第13話 勇者召喚
次の日の朝、王城では騒動のあった広間に、
国王と宰相、勇者召喚を提案した貴族、
魔法師団長アリメガクと魔法師団10名が集まっていた。
魔法師団6名と魔法師団長アリメガクが円陣を組み、
杖を前に出して呪文を唱えると、
円陣の中心で地面とその上部に魔法陣の模様が出てきた。
その魔法陣の間が青白く眩しく照らされると、
魔法師団の円陣の中心に1人の20歳くらいの若い男が立っていた。
そしてすぐさま魔法師団の残り4名は、
召喚された若い男に抵抗されないように精神魔法を唱えていた。
召喚された若い男は、周りを見渡して驚いた表情をしていたが、
「これって俺、召喚された-っ!マジかぁ。キターこれ、俺って無敵じゃね」
と、浮かれてはしゃいでいた。
「俺の名は、石暮 朱汰亜だ」と、若い男は名乗った。
国王が、
「私はセジャクカリー・ナゼルジェフ、この国の王である。
イシクレよ、よくぞ呼びかけに答えてくれた」。
若い男が、
「王様よ、俺の名は朱汰亜だから、スターと呼んでくれ」と、
自分に親指を指して自慢げに言った。
国王は、
「名はイシクレではないのか? スターと呼べばよいのか」。
「そういえば、あの王女を連れ去った不届き者も、
名と家名を逆に言っていたような」と、宰相がつぶやいた。
そして国王は、
「わかったスターよ。今から言う私の話を聞いてほしい。
今、我が国では魔族からの侵略を受けていて、多くの犠牲者が出ているのだが、
スターには魔族を滅ぼしてほしいのだ。それとわが娘の王女ルナエテルが、
不届き者に連れ去られてしまい、その不届き者の処分と王女の救出を
スターにお願いしたいのだ」。
「この勇者スター様に任せるがいい。王女を助けて魔族をぶっ潰してやる」と、
スターは息巻いていた。
国王は、
「よくぞ言ってくれた」と喜んだ。
この時のスターの言動が、魔法師団の精神魔法による影響か、
スターが元々持っている中二病の影響かは、判断できる者はいなかった。
「この世界には魔法はあるのか?」と、スターが聞いた。
「私は魔法師団長のアリメガク・ルーザーロイル。
私が数日、スター様に魔法をお教えしましょう」と、
アリメガクが答えた。
「おぉ、魔法ができるのか。益々オレ、最強になるんじゃね」と、
スターは笑った。
その日からスターはアリメガクの指導の下で魔法を覚えていった。
スターは勇者召喚の影響なのか魔法を多く使っても魔力が切れにくく、
強い魔法ばかりを習得していき、数日で火炎系の上級魔法や
中級の支援魔法や治癒魔法が使えるようになっていた。
この修行方法では強い魔法使いになれないことに、
スターとアリメガクは気付いていなかった。
スターが召喚されて20日が過ぎた頃、
先遣隊で出撃したフェランドクたち騎士隊が王城に戻ってきた。




