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第15話 初めての魔法

国王と王妃が見守る中、勇者一行はワールドエンドの森に向けて出発した。



話は、旅を続けるサートたちの、王城の広間での騒動から次の日のこと。


街を出て2日目、サートは魔法を使わず、多めに休憩を取りながら歩いていた。

王女ルナも女子学生リオナも、文句を言うことなく淡々と歩いて行く。


正直、サートの方が遅れそうで心が折れそうになって、

自分だけこっそり魔法でラクをしようか考えていた。


サートは、

「ルナって、なんか俺のこと疑ってるよなぁ」と、

ルナのサートを見る目に怖気づいていた。



2日目の夕方、街道から少し外れた森の中で、サートたちはテントを張った。


食事を終えて片付けが終わったところでルナが、

「サート、あなたは一体何者ですか? 

この世界ではありえないほど強いのですが、

この世界を滅ぼすおつもりですか?」と、率直に聞いた。


サートは、

「俺はリオナと同じで、ここと違う世界から召喚された。

ただ、たぶん召喚された時にリオナとは違うところを通ったんやと思う」。


「違うところを通る? リオナは何かご存じなの?」と、ルナが聞く。


「私は全然わからない」と、リオナは昨夜のように泣きそうになっていた。


ルナは、

「リオナ、ごめんなさい。泣かせるつもりはなかったの。

サート、あなたのせいでリオナがまた泣いちゃうじゃない」。


「えぇ、最初に聞いてきたの王女さまじゃーん。リオナごめんね。

とりあえずこの話は、また今度にしよ」と、サートは言葉を濁した。


続けてサートが、

「それよりも、ルナ、リオナ、魔法で強くなりたいと思わない?

さっきルナが俺のことを、この世界ではありえないほど強いって言ってたけど、

たぶんルナもリオナも俺より強くなると思うで」と、笑って言った。


「サートよりも強く? 私は魔法が・・・」と、ルナはなぜか落ち込んだ。


「私が魔法? 想像できない・・・」と、リオナは困惑していた。


サートは、

「ルナ、ちょっと手のひらに魔法をイメージしてみて」と言うと、

ルナは目を閉じて右手の広げると、手のひらの上で小さく光る物が出た。


リオナはルナの手を見て驚いている。


「うん、たぶんわかった。明日からちょっとずつ練習しよか」と、

サートが言うとルナは、

「何がわかったの? あれくらいはできるわよ」と、少し怒っていた。


サートは、

「ルナ、またその内に言いますよ。 そしてリオナ、

リオナも手のひらの上で魔法をイメージして…って言ってもわからんよねぇ」

と笑った。


続けて、

「リオナ、目を閉じて、これから俺が言うことを、

手のひらの上にあると想像してみて」と、サートが優しく言った。


リオナは目を閉じて手のひらを上にして右手を広げた。


「火が手のひらの中心から出てくるようなイメージしてみて」と、

サートが言うと、リオナの手のひらの上が少し光った。


「リオナ、今度は手のひらの中心から水が出るイメージをしてみて」と、

サートが言うと、

リオナの手のひらの上に小さな水玉が出てきた。


サートが、

「リオナ、目を開けて手のひらを見てみ」と言う。


リオナは自分の右手を見て、水玉があることに驚き、

右手を引いて水玉が消えた。


ルナは笑っていたが、リオナは驚いて固まっていた。


「リオナ、これがこの世界の魔法やで。面白いやろ」と、サートも笑った。


ルナが、

「リオナ、初めての魔法だったの? 初めてで水玉が出せるなんてすごいわ」。


「もう今日は遅いから、また明日にしよう。今日はもう寝よ」と、

サートが言っても、リオナはまだ驚きで固まっていた。


サートが、

「さぁ、もう寝よ」と言って、

ルナとリオナはテントに入って行った。


サートもテントに入り、明日から旅を続けるか、

魔法を鍛えるか悩みながら寝ていた。




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