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21.『1歩、前進!』

読む自己で。

 麗を家へと誘った私は完全完璧甘えムードだった。

 自由にされたからとかではなく、今日はお母さんが帰ってこないからだ。

 だから彼女に帰られると困ってしまう。というわけで、


「麗ちゃん、風邪引いちゃうから一緒にお風呂入ろー」

「まあ効率的よね」


 お風呂にも誘って潔く全裸になって、適当に洗って湯船につかる。


「んーでも麗ちゃんはあんまり長風呂じゃないほうがいいよね、体調悪いんだし」

「って、まだつかり始めたばかりじゃない」

「ていうかさ、このお胸、ずるい!」

「ひゃっ、さ、触るんじゃねえわよ!」


 あと肌も白くて羨ましいくらいだ。服の内側すら綺麗なんてほんとに不公平でやっていられないね、まじで。


「あとで麗子に連絡しておくね、寂しかったから誘ったのって。麗ちゃんが言うよりかは角が立たない気がするからさ」

「ありがと。サイクルセンターの時もあんたに世話になったわけだし、あんたがいてくれて本当に良かったわ」

「えへへ、恥ずかしいなあ」


 キスをするよりも全裸で話し合うほうが落ち着かない、と。私は今日いろいろなことを学べて満足だ。

 彼女は私の顔が蕩けているからということでタオルをかけたみたいだけど、正直に言って麗のほうがよほどそうだった。

 それを直視してしまったから顔が真っ赤だった、ということになる。ま、その顔が赤かったというのは麗から聞いたんだけど。

 それに、一生懸命に真っ直ぐに私を求めてくれた。その事実だけで気分が明るくなる。


「麗さ、麗子とは何回したの?」

「1回もしていないわよ。あたし達は仲いいけど、そんなことを気軽にするわけないじゃない。ましてや実の姉妹なんだから」

「気軽にするわけない、か」

「……あんた本当に気をつけた方がいいわよ、誰にでも優しくしていると誰からだって奪われるからね。実際、麗子からだってされたわけなんでしょう?」


 ふたりからキスされたということがすごい話だ。


「綺麗な子に奪われて嬉しいけどね」

「ふぅん、あんた少し変わったわね」

「そうかも、だってすぐに抱きつきたくなったしね」


 前だったらこうして一緒にお風呂へ入るだけでドキドキしただろう。あと、無駄に考えて勝手に傷ついて自爆して、ほんとにどうしようもない感じだった。でもいまは違う。

 この進化が全て最適だとは言えないけれど、彼女たちと堂々と接することができる気がするからだ。


「実は、さ、麗に何回もされたとき、もっとしてほしいなって思っちゃった。だけどクラスの子が帰ってきちゃって、できなくなって――だからね? みんなが帰ってきてからされたあの1回は正直やばかった。……だってさ、みんなが近くにいる状態でキスなんて、ね? 変な気分になりかけたからね」


 なにを告白しているのかわからないけど、こんなことを言うよりかは普通に好きだと告白したほうが楽な気がする。


「ふぅ、とりあえずもうでるわ」

「あ、うん! 私もでるー」


 ちゃんと拭いてあげないと体調が悪化しても嫌だし、銀髪を丁寧に拭いていく。


「初音が風邪引くじゃない」

「大丈夫だって、麗ちゃんのを拭きたい」

「……はぁ」


 多分30分くらいかけて拭いて、私のはただただ適当に済まして。


「あ、麗ちゃんの服はどうしようか?」

「あんたのでいいわよ、短いだろうけど多分着られるわ」


 で、彼女が着用。


「な、なんかパツパツだね」

「そうね、少し胸元が苦しいわ」

「くっ、す、すまないっ」

「いいわよ」


 リビングにいても仕方ないため彼女を部屋へ移送。


「さて、これからどうしよっか」

「ベッドに転んでいいかしら?」

「うん、どぞどぞ」


 同じようにベッドに転んで、彼女のおなかの上に頭を乗っける。

「重いわよ」と言ってきた彼女の手を握って、指を絡ませて。


「許して?」

「……まあいいわ」

「ありがとっ」


 これは麗が変化していると言うよりも、体調が悪いから抵抗するのも面倒くさいだけなんだろうけど、全然構わない。彼女の側にいられれば、途中で帰られるような自体にならなければそれだけで十分だ。


「初音」

「うん?」

「あんたといたい」

「一緒にいるよー」

「今度は絶対に抜け出すとかやめなさい」

「うん、むしろ麗ちゃんこそ帰るとかやめてね」


 裏返って彼女のおなかに顔を埋める。……さり気なく右回転をしてお胸に顔を埋めて至高な感触を味わった。


「やめなさい……」

「あれ、勢いがないよ?」

「今日は下着……」

「あ、そっか」


 とはいえ私のを貸せるわけでもないし我慢してもらうしかない。


「うーん、そう考えるといけないことをしているみたいだね」

「あたしはただ寝ているだけよ」


 さすがにもう自分のことを好きじゃないかもしれないという不安はなかった。

 あれだけしてきたんだ、好きじゃないのにしているとしたらとんでもない性欲モンスターということになってしまう。もっとも、麗がそういう子だとは思ってもいないし、実際に違うので安心してはいたが。

 ただ、このままの流れで告白するのは違う気がする。これは単純に自分の臆病さが全面的に出たという形だった。

 それにどうせなら麗のほうから告白してほしい。自分から告白するのもひとつの形だけど。


「麗、私への気持ちを聞かせてほしい」

「今日はやけに積極的じゃない」

「うん、今日ので自信がついたんだ」

「そうね、そろそろ最新の気持ちを伝える頃合いかしら」


 前にも言ったように麗から振られたらじゃあ麗子に、なんてならないよう、こちらでやめるつもりだ。そういう点はきっちりと麗子にも話しておいたし、そのことに関するトラブルは一切起きない。

 だからあとは彼女から吐き出されるであろう言葉に集中するだけでいいのだ。やっぱり無駄なことなんてひとつもない、未来のいつかに効果を発揮するとわからせてくれるような件だった。


「ま、答えは言わなくてもわかるでしょ」

「ちゃんと言って」

「……あたしは、11月の頃からずっとあんたのことが好きだったわよ」

「えぇ、うっそだー」

「……何回も興味ないって言っていたのは、あんたの自己評価が低かったからよ。あたしが『好きだ』って言ったところで、信じられなかったでしょ?」

「うん、それはまあね」


 焦れったくて焦れったくて、月日だけが経ってどうしようもなくて。

 そんなときにお泊りイベントなんてものが開催され、我慢できなくなって初めて私のを奪ってしまったということか。

 約4ヶ月一緒にいてほぼ進展しなかったら、私だってしてしまうかもしれない。現実を知らなかった、ただ女の子を好きでいられて真っ直ぐでいられた私だったら確実にそうしていただろうな。


「ふぅん、麗子じゃなくていいんだ?」

「何度も言わせないで、麗子はあくまで実の妹ってだけよ」

「でも、私でいいの? 自分で言うのもなんだけど、面倒くさい性格していると思うよ? 麗が他の女の子と話していたら嫉妬するよ? 腕をつねって怒るよ? どこでも手を握ったり、抱きしめたりするよ? もしかしたらキスだって求めるかもしれない。麗はそれでも耐えられるの?」

「あーもう面倒くさいのが丸わかりじゃない。いちいち聞くのは無粋というものなのよ。あたしはあんたのことを好きだと言ったの、そういうところも含めてに決まっているじゃない。大体、あたしが逆に求めるわよそういうことを。あんたがダメだと言っても何度もね」


 ほんとにそうだろうか? 麗子や梨帆、千尋とばかりといそうだけど。

 魅力的な女の子とばかりいたら私といる意味が薄れてきて浮気されてしまうかもしれない。それだけは他がどうなっても避けたいところだ。


「ちゃんと説明しなくちゃね」

「待ちなさい、さらっと流すんじゃないわよ」

「そうだね。んーっと! 私も麗ちゃんのことが好きだよ」

「よし、ありがと。で、そろそろ寝ていいかしら? 少し調子が悪くて」

「うん、おやすみ」


 寝付きが良くなったらいいなと考えて彼女の頭を撫で始めた。

 彼女も心地いい状態でいてくれているのか、穏やかな笑みを浮かべつつゆっくりと呼吸をしている。

 それから10分くらい経った頃だろうか、彼女が寝始めたのがわかった。

 撫でるのをやめて横に寝転び目を閉じる。そして私もかすかな眠気に身を任せたのだった。




 早い時間に寝たので中途半端な時間に起きてしまった。

 麗ちゃんは、うん、まだ寝ている。

 体調が悪いと言っていたし起こさずに部屋から出た。

 リビングのソファに陣取って非常識とは思いつつも麗子に連絡。さすがに彼女にはすぐに伝えたかったのだ。


『言ってくれてありがと』

『ううん! 麗子こそ……ありがとね』

『そういえば姉の体調はどうなの?』

『あ、わかってたんだ? うーん、いまは寝ているから大丈夫だと思うけど……』

『あなたがいてあげてちょうだい、そうすればすぐに良くなるわ』

『だといいけどね。とにかく、ありがとね! おやすみ!』


 梨帆ちゃんや千尋には朝になってからでもいいだろう。私はスマホを持ったままソファに寝転ぶ。


「こら……だから勝手にどこかに行くんじゃないわよ」

「あ、ごめん! 変な時間に目が覚めちゃってさ、いま麗子に説明しておいたよ」

「そう……」


 きちんと座り直したら彼女が横に腰掛け、こちらに体重を預けてきた。


「体調悪いの?」

「夕方ほどではないけど微妙なのは確かね。あんたは?」

「私は大丈夫だよ~」

「なら良かったわ」


 彼女をそのまま抱きしめて「良かった」とこちらも返しておく。

 でも、自転車に誘ったのは失敗だったな。自分のしたいことを優先してしまったのは後悔している。彼女を泣かせてしまったし、なにかしてあげれればいいんだけど。


「麗、してほしいことってない? ほら、泣かせちゃったからさ」

「あんたが側にいてくれればいいわ。それにあんた今日は叶えてくれたじゃない」

「そっか。私が受け入れたことで『叶った』とか言ってもらえるなら嬉しいなあ」


 あれだけ冗談だったとはいえ「興味ない」と口にしていた人から吐き出された言葉だとは思えない。だからこそより嬉しいし、私にとっても願いが叶ったということになるので、こういうところをハッキリと言っていきたい。


「私も願いが叶ったよ! 綺麗で、お胸が大きくて、スラッとしてて、優しくて、温かくて、暖かくて、素敵な女の子の彼女になれて嬉しい!」

「あんたの好きなところは……んー? え、ないわね」

「えぇ!?」

「冗談よ。そうね、優しいところかしら。あとは、抱きしめたりすると嬉しそうにしてくれるところかしらね」


 麗にだったら誰でも優しくするだろうし、抱きしめられたら誰だって喜びそうなものだけど――違うよね! 私を好いてくれているんだから満足するべきなんだ。

 理由がまだ弱いなら一緒に過ごしていいところを発見してもらえばいいじゃないか。幸い、それができる状況になっているのだから悲観する必要は一切ない。


「麗子、どうだった?」

「うーん、メッセージの雰囲気的には普通だったけど」


 もし私がいきなり「~と付き合い始めた」なんて言われたらショックで寝込む自信がある。今回で言えば例えば麗が梨帆ちゃんか千尋と付き合い始めたらそれはもう複雑で仕方がなかっただろう。麗子と付き合い始めたら、それは案外すんなり納得できそうだ。


「ま、朝に帰ったら説明しておくわ」

「うん、よろしくね」


 兎にも角にも、これで私たちの関係は1歩前進したわけなんだけど、付き合い始めたらできることってなんだろうか。

 いっぱいいっぱい、考えてみよう。

だからさ、抱きしめとかを付き合う前にやらすと駄目って分かっているのに、毎回しちゃうんだよなあ。

それでも9万文字これたし、あとは他の子の視点書いて埋めるだけかな。

というか、梨帆をこっちに引っ越させた意味なくなっちゃったよ。

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