2-Epilogue あたたかなお家の中、ふわふわのお布団の上、幸せな夢を見るの
大きな棺桶が、大きな家に早変わりする、珍妙な住処。
それは記憶を頼りに追いかけた、あの白い家とは、まるで違う。
けれど、たった一つの玄関を隔てた内側は、驚くほど暖かい。
そこには、これまた珍妙だけれど――家族がいる。
ツンツンとした口調で、けれど器用に皆のごはんを作ってくれる、カボチャの魔女娘。
無表情なくせに、やたらとブラッシングしたがったり、抱きしめたりする、特に家事をする姿は見たことのない銀髪のメイド。
基本、何を考えているのか分からないけれど――時々、温かな手で撫でてくれる、〝ただの人間〟を自称する白髪の青年。
家猫となったワー・キャットの少女は〝やれやれ〟と毛繕いをしつつ、この妙ちくりんな家族に〝仕方ないな〟と頬を緩めた。
簡易的な暖炉まで作られていて、けれど温まり飽きたワー・キャットは、気ままに家の中を徘徊する。
ちょうどよい塩梅のベッドを見つけて、ぴょん、と布団の上に飛び乗った。
家の中は、どこもかしこも、暖かい。
どこからか、誰かの声が、いつも聞こえてくる。
たまに、ワー・キャットの少女を、呼ぶ声もした。
ここはもう、寒空の下じゃない。
今はもう――ひとりぼっちじゃ、ない。
〝くあ〟と一つ、大きな欠伸をして、もぞもぞと一番いい姿勢を探してから、身を丸める。
あたたかなお家の中、心安らかにして、ふわふわのお布団の上、丸まって目を瞑る。
今夜は、どんな夢を見るだろう?
もう迷い猫ではない、ワー・キャットの少女は。
新しい居場所で、大切な家族と。
これからずっと、ずっとずっと、離れることなんてなく。
一緒に、生きていく。
――幸せな夢を見るの――




