第20話 魔法の強さと聖女の役割
奇跡的に病気が治ったサートは、普通の生活を送っていたのだが、
退院から半年後、
今回の王城の広間での召喚でこの世界に来たことを話した。
「150年前の王族の精神破壊事件の犯人が、魔族でなくサートだったの」
と、ルナが驚いていた。
「えっ、なんかこれも聞きたくないような」と、
サートは両手で耳をふさいだ。
「150年前の書物には、突然、魔族が人族に襲撃してきた。
その襲撃に応戦した王族は、魔族により精神が破壊された。
魔族に襲われた町や村が150年前の勇者に救われた。
その勇者の力で魔族は襲撃を止めて平和がやってきた」と、
ルナは書物の内容を語った。
「何、そのウソッぱちな物語」と、サートは笑い、
「人族の方から争いを始めたのに魔族のせいって。
やっぱり人族が残した書物やね」
と、サートは呆れた顔をした。
リオナは、
「サートさん、神様に会ってるんですね」と驚いていた。
サートは、
「リオナはそっちに興味が。あれ神様なのか? あの“ダ女神”ことやから、
俺の記憶を消さなアカンのに、神に会った記憶を消し忘れてるんじゃない」
と笑った。
続けて、
「このことは、誰にも言わないでね。ルナもですよ」と、サートが言うと、
「言わないわよ、っていうか言えないわよ。そんなこと誰も信じられませんよ」
と、ルナは硬い表情を見せていた。
「サートがおかしなくらい強い魔法とか変わった魔法が使えるって、
前にこの世界に来たからなの?」と、ルナが聞いた。
サートは、
「それは分からない。転生した時に特別な力が付いたのか、
転生して魔法ばっかり練習していたからなのか、その両方が効いているのか。
それを確かめるためにも、ルナとリオナに魔法が使えるように教えたい」
と笑った。
「私にも魔法が使えるようになるかな」と、
リオナは少しやる気を見せた。
ルナも、
「聖女としてお母様を安心させたい」と言った。
それにサートが、
「ルナ、その聖女ってなに?」と聞いた。
ルナは、
「王国で、王族の女性にだけ与えられる力で、魔物から人々を守る聖なる力、
ケガや病を治す治癒魔法が使える力、王国の発展に人々を正しき道に進める力、
王族の誤った行為を正す力、悪の力に対抗する力、人々から敬られる力、
これらの力を持って行使できる女性のことを聖女って言うわ」と、
サートに教えた。
続けて、
「お母様は聖女として、王妃を務めているの。
私はその娘でお母様を支えて、将来はお母様と同じ聖女として、
王妃を務めなければならない。なのに私は力不足で・・・」と、
ルナは下を向いた。
「その聖女って、昔はいなかったよな?」と、サートが聞いた。
「100年くらい前に聖女が生まれたと聞いたことがあります」と、
ルナが答えた。
サートは、
「あの“ダ女神”がこの世界になんかしたのか?」と考えたが、
「あの“ダ女神”かぁ、考えるだけムダかぁ」と、考えるのをやめた。
「街の人を見ていたら、ルナは十分に聖女だと思うけどなぁ」と、
サートは微笑んだ。
リオナも、「うん、うん、」と、うなずいて微笑んだ。
サートは、
「じゃあ、魔法の練習をはじめようか」と、手をたたいた。




