第23話 理科の理解は難しい
サートたち3人は、今日も明日も明後日も、
魔法を練習して食料を調達する森の生活を楽しく送っていた。
サートたちが森で暮らし魔法の練習を始めて30日が過ぎた頃、
サートは感知魔法で王城から来た勇者一行が防壁魔法の外側に来ていることを
感知していた。
サートの防壁魔法は半径5kmというこの世界ではほぼ禁忌レベルの魔法力で、
この世界の人族では魔法を解くことはできなかった。
勇者一行はサートの魔法には気付かず、
防壁魔法の周囲をずーっと回っていた。
しかもサートは風を使って軽く錯乱の魔法を仕掛けていて、
勇者一行は森の外に出ることが困難になっていた。
サートは、
「この森って食べ物は豊富やから、飢え死にすることはないやろ。
森から出られずに精神が破壊することはあるかもしれんけど。
隊列が崩れそうだったら助けますかね」と考えていた。
ルナとリオナの魔法は、確実にレベルが上がっていた。
やはり聖女と勇者召喚の影響か、この世界の普通の人より上達が早かった。
ルナは雷のような光を出して、10m離れた木に当てることができていた。
リオナは水玉を3つ4つ同時に出せるようになっていた。
そして二人は、毎日の練習では魔力が切れることが無くなった。
ただ時々、魔法の連発などで無茶をして魔力切れで倒れていることもあった。
そんなある日、めずらしくリオナがサートの魔法について聞いてきた。
「サートさん、サートさんの魔法って、何の魔法なんですか?」。
それにルナも、
「それ、私も前から聞きたかったのです」と続いた。
サートは手のひらの上に魔法で小さな竜巻を作った。
そして、「これ、何の魔法で作ったと思う?」と聞いた。
「風の魔法でしょ。サートが魔法を使うと風が吹くんですもの」と、
ルナは答えた。
サートは、
「風を起こすことはできるけど、俺は何かをやって風を起こしてる。
だから風の魔法って答えは間違いかな」と微笑んだ。
「空気の魔法?」と、リオナが答えると、
「正解。俺は空気を魔法で操ることができる」と、サートは答えた。
サートは、
「俺の魔法ってな、この世界の人には理解できないと思う。
まずはリオナにわかるように説明するな。ルナも聞いてわかるといいけど」
と、ルナには申し訳ないと思っていた。
サートは魔法で木を燃やして、
「これは空気をめちゃくちゃ熱くして木に当てたから木が燃えた」。
そしてサートは魔法をかけて、燃えていた木の炎が消えた。
「炎が消えたのは魔法で火の回りの酸素を無くした」と、サートが言うと、
リオナは半分わかって半分わからない、ルナはわからないという表情だった。
サートはリオナに、
「これ、この世界の人に説明できる?」と聞くと、
「私、理科は苦手で、選択科目から外しました」と、リオナはキッパリ答えた。
「理科って男子は好きだけど、女子って苦手な子が多いよねぇ」と、
サートは笑った。
「木が燃えたのは、空気をぎゅーっと圧縮すると火が出るくらい熱くなって、
それを木に当てると木が燃えた」と、サートが説明した。
ルナもリオナも、わかったようなわからないような表情だった。
サートは地面に〇を100個書いて、
「この100個の〇のうち21個の〇が酸素で、
この21個の〇の酸素を魔法で取り除いた」と、炎が消えた説明をした。
ルナもリオナも、わかったようなわからないような表情だった。
「説明するのって難しいよねぇ」と、サートは説明をあきらめた。
「まぁ俺の魔法は空気を操る。空気を鋭くすればモノを切ることもできる」と、
サートは前にある木の枝を切り落とした。
「ルナの雷もリオナの水も、
練習を頑張ればすぐにこれくらいはできると思うで」と、
サートはルナとリオナを励ました。




