第24話 無詠唱魔法の意味
「ルナの雷もリオナの水も、
練習を頑張ればすぐにこれくらいはできると思うで」と、
サートはルナとリオナを励ました。
「それとルナ、魔法って詠唱するよね? 今のルナは無詠唱って気付いる?」
と、サートは微笑んだ。
ルナはハッとして、
「えっ、これはどういうことかしら?」と、驚いていた。
そしてサートが説明を始めた。
「魔法の詠唱って、魔法が使える人だったら簡単にできる便利なものやねん。
魔力さえあれば詠唱することで強い魔法も簡単にできてしまう。
だからこの世界の人は魔法を詠唱する。
それは悪くないけど強くはならないんよねー。
たとえば、詠唱して上級魔法の洪水を起こす。でもリオナが強くなると、
下級の水玉でその洪水を消すことができる。
逆にリオナが上級魔法の洪水を出すと誰にも止められないんよ。
詠唱した魔法の力より無詠唱で鍛えた魔法の方がはるかに強くなる。
じゃあ詠唱した魔法で初級魔法を強くしたらどうなるかっていうと、
それは無詠唱と同じで魔法のイメージができているから、
詠唱するだけムダやねん。
詠唱で上級魔法が使えるようになったら自分が強くなったと勘違いするから、
この世界で、詠唱して初級魔法を強くしてる人は見たこと無いなぁ。
王城で魔法使いに上級の精神魔法かけられたけど、俺、ただの風で防いでたし。
いつか会う勇者が魔法使う時に「〇〇の炎」とか叫んだら、
俺、爆笑して死んでしまうかも。
まぁルナとリオナにはこれからも頑張って無詠唱で魔法をやってもらうね。
たぶん今の二人は、中級の魔法使いより魔力が多くなってるよ。がんばって」
と、サートはルナとリオナを励ました。
リオナが、
「私、強くなるんですか?ムキムキの身体はイヤです」と、困った顔をした。
「強いイコール“ムキムキ”って、その発想は無かったわぁ。
大丈夫、魔法を鍛えても“ムキムキ”は無いから。
でもこのサバイバルで“ムキムキ”はあるかも」と、サートは笑った。
「無詠唱の意味がわかりました。
実はお母様から魔法を教わっていた時、無詠唱でした。
でも魔法師団での訓練は詠唱でした。
お母様は強い魔法を教えようとしていたのですね。
やはりお母様はすごい聖女なのですね」と、ルナは目に涙を浮かべていた。
それを聞いたサートは、
王妃のランクを“おばさん”から“おばさま”に格上げした。
「あの“おばさま”やるなぁ。あなどれねぇなぁ」と、サートはつぶやいた。
「ルナ、魔法の練習をしましょ」とリオナはルナを誘った。
「ええ、そうね」とルナは笑って、リオナと魔法の練習を始めた。
月日はあっという間に流れて、
サートたちが森で暮らし魔法の練習を始めて8カ月が過ぎていた。




