第18話 結果うさんくさい勇者
そして現在、
サートは、セレグから“明嵐沙愛斗”に戻ったところまでを話し終えた。
リオナは半信半疑といった表情でいた。
話を聞き終えたルナは、
「まさか…、まさか…、300年前の昔話に出てくる逃亡勇者!?
魔族の王と戦う前に逃亡したとされる勇者がサートなのですか・・・」と、
驚いていた。
サートが、
「逃亡勇者ってなに? なんか聞きたくないような」と、苦笑いした。
「わが国に残る書物に、300年前の魔族との争いに、
村から出てきた青年が勇者となって、町や村を魔族から救って、
魔族の王との戦いを前に逃げ出したとされる勇者ですわ」と、ルナが語った。
「いやぁ、一応3日は戦って、戦う前に逃亡はしてないんだけど・・・、
その書物には、勇者が逃げた後のこととか書いてたりするん?」と、
サートは聞いた。
ルナは、
「勇者逃亡の後、人族は一気に魔族に襲われた。そして国王は討ち取られた。
しかし犠牲者は少なかった。しかも勇者が育った村は被害が全く無かった。
それから人族と魔族の争いは無くなった」と、
書物に書いてあることをサートに教えた。
「そっかぁ、あの魔族の王さん、そんな方法で争いを終わらしたんかぁ。
なかなかやるなぁ」と、サートは笑った。
「サート、笑い事じゃありませんわよ。その書物には、
勇者セレグ・ナムハラートは公開張付けによる斬首刑に処すと書いているのよ。
あなたがセレグだとバレると処刑されるのですよ」と、
ルナは困った表情で言った。
「やれるモンならやってみぃ…ってな。王女さん、俺をここで処刑する?」
と、サートは笑ってルナに少し攻め寄った。
「私には判断できませんわ。
サートは強くて処刑なんてできそうにありませんし、
サートの話も本当かわかりませんし」と、
ルナはこの話から逃げようとしていた。
リオナが、
「なんかよくできた話ですね。サートさんの経験した昔話が、
書物に書いていることと一致するなんて。なんか信じられない」と、
戸惑っていた。
「それって簡単に言うと、“うさんくさい”ってこと」と、サートは苦笑いして、
「うん、それです」と、リオナは笑った。
ルナも、
「ホント“うさんくさい”が一番落ち着きますわね」と、笑っていた。
「サート、今のところ、あなたは私に害は及ぼさないと思っているわ。
でもこの先、私に害を及ぼすかもしれないと疑いは持ち続けますわよ」と、
急にルナがまじめに言った。
「何?急に。ルナ・・・、そんなこと、いきなり信頼される方が怖いって。
ずーーっと疑ってくれててええよ。その方がルナらしいかも」と、
サートは笑った。
「私は何を信じれば・・・、疑うこともできないし・・・」と、
リオナの戸惑いにサートは、
「この俺を信じれば。“うさんくさい”かもやけど」と、サートが笑った。
「とりあえず。はい」とリオナも笑った。
ルナが、
「そういえばサート、あなたこの世界に2回来たと言っていましたよね。
先ほどの話は1回目ってことかしら」と、思い出したように言った。
「うん、さっきの話は1回目の話。2回目は・・・」と、
サートはまた話し始めた。




