第21話 魔法初心者の練習
サートは、「じゃあ、魔法の練習をはじめようか」と手をたたいた。
リオナは手のひらの上に水玉を出す練習を繰り返して、
昨日から水玉を安定して出すことができた。
しかしリオナは体内の魔力が少ないせいか、
すぐに息切れをして集中が続かない。
そのたびにサートは治癒魔法でリオナの体力を回復していた。
水玉が出せるようになったリオナは、魔法が楽しくてしょうがなかった。
サートの気付きが遅れると、リオナは魔力がなくなって倒れていた。
ルナは、手のひらの上に光の玉を出すことはできていたが、
治癒魔法ができないことに悩んでいた。
「この光の玉は何なのでしょうか? お母様と同じなのに治癒ができない。
この光はお母様と違うのでしょうか」と、ルナは少し落ち込んでいた。
ルナの光の玉が以前より強く光っていることに気付いたサートは、
魔法で雲のような水蒸気の塊を2つ作った。
そしてサートが、
「ルナ、その光の玉をこの雲に入れてみて」と言うと、
ルナは光の玉を片方の雲に近づけた。
するとその瞬間、「パーン」と大きな音が鳴ると同時に雲は無くなった。
「きゃっ」と、ルナは驚いてしりもちをついていた。
サートは、
「これがルナの魔法やけど、わかった?」と笑った。
ルナは、
「笑ってないで起こしてくださらないかしら」と、ちょっと不機嫌な顔をした。
サートはルナの手を引いて起こした。
「今、ルナがやった魔法は雷。片方の雲に入ったルナの雷が隣の雲に飛んで、
音が鳴って雲が消えた」と、サートはルナに教えた。
ルナは嬉しそうな表情をしていた。
「たぶんこの世界でも珍しい魔法なんじゃない。やっぱ聖女って、
特別なモン持ってるんやね」と、サートは微笑んだ。
リオナは、音にビックリして固まっていた。
「リオナ、大丈夫?」と、サートが聞くと、
「はい、大丈夫です。でもビックリしました。」と、リオナは笑った。
「サート、私とリオナで対応が違ってませんか?」と、
ルナが不機嫌そうな顔をした。
サートは、
「これは大変失礼を致しました王女様。お怪我はありませんか?」と、
深々とお辞儀をした。
ルナは、「しらじらしいわね」と笑い、
「私の魔法・・・、初めて見ました。これはお母様には無い魔法ですね。
これは聖女として使えるのかしら?」と、
魔法ができた嬉しさと不安な思いが混じった表情を見せた。
サートは、
「魔法は鍛え方と使い方でなんでもできるから、
ルナのやりたい魔法を練習すれば、聖女としてやれることはあるはず。」
と笑った。
それからルナとリオナは、夢中で魔法の練習をしていた。
サートも中二病の症状が抑えられず、さらに魔法を探求していた。
サートたちが森で暮らし魔法の練習を始めて10日が過ぎた。
ルナとリオナは、さすがに魔法の練習に飽きてきただろうと思っていたが、
まだノリノリで魔法の練習をしている。
というか、
ルナもリオナもそれぞれ光と水の玉を大きく長い時間出すことができて、
確実に体内の魔力が増していることがわかった。
「そろそろ魔法の練習も次の段階に進むかな」と、
サートはルナとリオナを呼んだ。
サートはルナとリオナに、
「それぞれの光と水の玉を細くして先を鋭く尖らせてみて」と言って、
サートが右手を前に出して、空気で弾丸のような形が浮かび上がり、
「パン」という音が出ると、目の前の太い木に直径1cmの穴が開いた。
「これができるように練習してみようか」と、サートが言うと、
ルナとリオナは早速魔法を試したけど当然できなかった。
サートは、
「まずは手のひらの上で作った玉を斜め上に放つ。
次に手のひらの上で作った玉を細く鋭い形を作って消す。
それを繰り返すと、細く鋭い弾丸が撃てるようになるって感じかな」と、
アドバイスをした。
森の中に入ってからの生活は、
朝ごはんを食べて片付けが済むと、まず魔法の練習。
太陽が真上になったところで昼ごはんを食べて、昼から食材探し。
木の実や山菜と採ったり魚や動物を獲ったり食材を確保して、
その日の食べる分を下ごしらえ。
夕方まで余った時間で魔法の練習して、夕方、晩ごはんを食べて就寝。
この単純な毎日だったが意外と面白く、
ルナとリオナは飽きることなく魔法の練習を続けていた。




