祝福の鐘と、十歳の朝
はじめまして。
この作品を見つけてくださって、ありがとうございます。
この作品が私の初めての作品です。
拙い部分があると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
小さな村で暮らす少年リクの物語です。
ゆっくりめの始まりですが、少しずつ世界が広がっていく様子を楽しんでいただけたら嬉しいです。
村の朝は早い。
けれど、今日だけは
いつもと少し違っていた。
石畳の道には、
朝からたくさんの人が集まり、
広場のあちこちで
落ち着かない声が飛び交っている。
パン屋の窓からは、
焼きたての香ばしい匂いが流れた。
井戸のそばでは、
水守り亀型の召喚獣が、
大きな桶に水を満たしている。
洗濯場では、
泡尾カワウソ型の召喚獣が
ぱしゃぱしゃと泡を立て、
布を洗っていた。
鍛冶屋の前では、
炭喰いトカゲ型の召喚獣が
口から火を吐き、
炉の火を赤くしている。
空を見上げれば、
風脚ツバメ型の召喚獣が
朝の便りをくわえて飛んでいた。
この村では、
魔法と召喚獣の力が
暮らしの中に溶け込んでいる。
それは特別なことではなく、
もうずっと前から、
当たり前にある日常だった。
だからこそ。
十歳の誕生日に行われる
召喚の儀は、
子どもたちにとって
特別な意味を持つ。
どんな召喚獣が現れるのか。
それは基本的に運次第。
ただし、家柄によって
ある程度の傾向はあると
言われていた。
騎士の家なら前衛型。
狩人や案内役の家なら、
索敵や感覚に優れた型。
職人や商家の家なら、
作業や補助に向いた型。
けれど、最後に何が現れるかまでは、
誰にも分からない。
だからみんな、
今日という日を楽しみにして、
同じくらい不安にも思っていた。
「リク、顔が硬いよ」
やわらかな声でそう言ったのは、
幼なじみのミオだった。
淡い色の髪を朝の光に透かしながら、
ミオがくすっと笑う。
「そんなに緊張してたら、
召喚獣まで
びっくりしちゃうかも」
「そ、そんなことないと思うけど……」
そう返したものの、
僕の声は少しだけ上ずっていた。
その横で、
腕を組んだ少年が
自信たっぷりに言う。
「はっ。
緊張したって
結果は変わらないだろ」
ガルドだ。
がっしりした体つきで、
いかにも強い召喚獣を
引きそうな顔をしている。
「うちの家系は
前に出る型が多いんだ。
たぶん俺もそうなる」
「ガルドはほんとに
自信あるね」
ミオが苦笑する。
「あるに決まってるだろ。
強い相棒が来るに
決まってるからな」
その言葉を聞きながら、
僕は召喚殿を見上げた。
白い石でできた建物は、
朝日を受けて
静かに光っている。
あの中で、
今日、僕たちの相棒が決まる。
そう思うと、
胸の奥が落ち着かなかった。
強い召喚獣がいい。
できれば、
みんなにすごいって
言ってもらえるような
相棒がいい。
でも、
そんな都合のいいことが
起こるとも限らない。
僕はこっそり息をつき、
手を握った。
すると、
召喚殿の鐘が鳴った。
澄んだ音が、
朝の村に響きわたる。
「始まるね」
ミオが小さく言った。
「うん」
僕も答える。
いよいよだった。
エピソード1を読んでいただき、ありがとうございました。
まずはこの物語の始まりの空気を感じてもらえたらと思って書きました。
ここから少しずつ、村での暮らしや出会い、不思議な出来事も描いていけたらと思っています。
良ければ評価、感想などよろしくお願いします。
続きも読んでいただけたら嬉しいです。




