表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ふゆ彦
第三章 吸血鬼も歩けば勇者に当たる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/106

第66話 つかの間の平和

「今日もやっとるのー。アダマンタイトサーペントはとれたか?」

 

「なんとか、二体までは……」

 

 コーネルの郷の岩山で、ルクスが汗をふいた。

 アリアが、防寒着を着込みすぎて少し動きにくそうにしている。

 それでも、多くの致命傷を与えているのはアリアだ。

 

「ほっほっほ! 炭鉱では魔鉄鋼を掘っておるし、おぬしらがミスリルとアダマンタイトを集めてくれるから作業ははかどるわい」

 

 バルガンが、笑いながら酒をぐびりとやる。

 仕事中に飲酒とは、地球では許されないが、このドワーフの郷では当たり前のようだ。

 

 コーネルの郷にくるのは、今回で三度目だ。

 地球は四月の中旬になったが、ここはいつ来ても真冬だ。

 

 アリアは高校を卒業し、社会人になった。

 正式に残業ダイスキ部の事務所に入っている。

 

「今日は客人がくる。珍しい酒が手に入るぞ!」

 

「良かったですねえ」

 

 バルガンたちは楽しそうだが、酒と聞いてルクスの興味はがくっと減った。

 アーマードベアと単独で戦うケニーを気にして、反対側の山を見ているとバルガンがしみじみとルクスを見た。

 

「おぬし、見たことがないほど軽装備のままじゃのう。簡単な装備を作ってやろうか?」

 

「それいくらになりますか??」

 

「おぬしは、ほんと金を気にするのう。地球の人間は、金払いは良かったが」

 

「地球側から、オーダーがきていたんです?」

 

 アリアが、ホットココアを飲みながら口を挟む。

 ドワーフの技術はすごい。

 武器から防具から、一流のものを作る。

 

「お嬢ちゃんのその武器も、わしらの作品のひとつじゃな」

 

「兄もそうなんですけど、地球の魔導ショップで買いましたです」

 

「マナ石じゃな。あめりかからも、ようオーダーがきとった」

 

「え? ここに繋がるゲートってアメリカに近いの!? あ、でも、スキルオーブがあるなら俺も英語が話せちゃうのか」

 

 足音がして、汗だくのケニーが現れた。

 

「ぼくらのスキルオーブは異世界語に対応する力だよ……アメリカは異世界じゃないんだからこのスキルあっても、なにも意味ないよ」

 

 ルクスに突っ込んで、ケニーはテントの中にもぐった。

 ドワーフの家では、思い切り手を伸ばしたり汗をふいたりすることが出来ない。

 寒いが、着替えのためにこうしてテントを張っている。

 

「だかな……あの忌々しいシュラの装備もわしらの作ったものでな……地球からのオーダーメイドの仕事は楽しかったし儲かったが、シュラの件で地球からのオーダーは断っとる」

 

「アメリカのオーダーは受けても良かったんじゃ……?」

 

「シュラが言うとった、金はいくらでもある、とな。だったらにほんでもあめりかでもオーダー取っていたら意味はないじゃろ」

 

 常々、あちらもこちらもシュラの被害は酷い。

 地球で、ドワーフの装備が欲しいまっとうな探索者たちも多いだろう。

 アメリカの土地の広さを考えれば、日本のダンジョン探索者よりお金持ちは多そうだ。

 

「アメリカ側には説明したんですか?」

 

「なにをだ?」

 

「シュラのせいで、オーダーメイドをやめてるって」

 

「……それに意味はあるのかのぅ」

 

「勿論、ありますよ」

 

 着替え終わって、アイテムボックスからほかほかのコーンポタージュを出しながらケニーが口を添えた。

 ルクスは、昼食にしようと自分の収納を漁り始める。

 さすがに外で食べたりはしないが、ドワーフの家の中での出し入れは身長的に苦しい。

 

「アメリカと日本は違う国です。いくらシュラが日本の魔導ショップ一位の御曹司の子でも、アメリカでは効力はないでしょう。アメリカ側に、日本人にこうした嫌がらせをうけた、名前はシュラ・マガツだ、と言えば法執行機関がなにかの制裁がくだってシュラがグランディアに入るのを禁止できる可能性もありますよ。グランディアは、どこの地球の国にも属してませんし、植民地ではないですからね。国際法が動くかもしれません」

 

「ほう……おなじ地球の人間だから言っても無駄じゃとおもうてきたが、そうでもないらしいのう」

 

 バルガンが、みごとなあごひげをしごきつつ目を輝かせる。

 

「実をいうと、地球と繋がってからオーダーメイドが増えてな。色んな装備を考えるのが楽しくてのぅ。やりがいがあって楽しかったんじゃ。細かい注文があっての、強ければなんでもええっちゅう奴らが多かったから、実はやりたかったんじゃ」

 

 バルガンの理由は、ルクスのような金のも亡者のような意味ではなかった。   

 その刹那、バシュン! という音をたてて何者かが転移する音がする。

 

 その場にいる全員が、武器をとって警戒態勢になった。

 

 ――シュラじゃないように。

 

 ルクスは、無駄を承知で微かに祈った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ