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二週目は誰も失いたくないので、婚約破棄を目指します。  作者: もち


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4.5 sideアレク

「今日も渡せなかったな……」


手渡すはずだった見舞いの品を見つめ呟く。何をあげれば喜ぶのか分からなかったから、手当たり次第に選んだ結果、贈り物は馬車一台分になってしまった。

一つずつ手渡したいから、馬車の前まで連れてこようと思っていたんだが……。


「はぁ……」

「ため息を吐かれてどうしたんです。アレク様」

「分かってるくせにいちいち聞くなユリウス」

「失礼しました。今回も持ち帰ってよろしいのですか?」

「ああ」

「果物やお菓子、花などの生ものだけでも、お渡しにならないのですか?持ち帰っても日持ちしませんよ」

「渡さない。また用意すればいいだけの事だ」

「ええー、また用意するのも大変なんですよ?せめてセドリック様を介して渡しても……」

「黙れ」

「……」


セドリックを介して贈り物を渡す?それだけは絶対に嫌だ。俺が用意したもので、シリルの笑顔をセドリックが見るのだけは嫌だ。シリルへの贈り物は全て最上の物を用意したから、調達が難しい事は分かっている。従者たちへの負担になっているのも分かっている。

だが俺が選んだものは俺が直接手渡したい。喜ぶ顔が、眠っている時に見せたあの笑顔がまた見たいから。

寝顔とは言え初めて見た柔らかな笑顔を思い出したのと同時に、俺を見て恐怖に染まったシリルを思う。


「俺は、怖いのだろうか……」

「威圧感はありますね。特に無言の時とか」

「お前には圧をかけないとすぐ調子に乗るだろ。違うシリルにだ」

「かけてはないとは思いますが、セドリック様が近くにいる時はシリル様が脅えてますね」


シリルに圧をかけているつもりは無いが、セドリックがいる時にかけた圧を勘違いされたのだろう。

忌々しい。今はただのシリルの従者の癖に、シリルのことを一番わかってると言わんばかりの態度と顔が本当に腹が立つ。


「ユリウス、シリルを皇室に住まわすこと出来ないのか?」

「出来ません」

「俺の婚約者だぞ」

「まだ婚約者です。婚姻を交わしていないのに住まわせては、他の貴族から格好の餌食にされます」

「どいつもこいつも……」


煩わしい。どうして俺とシリルの邪魔ばかりする。シリルが伏せていると聞きつけ、新たな婚約者候補にと自分の子どもを勧めてくる貴族たち。

全てが邪魔でしかない。

きっかけが政治絡みだとしても、俺はシリル以外を娶る気はない。初めて会った日から決めていることだ。


「ユリウス、二週間以内にシリルに会えるよう予定を組め」

「アレク様また無理をなさるつもりですか?ただでさえ予定が詰まっているのに……無理にねじ込むとなるとまた寝不足になりますよ」

「シリルに会うためなら構わない」

「はぁ……分かりました。何とか訪問できるよう時間を作ります」

「任せたぞ」


本当は明日にでも会いたいが、シリルの負担になりたくない。俺はシリルの強ばった表情ではなく、笑顔が見たいのだ。だから負担になるような事はしない。

引き返したくなる気持ちをグッとこらえ馬車に乗り込む。最後に一目でも見れないだろうかと思い、シリルの部屋の窓を見つめる。


「セドリック……」


窓際に立っていたのはセドリック。本当にお前はいつも俺の邪魔ばかりする。今はシリルと一緒に暮らせなくてもいい。だがせめて、シリルからあいつを引き離したい。

あいつだけはシリルの側においてはいけない。

早く引き離さなければ―――あれはいつか俺の脅威になるだろうから。

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