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第二十一話「気まぐれに修行してみよう」

こんちわ、作者です。


読んでくれている方々がまた増えました。


ポイントもお気に入り登録も増えています。


頑張ります。

筆で答える他に感謝は示せませんが(苦笑)


暑いです。

秋はどこで寄り道してるんでしょうか?


なので、話の中もまだ夏です(笑)


それでは本編どうぞ。

その日の夕方、俺は家に帰ってきた。


おっちゃんもローラも帰宅していた。


みんなで夕食を囲む。

カフェからカレーを分けてもらったから、今夜はカレーだった。

ローラにもたまには楽させてあげないとね。


おっちゃん曰わく、ルースはよく頑張っているそうだ。


ローラにはエレーナのとこに行った事がバレていた(笑)


「聞いたわよ。会いに行ったんだってぇ?」


「な、なんで知ってるんだ?」


「そりゃそうさ、せっかく街まで行ったのに、かわいい娘の顔を見ないで帰る親なんていると思うかい?」


正論だ(笑)ローラが街にいるのを忘れてた。


「あれはちょっとアドバイスをもらいに」


「アドバイスをもらう為だけに誘拐したらしいじゃないか?」


横からニタニタ笑いながらおっちゃんが茶々を入れてくる。


「わーわー、うるさいなーもー。行きました。会いに行きました」


おっちゃんとローラの笑い声が響く。


「で、感想は?」


「えっと、、エレーナだった(笑)」


「ははは、そうかいそうかい、あたしも同じ感想だったよ。元気そうでなによりだったねぇ」


おっちゃんは笑ってウンウンと頷いていた。


次の日から俺は、ちょっとした特訓を始めた。


しばらく冒険屋はお休みする。


まずは野山を歩いた。


この辺はとても自然が豊かだ。


ルースにくっついて行って、ルースの面倒を見ながら自分も特訓する。


おっちゃんも仕事に専念出来るし、一石二鳥だ。

人に教えるというのはなかなか疲れるもんなんだ。


「よろしくお願いします」


「いやいや、改まられても困るから、俺はいないもんだと思ってくれ」


「わかった。でも心強いよ。見られてるって励みになるし」


「そかそか」


ルースが林に入って、じっと立っている。

半日は葉っぱを突くそうだ。

さわさわと揺れる木々の合間から木漏れ日が差し込んでいる。


風に揺られてか、はらはらと落ちてくる葉っぱ。

ルースが槍で突く。

葉っぱは槍をスルッと抜けて落ちて行った。


「違うな、今のは違う」


ルースが独り言を言って、また元の体制に戻る。


次の葉っぱが落ちるまでのしばらくの間、俺は座って鳥や小動物を見ていた。


まだ遠巻きにしているようだ。人は自然の中では異質なんだろうな。


次の葉っぱも空振り。


俺は目を閉じた。


森の音が聞こえる。

鳥のさえずり、虫の音、木の揺らめく音。


次の葉っぱも空振り。


ルースはもう言葉も発しない。


ひたすらじっとしていた。


俺は相変わらず耳を澄ましていた。


ルースの息づかいが聞こえる。


また空振り。


ルースは腐る様子もなく淡々としていた。


俺はゆっくりと気持ちを地面に根を下ろすようにして、森に溶け込んだ。


鳥の音や虫の音が少し遠ざかる。


そして、普通は聞こえない音が聞こえた。大地の地下を循環する水の音、木の中を流れる水の音。

そして、朝露の名残が葉っぱから一滴垂れる。

まさに森の息吹き、ひんやりとした空気の中、それは確かに聞こえた。森の呼吸が。


ルースの気配が消える。


同時に木の中で小さくはじける何か。


葉っぱが落ちて来た。


次の瞬間、ルースの槍が葉っぱを貫いた。


「よし!」


ルースの気が戻る。

かなり近くまで来ていた鳥や小動物達が逃げて行った。


「やるじゃんか」


「まだ、五回に一回くらいしか成功しないんだけどね」


「そうか」


「なんつーか、何も考えなくなると成功するんだ」


「そうか、がんばれ」


「おう、ありがとう」


特にアドバイスはしない。おっちゃんとルースと俺との間で交わされた約束だった。


昼までずーっと、その修行は続いた。


俺は大地の呼吸を聞いていた。


昼過ぎにご飯を食べた。


今日はルースのお母さんが作ってくれたお弁当だ。


ご飯の上に卵やソボロが乗っている。菜の花のような付け合わせに、野菜を肉で巻いたオカズが入っていた。

俺の分もあった(笑)


素朴だけど、優しい味がした。


「ルース」


「ん?」


「アドバイスはしない約束だったけど、一個だけ内緒で言っとくわ」


思った以上に真摯に修行に取り組むルースに親心が出てしまった。許せおっちゃん(笑)


「ひとつになれ」


「ひとつに?何と?」


「全部と。あとは自分で考えろ、ヒントは鳥や小動物だ」


「わ、わかった」


ま、そのうちわかるはずだ。おっちゃんも言っていたが、ルースは筋がいい。


午後は川へ洗濯に行った。大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこ、、。

すいませんふざけ過ぎました。


俺達は件の川にいた。

陽光煌めく川面。

冷気を含んだ風が気持ちよかった。


ルースは川に入って、魚を槍で突いていた。


葉っぱよりも大変そうだった。


川の流れに足も取られるし、魚は葉っぱと違い避けるという事も出来る。


全然魚が採れない。


俺はやっぱり座って、川を見ていた。


川の流れ。


岩や、川底の形、水量によって、絶え間なく変わる川の流れ。


そこを動きまわる魚の姿。時に流れに沿って、時に流れに逆らって、魚は泳いでいた。


川にまつわる世界は幾層にもなっていた。


水や餌を求めてやってくる虫。魚が、虫や小さい魚を狙い捕食している。その魚や、川辺にいる虫を狙って舞い降りる鳥。そして、魚を狙うルース。


鳥達は、魚の動きを先読みしている。時に流れを読みつつ水に突進。時に魚が捕食する瞬間をめがけて突進。


ルースは相変わらず、空振りばっかりだ(笑)


じれったいなー。


けどもう何も言わないぞ。


俺は目を閉じた。


頭の中で幾重もの世界が徐々に絡み合って行く。


川の流れが感じられた。


ゆっくり意識を落とす。


最初感じられた川の流れは、岩や川の形によって様々にうごめくものだった。

徐々にそれは、ただの流れになった。

変わる形もまたあるべき流れのひとつ。

ただただ流れゆくもの。


川の表面に流れる空気の塵がひとつ。

虫の羽音がする。

ホバリングを繰り返しつつ川面に近づく。

魚はゆっくり川の上層を旋回していた。

川の流れに身を任せつつも、意思を持って動く魚。流れにあがなわず、流れに負けず。


やがて羽音が水面に下りた。


スローモーションのように。


魚はその時間の中で、ゆっくりと浮上し、虫に向かって進む、パクパクと動く口が、虫を捉えようとした瞬間。


空と川の間を切り裂く空気の曲線。


大きな鳥が降下してくる。鳥は虫を数ミリ掠める、虫がグラッと傾く、そして鳥は水中の魚の側面へ到達した。


その時。


いきなり俺の意識の中に現れた細長い棒のようなものが、鳥と魚を同時に貫く。


!?


目を開けた。


「やったー採ったどー、おわっ!」


バッシャーン


槍を掲げて、水に足を取られて転倒しつつも、嬉しそうなルースがそこにはいた。


忘れてた訳じゃない。ただ存在を感じない程に、その時のルースは川とひとつだった。


その後は浮かれすぎて気が乱れたせいか、空振りばっかだったが(笑)

決してあれはまぐれじゃなかった。


いやー、有意義な時間だった。

色々修練出来たぞー。


え?どこがって?

秘密だ(笑)


ルースと一緒に俺の家に帰る。

おっちゃんが待ってた。


ルースから今日の報告を受けて驚くおっちゃん。


「鳥と魚を同時に突いただと?」


チラッとおっちゃんは俺を見た。


「本当だ。ついでに言うと、まぐれじゃない、間違いない」


その言葉を聞いておっちゃんは目を丸くしたものの、嬉しそうだった。


今日も最後は手合わせだ。


結果はどうなったか?

言うまでも無い(笑)


けど、ルースは槍を杖代わりにする事なく、嬉しそうに歩いて帰って行った。

魚と鳥を持って。親父に見せて、晩御飯にするんだとさ(笑)


俺はちょっと試したい事があった。


おっちゃんに内容を話して手伝ってもらう。


おっちゃんはびっくりしていた。


「おいおい。正気か?」


「大丈夫だ(笑)」


今、俺は上半身に皮の鎧を着て、おっちゃんの前に立っている。


「じゃ、よろしく頼む」


「わ、わかった、、」


目を閉じる。


次の瞬間。


俺はおっちゃんに胸を殴られてぶっ飛んだ(笑)


「いてててて」


「お、おい、オズ。大丈夫か?」


「平気平気、ワンモアプリーズ。ただ、もうちょっと手加減プリーズ(笑)」


「本気か?」


俺はまた立ち上がった。

目を閉じる。


またぶっ飛ばされた(笑)


「あたた。いかんいかん、気が散りすぎだ」


「大丈夫か?何をするのかわからんがもう止めとくか?」


「ドンマイだ。だいたいわかった。もう一度たのむ、次は一分程待ってからたのむ、殴る時は特に何も合図はいらないから」


「わかった」


目を閉じた。


カナカナと鳴く虫の声が聞こえる。

耳元を抜けてゆく夕暮れの風。降りてくる夜の帳。


ゆっくり、ゆっくりと、茜色から暗く変わって行く空のグラデーション。


おっちゃんの息づかい。


おっちゃんに合わせて息をする。


感じられていた周りの景色が遠ざかる。


黄昏の時間の中、おっちゃんの存在だけに、意識を集中した。


身体の中のマナを指先に集める。そしてもっと小さく、もっと点に、マナを凝縮していく。


おっちゃんの額から汗が落ちる音すら感じられた、


次の瞬間。おっちゃんの中で集まった力が腕に動いていく。


来た。おっちゃんのストレート。


スッと俺は指先を前に出した。ただあるがまま、それが当たり前のように。


「な!」


目を開けた。


おっちゃんの手加減したストレートは俺の指一本で止まっていた。


おっちゃんと俺の交わった場所からは、せめぎ合うような力は感じられない。


ただ、同じ力で吸い付いているような感覚。


「よし。出来たぞ」


俺はニタっと笑った。


おっちゃんは驚愕の表情を浮かべていた。


「な?何をしたんだ?」


「指先に、おっちゃんのパンチと全く同じ力を集めただけ。均衡したから止まった」


「そ、それだけか?いや、理論的には可能だが、いつ俺が打ってくるか、どんな力で、どんな軌道で打ってくるかわからないと無理だろ?」


「わかったのさ、とはいえ、まだ修行中だから、殴られてだいたいの力を把握して、軌道もある程度見切るために胸を殴ってもらう事にしたんだよ」


「どうやって?」


「ひとつになった。てか、おっちゃんがルースにやらせてるのもそうだろ?まああれは精神的な修行も兼ねてるみたいだけど」


「あ、ああ、まあ、そうだ。そうだけど、、、いやはや、恐れ入るよ(笑)」


「いやいや、ヒントをくれたのはおっちゃんだから、偉大な親父であり、荒野の豪槍でもある男、ププ(笑)」


「くっ。こらー、おちょくりやがってぇー(笑)ぶっ飛ばしてやる!」


「わー、家庭内暴力だー(笑)」


笑いながら追いかけてくるおっちゃんと必死で逃げ回る俺、いつの間にか戸口にやって来て爆笑しながら見ているローラ。


俺らの追いかけっこはローラの


「夕ご飯冷めちまうから、その辺にしときな!」


って言う声が響くまで続いた。

読んで頂きまして、ありがとうございました。


にしても、主人公、こんなやつでしたっけ?(笑)


基本的に頭の中のストーリーに沿って書いていますが、主人公は自動操縦なんです(笑)


なんというか、状況に応じて成長していってくれている気がします。

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