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【完結】夢見た世界でガレットを  作者: Pe.com
第三節 贖罪

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第15話 彼の記した日記帳

 「戻りましたか。ずいぶんと長く……って、なんで覚くんはそんなベチョベチョで、シャルロットさんはそんな焦ってるんですか」


 クライムの家まで戻ると、クライムはそこで優雅にお茶を楽しんでいた。


「何があったかは後で話すわ!二人とも、早くこの日記帳読んで!」


 私が開いた日記帳を、二人は覗き込むように見つめた。



『ここはどこだろうか。見たことのない風景、嗅いだことのない匂い、初めて触れた感触。すべてが新鮮で不思議な世界。なぜ私はこんなところにいる。さっきまで確か……なぜだ、絶妙に思い出せない。……ただ、ひとつわかる。ここも、現実とは変わらない、絶望に満ちた戦場のような場所なのだろう。


 偶然にも足元に落ちていたこの日記帳に今日からの旅路を記していこうと思う。なんだか、私はこの世界からすらも仲間はずれにされている、そんな気がしてならないから。せめて、私の生きた証拠を、この一冊に記していこうと思う。


─────


 今日が何月で何日かもわからないが、この世界はずっと暗闇に覆われている。朝はやってこないのだろうか。この闇に包まれた風景が、月が照らした粉雪によって美しく照り映えている。孤独な私に寄り添うように、冷たい雪が私の方に降り積もっている。


─────

 

 今日、未知との遭遇があった。今まで見たことのない異形な生物。私を見るや否や、一目散にこちらへ駆け寄ってきた。あまりの恐怖に今も震えが止まらない。近くにあったこの家の地下室になんとか逃げ込み、危機は脱したが、なんだあの化物は。まるで、悪い夢でも見ているようだ。


─────

 

 今日は信じられないことが起こった。近くの森林へ食料の調達に向かったところ、あの異形の生物、魔獣と呼ばれているらしいが、そこで何体かの魔獣に出くわした。そこまで大型ではなかったが群れで行動していたため、全員でかかってこられるとかなりの脅威だと思い、その場から逃げ出そうとした。だが、そのとき、ふと魔獣の方を振り返ると、その場にいた魔獣全員が私に向かって頭を下げ、歓迎するような仕草を取ったのだ。なぜそんなことをしたのだろう。あの魔獣がそういった行動をとる種族なのだろうか。はたまた、私に原因があるのだろうか


─────


 今日もまた、魔獣に遭遇した。用があり、街に向かっていたのだが、その道中で一人の女性が魔獣に襲われていた。彼女を助けるために、剣を抜き立ち塞がったが、その瞬間魔獣は攻撃をやめ、私に忠誠を誓うかのような格好を取った。なぜだ。普通ならば、私に襲いかかるはずだ。なぜ私にだけなのだ。私にはこれが心底不気味でならない。いっそのこと私を襲って殺してくれても構わないのに。


 魔獣に襲われていた女性から、とあることを聞いた。夢見人についての伝説、いや、伝説ではなく本当に存在するものであるらしい。話を聞く限り私はその夢見人である可能性がかなり高いように思われた。魔獣が見せるあの行動も夢見人としての私の能力が何らかの形で影響を及ぼしているのであろう。そして、夢見人はこの世界で長らくは生きられず、元いた世界に戻るんだそうだ。私はこの世界でもう数ヶ月程度滞在している。あと少ししかこの世界でいられないのなら、誰かに憎まれようが、この力を使って、自分のしたいことをしよう。このまま死ぬくらいなら、この世界で、俺が背負ってきたすべての憎しみを果たしてみよう』

ご覧いただき誠にありがとうございます!

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