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第16章 数字の接触
九月の中旬。
霞が関にある経済官庁の合同会議室には、蛍光灯の白い光が落ちている。長いテーブルの上には、各局から集められた事業別の予算配分資料が並んでいた。
若手官僚がページをめくる。
「第三項目、確認します」
画面に表示された表と紙の数字を見比べる。第三項目の数値は、前の資料と一致していた。
「直人の事業計画から回ってきた一次配分データ、合算に入れます」
「了承」
低い返事が重なる。
別の男が手元の資料に赤いボールペンでチェックを入れた。空気清浄機のファンが一段強く回り、紙の端がわずかに揺れる。
「次、全体合算です」
画面の数字が更新される。
0.3%の誤差を含んだ数値が、合算値の中へ組み込まれた。
誰も手を止めなかった。
窓の外では、秋の乾いた空の下を車が流れている。若手官僚が画面の右下を確認した。
「反映されました」
「では、次に進めましょう」
男がエンターキーを押した。画面の表が切り替わる。
次の集計表には、別の数字が並んでいた。




