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気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ふゆ彦
第三章 吸血鬼も歩けば勇者に当たる

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第72話 魔剣

 グランディアの北、コーネルの郷ではその日カレーの匂いに包まれていた。

 

 ルクスが、業務用スーパーをはしごして買いためたカレールーでドワーフたちがカレー祭りを開催していた。

 本日は、魔結晶で作られた防具と魔剣を引き取りにきたルクスだけだ。

 

 転移石が勿体ないと、ケニーとアリアが遠慮した結果だ。

 確かに、85個あった転移石はいまや66個になった。

 

「どうじゃ、ルクス。この出来栄えは!」

 

 バルガンが胸を張る。

 黒を基調とした防具に、白いロングコートが光る。

 基本的に、商店街文字シャツを着ているルクスにしたらかなりのおしゃれだ。

 

「防具は、パーツ型で取り外し可能じゃ。おぬしが再生したときは、そこだけ外すがよい」

 

「便利!!!」

 

「魔結晶はコートについておる。斬撃は無効化するんじゃ」

 

「ええっ、そんな、チートじゃないですか!!」

 

 バルガンはニヤニヤと笑う。

 

「魔結晶だから出来たモンよ。シュラが欲しがるわけじゃろ?」

 

「確かに……」

 

 カレーの平和な匂いが漂っているが、目の前の品は一級品だ。

 ユーナやネオでさえ、ここまでの品質の防具は持っていない。

 

「あとは、この魔剣ドルトウィンじゃが……簡単にいうと、使用者の経験値で成長するようになっておる」

 

「レベルが関係するってことですか?」

 

「いいや、この剣を使った経験値じゃ」

 

「え、じゃあゼロからってことですか……」

 

 ルクスは、長剣を見た。

 一見、緑色の宝石が目立つだけで、”魔剣”というふうには見えない。

 試しに抜いてみると、強い風を感じた。

 

「風の属性をいれてあるんじゃ。遠距離に斬撃を飛ばしたり、疾風と共に攻撃したりと用途は様々でのう。今は包丁並みの力しかないが、相棒として育ててやってくれ。どんどん強くなるぞ」

 

「魔法みたいですね!」

 

「まあ、風魔法も打てるから、間違いではないのう」

 

「凄い……!!」

 

 魔剣を持っているときは、風魔法使いになれるのだ。

 風の力が加われば、ルクスのやれることが増える。

 

 ユーナやネオにも、驚かれるだろう。

 荷物持ちから進化した力を、見せられるはずだ。

 

 ――この魔剣ドルトウィンを育てさえすれば。

 

「しばらくは、また平原でバーニー狩りかな……」

 

 ひゅんと一振りをして、ルクスは深く頭を下げた。

 

「ご厚意で、こんなにたくさんいただいてしまって……ありがとうございます!」

 

「なに、いいってことよ。おぬしがおらねば我々コーネルの郷のドワーフは全滅してたからな!」

 

 あっけらかんとバルガンたちは笑う。

 他のドワーフは、バルガンのおかわりと、ルクスにもカレーを運んできた。

 

 カレーについているのは、ルクスがこれまた買い占めた地球のナンだ。

 通常のナン、チーズナン、ガーリックナンと買い占めてきたが、男むさいドワーフにはガーリックナンが一番受けた。

 

「そうそう。ケニー先輩が言ってたんですけど、人間が複数入れる建物をたててみたらどうかって。アメリカ側もいきなり断られても、ドワーフの腕と技術は惜しいはずなんですよね。だからたまに様子見してるんじゃないかって。そのためにも見慣れない人間向きの建物がたってれば、声をかけてくるかもしれない。だから、人間の武器や防具をまた作ってみたいと思ったらそうしてみるのもいいんじゃないか、って。俺もそう思います」

 

 ガーリックナンにカレーをたっぷりのせて、がぶりと食べたバルガンがあごひげをしごく。

 ルクスも、スプーンですくったが、あまりのじゃがいもの固さに目を白黒させる。

 

 火が通っていないというレベルではなく、あまりにも固い。

 きっと、この野菜はドワーフ以外には食べられないのだろうなぁとしみじみ思いながら、ルクスはじゃがいもを飲み込んだ。

 

「ふむ……あめりかに作ればおぬしらも買えるか?」

 

「いえ、俺たちはシュラが属する国、日本の出身なので無理ですね。あくまでもアメリカという国がメインですが、他国もアメリカを通して買えるようになるんじゃないかなぁ。日本以外」

 

 日本に流通させては、シュラが買うかもしれない。

 自身のカードや現金が使えないようにされたとしても、部下や会社の人間を使って購入する可能性がある。

 アメリカ側としては、ドワーフの要求が通るのならば日本だけには売らないことは平気でやるだろう。

 

「ふうむ。自分らには得がないことでも、助言してくれるな。おぬしたちは。何故じゃ」

 

「たぶん、シュラを見たあとだと信じられないでしょうけど――日本人は親切なんですよ」

 

 にこりとルクスは笑う。

 印象はそうとう悪いだろう。

 それでも、シュラだけをみて”あれが地球人か”と思われたくない。

 

「いつか、にほんにも武器を出せるといいがのう」

 

「シュラが止まれば、いつかそうなりますよ。今は無理なだけで」

 

 早く、そうなればいい。

 オークションの中に、”作バルガン”などの知人の名前を見かければ、買えなくてもそれはきっと嬉しいことだから。

 

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