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アレク様に告白して数日。あの日からアレク様の遠慮がなくなり、しつこく付き纏うようになった。
いや、僕だって好きな人に対してこんな言い方はしたくない。したくないのに……。
「シリルシリル、今日の仕事全部終わらせてきたぞ。好きと言ってくれ」
「シリル愛している。シリルも俺のこと、好きだよな?」
「シリル今日も好きと言って欲しい」
毎日毎日このように迫られいい加減疲れた。……最初は満更でもなかったけど、こう毎日言わされるのは流石にもう限界だ。
そもそも僕は感情表現が苦手な方だから、何回も言うのは疲れる。
アレク様が嬉しいのは分かるけど、いい加減勘弁して欲しい。
「なぁシリル」
「アレク様」
今日も好きを強請ってきたアレク様の言葉を止める。心苦しいけど、これ以上は放っておけない。
セドリック様派のこともある。改めて線引きをしないといけない。
「……しばらく距離を置きませんか?」
「…………へっ?」
僕の言葉を聞いてしばらくすると、アレク様の顔は徐々に青ざめていく。……言い方間違えた。
「お、俺のことがきらいになったのか?何がダメだった?シリルが不快に感じたのならなんでも直すから……きらいにならないでくれ」
今にも泣きそうなアレク様に……不覚にもときめいてしまった。
分かってる、分かってるよ。次期皇帝になるかもしれない人に対し、今にも泣きそうな顔が可愛くてときめく。なんて思ったらダメだって。
でも仕方ないじゃないか。一週目は絶対に見れなかった顔なんだもん……可愛いと思うぐらい許して欲しい。
誰かに責められているわけでもないのに、僕は心の内で言い訳を述べる。
って、こんなこと考えている場合じゃない。アレク様の誤解を解かないと。
「アレク様、嫌いになったから言ったわけではありません」
「ほんとうか……?」
「本当です」
「おれのことまだすき?」
「はい、好きですよ」
「へへっ」
ああもう、本当に可愛い人だな!
絆されそうになるのを必死に堪え、アレク様に言葉の真意を伝える。
「距離を置きましょうと言ったのは、アレク様との時間を割き過ぎているからです。ご存知の通り、僕はアレク様とセドリック様のどちらかを次期皇帝に選ばないといけません」
「……」
「最近アレク様と過ごす時間が多すぎるので、セドリック様との交流時間が取れていません。なので、公平を期すためにしばらく距離をーーー」
「……いやだ。なぜ両想いなのに距離を取らないといけないんだ」
泣きそうな顔で訴えるアレク様。その顔に胸を締め付けられるが、ここは心を鬼にしなければならない。
「アレク様、このままでは第二皇子派からの抗議が来てしまいます。すでにギリギリの状態らしく、このままではアレク様の今後に関わります」
「……」
ぽすっと、アレク様は僕の肩に額を預けると、僕にしか聞こえない声で呟く。
「後継者争いなんてなくなればいいのに……」
「アレク様……」
「地位も名誉も欲しいやつに譲る」
「……」
「俺にはシリルさえ側に居てくれたら……他にはなにもいらないのに」
その言葉は嬉しい。けど、能力があるのに責務を放棄しようとする姿勢はダメだ。
アレク様を引き剥がし、真っ直ぐ目を見つめて伝える。
「弱気になるなんてらしくないですよ」
「だって……俺は……」
「だってじゃありません。アレク様は人の上に立つ資格がある方です。能力がある方が、その責務を放棄するのはダメです」
「シリル……」
「あまり多くは伝えられませんが、アレク様なら分かってくれますよね?」
「……ああ、分かった」
微笑むアレク様。よかった、僕の言いたいことがちゃんと伝わったようだ。
「公平を期すためにちゃんとアレク様の相手もしますから、あまり拗ねないでくださいね」
「……子供扱いするな」
「えー?」
「…………嘘。ちゃんと来てくれなきゃ拗ねる」
「ふふっ、分かりました」
少し不満げな顔。そんな顔も可愛くて、愛おしい。望むことはなんでもしてあげたくなる。
……これが惚れた弱みってやつなのだろう。
でも流されてはいけない。僕たちは責任ある立場なのだから。




