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二週目は誰も失いたくないので、婚約破棄を目指します。  作者: もち


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「どう、して……セドリックが……」


あまりの衝撃に言葉が上手く出てこない。


「話せば長くなります。よければこの後、二人きりでお茶でもしませんか?」

「ふざけるな。シリルは俺の婚約者だぞ。お前と二人きりなどさせるか」

「その認識は改めた方がいいかと。そうですよね、皇帝陛下」


軽い調子で話しかけるセドリック。その言葉に嫌な顔せず受け入れる皇帝陛下。……本当にセドリックは第二王子なの?


「……そうだな」

「父上!」

「落ち着けアレク」

「落ち着けません!どうしてこいつがここにいるのですか!どうして第二王子なんて今までいなかったものが現れたのですか!どうしてシリルをこの場に呼んだのですか!」

「喚くな」

「っ!」


陛下の一言でアレク様は黙ってしまう。圧がすごい。陛下の圧は初めて感じるけど、これは……息が上手くできなくなる。

そんな僕とは対象に、セドリックの様子は変わらない。陛下の圧なんて気にならないとでも言うようだ。


「はぁ……説明するから落ち着け」

「……はい」

「まず、セドリックは私の亡き妹の子だ。証拠も揃っている。本来なら皇族として育ってないセドリックは皇位継承権はないのだが……。事情が変わり第二王子として認めると評議会で決まった」

「事情?」

「皇族として申し分ない能力、そして……」


言いにくそうに口ごもる陛下。続きの言葉を大人しく待っていると、陛下と目が合った。


「シリルの誘拐事件をきっかけに、アレクは私の後継者に相応しくないと、多くの声が上がったのだ。それにお前は私との約束がある」

「……」

「納得できないのは分かる。だが決まったことだ」


ぎゅっとアレク様の手に強く握られる。その強さに痛みを感じたが、どうしてかこの痛みから逃げたくなかった。

少しだけ力を込めてアレク様の手を握り返すと、アレク様と目が合う。その目は不安に満ちていて、なぜかどうしようもなく苦しくなる。


「シリル……」

「ところで、お二人はいつまで手を握っておられるのですか?」

「お前に関係ないだろ。シリルは俺の婚約者なのだから、握っていていいだろ」

「しつこい人ですねぇ」

「お前のことか?」

「ははっ、何をおっしゃるんですか。あなたのことですよ。嫌がられているのに無理やり手を繋ぐなんて、勝手な人ですね」

「それは……」


苦しそうな顔でアレク様は握られた手を見つめる。少し緩んだ力に咄嗟に強く握り返し、セドリックを見つめて答える。


「セドリック」

「はい、シリル様」

「僕はもう嫌じゃないよ。アレク様に触れられるのも、手を繋ぐことも。もう、嫌じゃないんだ」

「……ほぅ」


一瞬でセドリックが纏う空気が変わった。まるで僕を処刑した時のアレク様のような……嫌な空気だ。


「セ、セドリック?」

「ああ、申し訳ありません。シリル様の変化に少し、驚いてしまいました」

「そっか……」


驚いた反応には見えなかったけど……。なんだろう、今のセドリックは凄く怖い。


「各々思うとこがあるだろうが、アレクとセドリックは一旦席を外してくれ」

「なぜですか父上」

「私と皇后からシリルに話すことがある。お前たちは別室で控えるように」

「……分かりました」

「承知しました」


有無を言わせない陛下の圧に、アレク様はしぶしぶと言った様子で皇帝の間から出て行った。


「ふぅ……全く我が息子ながら我が強すぎる。悪いなシリルあの子に色々と振り回されているんだろう?」

「い、いえ、僕は気にしていません。あの、ご挨拶が送れてしまい大変申し訳ありません。皇帝陛下と皇后陛下にご挨拶を申し上げます」

「よいよい、シリルには色々と苦労かけるからの。挨拶なんぞなくてもよい。なぁ皇后よ」

「ええ、むしろ早く私の息子になってお義母様と呼んで欲しいわ」

「はははっ、皇后は本当にシリルが気に入っておるのぉ」

「あら、貴方もでしょう?」

「そうだな。シリルよ、私の事もお義父様と呼んで良いぞ」

「あはは……」


陛下たちは相変わらずだ。三人でいる時は柔らかい空気で接してくださる。なぜこんなにも気に入られているのかは分からないが、陛下と皇后の気持ちもあって婚約破棄が難航したんだよね……。

この人達のペースに飲まれてたら家に帰れなくなる。お二人には悪いけど、話を戻させてもらおう。


「あの、どうして僕だけ残さされたのですか?」

「ああ、話があったのを忘れておった。久しぶりにシリルと話せるのが嬉しくてな」

「まぁ、陛下ったら。でも話の前にお茶の席を設けましょう。立ちっぱなしではシリルが疲れてしまいます」

「ああ、そうだな。お前たち準備を頼む」


陛下が呼びかけると、どこからともなく皇室の使用人の方々が出てきてお茶会の席を作っていく。

いつも思うけど、皇帝の間でお茶会っていいんだろうか。誰も何も言わないけど、ここってお茶会をする場所じゃないよね?

そんなことを考えていると、あっという間に準備が終わった。


「お待たせ致しました。皇帝陛下、皇后陛下、シリル様お席へどうぞ」

「ありがとう」

「ありがとう。準備が早くて助かるわ」

「あ、ありがとうございます」


使用人の方たちに案内され席に着く。テーブルには香りの良い淹れたてのお茶と、サンドイッチなどの軽食、それに一口サイズのスイーツが並べられている。……それも全て僕が好きな物ばかり。


「では、私たちは失礼します。何かありましたらすぐにお呼びください」


そう言うと皇帝の間にいた使用人の方々は全員、外に出て行ってしまう。


「さて、準備も整ったことだ。食べながら話そうか。今後の皇位継承について」


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