第17話 1回目の転生人生
森の中での暮らしに3日が経った朝、ルナが、
「サート、あなたは何者なのですか?」と、サートに聞いてきた。
サートは、過去の自分に起きたことをルナとリオナに話し始めた。
話は現代の日本で、今回のサートが召喚された日より約1年前のこと。
サートこと“明嵐 沙愛斗”は、とある工場で仕事をしていた。
そしてその仕事中にサートは脳梗塞により意識を失い、
病院に運ばれて入院した。
サートは気が付くと、なぜか赤ん坊に転生していた。
そして転生した世界が、今回転移してきたこの世界と同じだった。
赤ん坊に転生したサートは、セレグ・ナムハラートとして、
両親に大事に育てられた。
そんな大事に育てられたセレグは、赤ん坊の頃より変わり者だった。
それもそのはず、
赤ん坊なのに中身が49歳の中二病に感染したオッサンだった。
魔法が使える世界に中二病に感染したオッサンが来れば、
とにかく魔法を極めようとするのは自然の道理だった。
サートことセレグは、幼いころからとにかく魔法を勉強し、
練習に明け暮れていた。
そして年月が経ち、
赤ん坊に転生したセレグは、気が付けば16歳になっていた。
16歳のセレグは、誰よりも魔法が強かった。
ただその頃は、村で一番魔法が強いというだけで、
王国で一番強いとは誰も思っていなかった。
そしてその頃から、なぜか人族と魔族の争いが始まった。
セレグのいた村も魔族の襲撃に遭っていた。
しかし、セレグのいた村では、犠牲者は出なかった。
それはセレグの防御の魔法により、
村の損害が他の町よりも少なかったおかげだった。
それを知った当時の王国の王様は、セレグを王城に呼び、
王様はセレグに魔族を壊滅するように依頼した。
セレグは勇者として、魔族を壊滅するための旅に出た。
旅の途中、セレグは自分の生まれ育った村に立ち寄り、
もうこの村に帰れないかもしれないと、
これまでにないほどの強力な防御の魔法を村全体にかけた。
そしてセレグは、
魔族に襲われる町や村の人を助けながら、魔族の国に入った。
旅を始めて2年後、魔族の王と対面する。
セレグは魔族の王に、人族を襲うのは止めてくれないかとお願いをした。
しかし魔族の王は、
「先に争いを始めたのは人族だ」と、それを聞かなかった。
そしてセレグと魔族の王の戦闘が始まった。
戦闘開始から3日目のこと、魔族の王はセレグが転生者であることに気付いた。
魔族の王は、
「なぜ転生者がこの世界の人族を守る?」と問いに、
「自分を育ててくれた親や村の人を守りたいだけ」と、セレグは答えた。
魔族の王は、
「貴様はこの世界に居てはならない」と、強い魔法をかけた。
セレグの目の前が青白く眩しく光って気が付くと、
辺り一面が真っ白な世界が広がっていて、目の前に一人の綺麗な女性が現れた。
セレグの前に現れた女性が、
「私はこの世界を司る神である。
あなたは偶然に神の間違いに巻き込まれた人間。すぐに元の世界に戻るのです」
と言い、セレグの目の前が青白く眩しく光った。
セレグの目が覚めると、元の“明嵐 沙愛斗”のサートに戻っていて、
病院のベッドで横になっていた。
意識は戻ったが脳梗塞の影響で、起き上がることはできなかった。
そして現在、
サートは、セレグから“明嵐 沙愛斗”のサートに戻ったところまでを話した。




