第二十二話「気まぐれに修行の成果を披露してみよう」
皆さん、応援ありがとうございます。
がんばります。
それでは本編どうぞー。
次の日も朝からルースと出かけた。
森へ入っていく。
山の盆地のような場所にその草っぱらはあった。
背丈程の草が群生していた。
何でこんな所に盆地があるのかはよくわからない。
俺は山には詳しくない。
今日は草を槍で払う練習だ。
言うだけなら簡単だが、これが結構難しい。
柳に風という言葉があるが、草も同じ。
ゆらゆらと揺れる草は、モサッとした斬撃では切れない。
まさに受け流されて終わりなのだ。
的確にリズミカルに素早く払う。
これが大事だった。
ルースはこれは得意そうだった。
右、左とリズミカルに草を槍で刈っていく。
俺は揺れる草を眺めていた。
右に左にメトロノームのように揺れる草。
右から一振り入れると、刈り取った草の奥の草は、斬圧で左へ大きく動き、右へ揺れ戻る、また正面付近へ戻ってきた所でルースの左からの斬撃を受けて切れる。
慣性の法則を上手く使って草を刈り取っているようだ。
「ルース?」
「ん?」
「ああ、邪魔してすまん。何でこれは得意なんだ?」
「狩りと同じだからだよ、ダジャレじゃないよ(笑)」
俺みたいになってきたな(笑)
ルースによると狩りも同じだそうだ。
狩りは、剣や斧で魔物を退治し、弓などで、小動物を狩る。
小動物はともかく、魔物は獰猛だ。
逃げるよりは向かって来る方が多いらしい。
おっちゃんやテリー以外は基本的には普通の人だ。
非力な人間が、強い魔物を倒すには、相手の力を利用するんだそうだ。
向かって来たり、飛びかかって来たりする瞬間。
相手が最大限に跳躍した時、弓や、剣を向ける。
相手は空中では向きを返られない。
自分の勢いと、猟師の攻撃とで二倍になった圧力を身体に受けるわけだ。
これは、おっちゃんやテリーが日常的にやっていて、他の人達はそれを見て覚えたそうだ。
ルースはこれが天才的に上手かった。
おっちゃんやテリーが、ルースをやり手と言ったのはそこに起因しているらしい。
無意識にやってたのか。
すげえな。
「ありがとう、参考になったよ、ごめん、手を止めさせちゃって、続けくれ」
「ああ、俺で役にたつならいつでも聞いてくれ」
そういうとルースはまた元の修行に戻って行った。
それにしても、草がいっぱいあるな。
毎日では無いにしろ、よく修行してるはず、草無くならないのかねー(笑)
どーでもいいような事を考えつつ。
俺はまたヒントをつかんだ。
ちなみに秘密だ(笑)
ガキン。
その時、ルースの槍が何かに当たった。
「なんだこれ?」
「どうした?」
ルースのいるところへ行ってみると、草村の中に、石のようなもので出来た、人くらいの筒状の物体があった。
「イテテ、手がしびれちゃったよ(笑)」
「あはは、あっち方面刈ったら?」
「そうだね」
またルースは修行を始め、俺はルースを見ていた。
昼までその修行は続き、今日もルースと一緒に弁当を食べた。
弁当を開けた瞬間。
「あちゃー」
ルースが苦笑した。
俺も開けてみると、苦笑の原因がわかった。
今日はオムライス(笑)
ケチャップで、《オズさん頑張って》って書いてあった。
ルースのに何が書いてあるのかは、可哀想だから見なかったが(笑)
ルースがワガママに育った原因が、ちょっとわかる気がした(笑)
昼を食べてから俺は街に向かった。
ギルドに用事があったからだ。
車はローラが洗ってくれていて、久しぶりにピカピカだった。いえーい(笑)
いつもの様にギルドにやって来て、車を停めた。
カイロスの馬車の隣が定位置だった。
今日はカレーの様子を見にきたんだー。
ギルドは相変わらず大混雑だった。
最近冒険屋が増えた気がする。
掲示板の前を通ると、
「あ、俺達が先に見つけたんだ」
「いや、紙を取ったのは俺だ」
「こっちはパーティー組んでんだ、お前みたいなソロの奴にこの依頼は無理だ」
「お前の知ったことか!」
「んだとコラ!」
いつもの光景だ(笑)
冒険屋同士の小競り合いだ。プライド高いからなみんな。
見ると、いわゆるイケメンでチャラい四人組、、昔のルースを想像してくれ(笑)と、見た感じハンターのような兄ちゃんが言い合いをしていた。
関わり合いになりたくなかったので、通り抜けようとした時。
ハンターに押された、チャラ軍団のボスみたいな奴が俺にぶつかった。
「イテ!」
「んだこら!どこ見て歩いてんだ?」
「えっと、前?」
「てめーすかしてんじゃね、、、てめーは」
俺?俺はお前の生き別れた兄ちゃんだ。嘘だ(笑)
チャラ男は俺に敵意丸出しだ。
ママー、僕何もしてないよー(笑)
「てめー、後出しジャンケン野郎だな?」
「ホワッツ?」
ジャンケンなんてこっち来てからしてねーぞ。
他の仲間も俺に近寄って来る
「間違いねぇ、こいつ銀髪のキューピー野郎だ」
色々ヤバい発言だな(笑)
聞けば、俺がランクが低いのに、依頼のついでに魔物を討伐して、後受け依頼の達成でランクを上げて来たのが気に入らないらしい(笑)
「てめー、どうやってんのか知らねーがズリーんだよ。どうせ誰かにやってもらってんだろ?」
いやいや、マッドウルフを除けば俺の手柄だ(笑)
「なんとか言えよ」
「めんどくせー」
面倒くさいのは嫌いだ(笑)
「糞が、キューピットとか言われて調子に乗りやがって」
乗っていませんが。
ちょっとムッとしたのは事実だ(笑)
「キャンキャンうるさいなー、お前はワイルドチワワか!」
チワワを知っているかどうかはさておき、周囲の人達にはツボだったらしい(笑)クスクスと笑いが漏れた。
「て、てめーぶっ殺してやる」
お前には無理だ。
男は言うやいなや、俺に殴りかかって来た。
めんどくさっ!
まあいっか、ちょっと試したい事あるし。
俺は左手のひらで男のパンチを受ける。
思った通りだった。
意識を左手のひらから右手まで動かす。
そのまま、指先で男の胸を小突く。
男はぶっ飛んだ。
自身のパンチの力で(笑)
ズザザー。
「な、な?」
「いってえな、この野郎!」
驚く男とその仲間。
周りの人達。
その時であった。
「何を騒いどるんじゃ!」
階段から下りてくる老人。カイロスだった。
「冒険屋同士の小競り合いは禁止じゃ、多少は構わんがの(笑)、じゃが、ギルド内でやるのは許さん!」
有無を言わせぬ口調に固まる一同。ホッとする俺。
「こ、こいつが先に、それに実力もねぇくせに、ズルしてランクアップしてるんです」
男が弁解する。
「どっちが先かはどうでもよいわい。じゃが、修練場の壁を切り裂いたやつが誰か知っとったら、わしがお主なら、喧嘩は売らんのぉ」
カイロスがニタッと笑った。
周囲がどよめいた。
じじいー、言うなし(笑)
完全にびびった4人は逃げるように去って行った。
「覚えてろよー」
断る!(笑)
俺はカイロスの部屋に呼ばれた(苦笑)
「まったくお主は、隠れて暮らすとか言っときながら、やっとることが真逆じゃの(苦笑)」
「面目無いです、はい(苦笑)、けど壁の事は、、、」
「フォッフォッフォッ、ああ言っとけば、誰も手は出さんじゃろ。あの壁も、そうそう壊せるヤツなどおらんからのぉ。それに甲冑の事は言っとらんじゃろ?(笑)ま、勘が鋭いヤツは気づくじゃろうが、知らぬ存ぜぬで通せ(笑)」
確かに一理あるな(苦笑)
出る杭は打たれるのが世の常だけど、打ちにくい杭を率先して打つやつはいないな。
「それにしても、さっきのは何じゃ?」
見てたのか(笑)
助けてもらった手前、隠すのもアレだから。
掻い摘んで話をした。
修行の事。それを応用した事。
さっきのは、昨日の修行の成果と今日思いついた事を応用してみたんだった。
科学ではどうなのかはともかく、人が動くのは生命力に他ならない。
息をするのも、歩くのも、科学では力学やカロリーなどと呼ばれているが、マナの力である。
俺はご存知の理由で、体内に貯蔵できるマナが少ない。だからすぐ疲れる。
パンチを放つのもマナの力だ。
俺はマナそのものに近い故、それを意のままに操ることができる。
ま、今は不自由だが(笑)
さっきのは、あのチャラ男のパンチに乗ってきたマナを手から取り込み、右手に移して返してやっただけだ。
結果、パンチ力は俺の身体を通過しただけ。俺はノーダメージだった。
チャラ男のレベルが弱く、おっちゃんのそれと比べると、蚊が止まりそうな程スローなパンチだったから出来たが、まだまだ修行が必要だった。
これを思いついたのは俺が弱いからに他ならない、そう、猟師のように相手の力を上手く利用して戦う術、を身に付けたかったからだ。
ひとつになる。
あるがままの力をどう使うか?そこを考えて到達した結論だった。
俺の正体は隠しつつ話をした。
「相変わらず、面白いというか、デタラメな男じゃのう(笑)」
カイロスは愉快そうに笑っていた。
納得した様子なのは、俺の正体を薄々は感づいているからだろう。
まさか、精霊王もどきだとは思っていないとは思うが(笑)
その後、色々お小言を食らって、やっと解放された。疲れたー。
ちなみに、後でアミタに聞いたんだが、俺の現在の通り名は
【薬草の鬼にして、銀髪の恋愛キューピットでもある、謎の乗り物を操る、カレー好きの、不倫している噂もあるらしい、後出しジャンケン野郎だけど、手は出さない方が身のためな男】
になっているそうだった(笑)
もう、ツッコム気力も無かった(苦笑)
読んで頂きまして、ありがとうございました。
後出しジャンケン野郎って可哀想な通り名が追加されました(笑)
エレーナとの件も見られていたようです(笑)
さて、主人公はというと、必死で色々創意工夫中です。恐らく人生初めての経験でしょう(笑)
頑張れ主人公。
それではまた。




