微塵になった。


その途端、グール達は糸が切れたように、崩れ落ちた。

もはや何も動かない。

紫色のオーラは拡散して、かき消えた。


馬車の乗客から歓声が上がった。

護衛達も疲れ果てた顔であったが、笑っていた。


アーク達が意気揚々と引き上げて来た。


襲われた馬車の人達にも、俺達にも死人は出なかった。

多少みんな怪我をしていたが、レイナが治した。

ってレイナ。

自分の風邪は治せないのか?(苦笑)


馬車は路線バスみたいな、駅馬車なんだそうだ。

最初に声を掛けて来たのは車掌さんなんだってさ。

リリエンに向かっていて、いきなり襲われたらしい。マック曰わく、


「新しい部下が欲しかったんだろうよ」


だそうだ。

実際、術者が何だったのか、目的が何だったのかは、よく分からない。

けど、みんな無事だったから、それでいいじゃんね。


しばらくの後、駅馬車と俺達は並んで街に向かった。


街へ向かう間、アーク達に、さっきのは何だったのか聞かれたけど、適当に言っておいた。

アークに、石をぶつけたのを謝ったら、逆に俺を足手まといしたのを謝られた。


「記憶はあるんだけど、剣を握ると、イマイチ思うように動けないというか、勝手に頭が働くというか、ズズズ」


「アーク!鼻水ー!」


「ぎゃははは」


いつもの光景に戻った。


マックは最後の力を振り絞って、馬車を運転していた。


アンジーが念話で話しかけて来た。


《オズ殿。流石です。しかし、、、話には聞いていましたが、、なんとも》


何を聞いていたのやら、目の前の無表情なアンジーが、やや苦笑しているように見えた。


《少々奇抜というか、笑えるというか、戦場においても普段通り飄々と呑気を貫く人だと》


うっせ!

シリアスとか苦手なんだよ!


《ふふ。中佐と違って、貴方のそれは気分を害しません。貴方らしくていいです。オズ殿》


アンジーが、やや微笑んだ気がした。

そ、そうか?

アンジーが言うなら。

あと、殿は止めてね、敬語もいらないからね、アンジーっちー!


《け、敬語は、、まだ無理です。け、けど、頑張ります、オズ、、、》


口をきくときは普通なのになー?


《ああしていないと、みんなに、違う姿をさらしてしまいますので、そ、それに、そうなると、オズど、オズの正体もバレかねません》


ま、まあ、確かにそうだな。

じゃあしばらくはこれで。


《はい!》


目の前のアンジーは、今度はちゃんと微笑んだ。


街の灯りが近くなって来ていた。

リリエン。

花の名前だっけか?

白壁が夜に映える、綺麗な街だった。


リュウエイ、弟よー。

どっかで見てるかー?

見てないだろうけどよー。

そうそう、リュウオウは最近、益々お前に似てきたぞー。

似なくていい所ばっかりがなー(笑)

ま、兄ちゃんは何とかやってるよ。

兄ちゃんなりに頑張ってんだぜー。

あ、あとねー彼女出来たんだー、今は遠距離恋愛なんだけどね、この子がまた、かなりの美人で、、、。


街までの間、俺は届くはずが無いと思いつつも、弟に、この世界へ来てからの物語を話していた。

読んで頂きまして、ありがとうございました。


最終的には主人公が持っていきましたね。


空気から成長しました(笑)


闇の精霊達は、今日はいい子でしたねー。


さて、オズの弟ですが、もうこの世には存在しません。

兄貴は勝手にコンプレックスを抱えているようですが、第一話のリュウオウを見てもらえば、それはお互い様のようです。リュウオウは変なとこが父に似たんですねー(笑)


兄弟仲は良かったんですよー。

ま、オズだって寂しいようで、今宵の独り言の相手は弟でした。

ま、弟に関しては、もう少し先で話が見えてくるでしょう。


ではまたー。

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