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モンストル・ワールド! ~ モンスターがそれぞれ支配する奇妙な街や国を旅して、家族を迎えていく ~  作者: 初美陽一
2つ目の国 猫又国の、迷い猫《ワー・キャット》

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2-4話 恐るべき猫又国、されど旅人たるアイン達は、そう易々と懐柔されるはずがないのだ――!

 さて、恐るべき猫又国の紹介が終わった辺りで、看板猫娘は話を切り上げた。


「まあこの国の恐ろしさは、大体こんニャもんですニャ。ちなみにあちしみたいに趣味で自主的に働いてる猫又もいますニャンよ。ちゅーわけでハイコレ、お団子のサービスですニャ~ン♡ そんじゃまたニャ。は~、いつかラーメン屋とかやってみてぇですニャンね~」


「おおお……久々のカボチャ以外の食事、感謝する。しかも十本以上もあるぞ、こんなにたくさん良いのだろうか。何て良い国なんだ、猫又国……もぐもぐ」


 言いながら既に三色団子を頬張っているアイン、懐柔かいじゅうは順調だ。

 少し離れて街並みを眺めていたトゥーナは、いつも通りの無表情で立ち尽くすロゼと会話する。


「……うん、率直に言って、変な国ね、ここは! ハロウィン・タウンの支配者一家だったアタシが、太鼓判を押したげるわ。ていうかロゼは、相変わらずよねぇ……雰囲気クールだし、別に猫チャンとか好きじゃないとか――」


「めっちゃ好きでございます」


「アッオオッ、へ、変な声でちゃったわ。こ、こほんっ……そ、そうなの、相変わらずの無表情だし、その即答が意外すぎてビビったわ……いや、いつも無感情に見えるロゼが食い気味の即答までするなんて、それくらい好きなのね、う~ん……ロゼって分かりにくい子かと思ってたけど、意外と分かりやすいかしら……」


 まだロゼとは付き合いの短いトゥーナだが、旅の仲間として少しずつ慣れている模様だ。と、元々二人旅していたアインが、団子を咀嚼そしゃくしつつ口を挟む。


「もっちもち、ごっくん。ああ、ロゼは昔から猫好きだったからな、俺にしてみれば意外でもないさ。意外と分かりやすい、というのもその通りだぞ。受動的で、感情が希薄なのは否めないが……ある意味、会話・対話に感情を挟みこまず、率直に思ったことを突っ込んでくる、とも言えるからな」


「あー、全球どストレートで、配球とか一切考えないみたいな……会話のキャッチボールが豪速球すぎる、みたいなね? 相手する方は慣れるまで大変なのも、納得だわ……ていうかアインとロゼって、どれくらい長い付き合いなのよ?」


「ん。……そうだな、まあ……物心ついた頃からの、幼馴染さ」


「ふーん、アタシとリリィみたいなもんか。……あー、うーん……えっと」


 少しばかりアインが言いにくそうにしているのを察してか、トゥーナはそれ以上の突っ込んだ話をして良いかどうか、躊躇ためらっているようだ。

 そうして逡巡しゅんじゅんしている内に、今度はアインがトゥーナへと尋ねかける。


「というか……猫好きといえば、トゥーナの方こそどうなんだ? 魔女と猫、といえば相性が良さそうに思えるが……」


「! ……フンッ、見くびらないでくれる? アタシは恐るべきハロウィン・モンスターの娘たる、ハロウィン・タウンの魔女娘ウィッチ・ガールおそうやまわれるべきアタシが、猫チャンが可愛い程度で、そう易々と懐柔されるはずないんだからっ! 速攻で懐柔された旅人のアンタ達と違ってね、ふんっ」


 そっぽを向いたトゥーナが、そのままあらぬ方向へと歩みだそうとするので、アインも何となしに尋ねた。


「トゥーナ? どこへ行くんだ、そっちは裏路地――」


「……ちょっと()()()()に、ちょうどいい民家かお店でも探しに行くだけよ。ったく、レディに変なこと言わせず察しなさいよねっ。ふー、やれやれ……付いて来たら、魔法で消し炭にするわよ?」


「ん、そうか、わかった」


 こくり、アインが簡潔に頷くと、トゥーナは今度こそ裏路地へ入っていく。

 直後、アインは猫又国の裏路地に何があるのかと、気になって()()()()()()()。別にトゥーナに付いて行ったわけではない、()()()()()()()()()のが動機だ――あまりにもロジカルな理論武装、異議を差し込む余地もあるまい。


 が、そこでアインは、見つけてしまった。


「ほう、裏路地の先は居住空間に繋がっているのか。連結するように繋がった、和風の家……確か長屋、だったか? ん? あれはトゥーナ……ッ――!?」


 旅の仲間にして家族の一人、更に恐るべきモンスターたるハロウィン・タウンの魔女娘の――アインも目を疑う、その所業とは――!?


「にゃ~んにゃんニャニャ~~~ンッ♡ ン~~~ッかわいいでちゅね~っ♡ キジトラ、茶トラ、キャリコ……毛の長い子もいる~っ♡ あっ黒猫! 魔女ったら黒猫よね、おいでおいで~♡ カボチャで作ったオヤツあるわよ~?」


『ニャン? ナンナンニャ』『ニャンダニャンダ』

『うなんな……ワイのシマに踏み込もうたぁエエ度胸やのネエチャン。でもオヤツ美味しいので許しま~す♡ さあ我が子らも、お食べ……』

『ミーミー』『ミー』『ミ~ゥ?』『ミャーン』


「こっ子猫もいっぱいいるぅ……♡ はぁ~こりゃたまんないわね~♡ どーやら普通の猫チャンもいるみたいだけど、猫又も混ざってんのね、違いって何かしら、魔力の有無? ……まあどうだっていっか、可愛ければ~♪ ニャ~ン♡」


「…………」


「ニャ~ン♡ ほらほら、まだ食べられてない子がいたら、こっち来なさ~い? うへへ……最高だわ、猫チャンの国、旅に出て良かったぁ……♪」


 人違いかと思ったが、その特徴的な魔女のとんがり帽子、ピンクブロンドの艶やかな髪、間違えようもない、トゥーナだ。

〝そう易々と懐柔されるはずない〟と豪語した魔女娘が――確かに、そこにいる。


 蕩け切った表情で猫を愛でる即オチ魔女娘トゥーナと、それを黙って見つめるアイン。

 そんな二人の視線が、今、交錯する――!


「ウフフ、ウフフ、ニャンニャン♡ ニャニャ~~~ッ……ンオッ」

「?」


「あ、アイッ、アインッ……いや、これはその、違っ……違、くてぇ……」

「…………?」


「っ、大体アンタ、何で付いて来てんのよ! ゆ、許さないわよっ!?」

「…………!」


「ゆ、ゆる、ゆっ……フッ、あっいや、だからまあ、その……ね? アレよ、猫チャンが、その……わかるでしょ、こう……猫チャンが、ね?」

「? ???」


「…………」

「…………」


 何やら情緒不安定な様子のトゥーナ、様子を窺い続けるアイン――そんな二人の間に、銀髪と美貌のメイド・ロゼが割り込み、一言。


「……猫さま可愛いニャン」

「「…………」」


 ドが付くほど無表情で放たれた、ロゼのシュールな言葉に、まず反応を示したのはアインでだった。


「フフッ」

「……ンフッ」


 続いたトゥーナも、もはや笑うしかない――今この瞬間、旅人たちの繰り出すシュールの脅威が、猫又国の裏路地を襲う――!(無害)


 まあ何だかんだで、心の底から猫又国を堪能しているらしい一行。

 ……だが、しかし。



『……アイツら、よそ者? ……ニャア……』



 一切の音も立てず、気配を完全に絶ち――物陰から金色の瞳を輝かせる何者かが、アインたちを睨み据えていた。

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