23.5 sideセドリック
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sideセドリック
どうして、どうしていつもこうなるんだ。
執務室で見つめ合うアレクとシリル様。今回は同じ立場になって、好きにならないよう前回の記憶を残したのに。
「……好き」
「もう一回」
「〜〜〜っ、仕事!仕事溜まってるんですよね!いい加減しないと終わりませんよ!」
「わ、分かった。これで最後にするからもう一回だけ!」
「言いません!僕は仕事を手伝いに来たんです。早く終わらせますよ」
「……はい」
どうして……また、好きになるんだ。
怖がって嫌いになるよう、前回はアレクを上手いこと使ってシリル様を殺させた。私の死はキレイなお別れになるよう演じた。
その記憶があれば、今回こそはアレクを好きになることなく私のものになると思ってた。最初は上手くいっていた。アレクへの拒絶反応は笑いが止まらなかった。
だが結果は最悪だ。
目の前で繰り広げられる光景に吐き気が止まらない。二人がまた恋に落ちてしまった現実に、今すぐ滅茶苦茶に破壊したくなる衝動が湧いてくる。
「ダメだ……今まだ……」
衝動を無理やり抑え、忌々しい光景を見たくなくてこの場を去る。
何度やっても上手くいかない。クロードに私を好きになるよう誘導しろと暗に示したのに、全く言うことを聞かない。それどころか奴はシリル様に惹かれつつある。
「くそっ!」
あまりの苛立ちに壁を殴るが、怒りは全く収まらない。それどころか膨れ上がるばかりだ。
「どうして、どうして、どうして私を見てくれない?私を好きになってくれない?私のどこがあの男より劣るんだ?」
湧き出る疑問を呟くも、答えてくれる人はいない。当たり前だ。シリル様は今―――。
「っ!」
また壁を殴ってみるが、怒りは収まらない。
私のシリル様が取られてしまう。愛してやまないシリル様。私に初めて手を差出してくれたあの日からずっと、恋焦がれてやまない人。私の方があの男より早く愛した。
私の唯一の人を、アレクはいつも奪っていく。あいつは私とは違い、何もかも持っているのにシリル様まで奪っていく。
「私にはシリル様しかいないのに……」
第二皇子なんて本当は興味無い。だが何度もやり直した世界で、ただの人間の従者だった私は見向きもされなかった。
だから今回は同じ立場を得た。そうすれば、ようやく私のことを見てくれると思っていた。でも結果は違った。
これ以上どうすればいい?
アレクに殺される強烈な記憶を持ってしても、惹かれ合ってしまう。なら私はどうすればシリル様を手に入れられる?
またアレクにシリル様を殺させる?
今度はもっと見るも無惨な状況を作る?
そこに私が手を差し出せば、シリル様は今度こそ私を好きになる?
それとも―――。
「悪魔と人間は結ばれない運命だと言いたいのか?」
青々とした空に向かって睨みつける。忌々しい天界、あいつらは今の俺を見て嘲笑っているに違いない。
まぁ、腹が立つがどうでもいい。
繰り返せばいいだけ。俺のやり直しの力を使って、運命なんてものは捻じ曲げて歪めてしまえばいいだけだ。天界がアレクとシリル様を何度でも祝福するなら、俺は何度でも呪ってやるさ。
別にシリル様の心が壊れたって構わない。魂さえ手に入れられれば、後はどうとにでもなる。
「必ず手に入れてみせる……!」
もう、なりふり構ってられないからな。




