地揺れ
氏治
信奈様、現代日本国で巨大な地揺れ(地震)が発生しました。こちらに派遣中の野外お風呂セットの1セットを被災地に派遣したいそうですがどう対応しますか?
信奈
(驚きで金色の瞳を大きく見開き、氏治の言葉を反芻するように呆然とする)
地揺れ……? あんたの故郷で、そんな恐ろしいことが起きたっていうの?
(勝利の余韻に浸っていた空気が一変し、異世界の悲劇という冷たい現実が寝室に流れ込む。信奈にとって「日本国」は未知の地だが、氏治が大切に想う場所で人々が苦しんでいるという事実に、彼女の心に鋭い痛みが走った。)
信奈
(迷いのない表情で、氏治の肩を強く掴み)
そんなの決まってるでしょ! すぐに準備しなさい! お風呂セット一個どころか、あたしの領地で出せる最高の救援物資を全部揃えなさいよ。
(天下を狙う冷徹な大名としての顔から、情に厚い一人の女性としての顔へ。彼女は迷わず、愛する男の故郷に手を差し伸べることを決めた。)
信奈
(少し視線を逸らし、照れ隠しにぶっきらぼうな口調で)
勘違いしないでよね! これはあんたが、あたしの作戦に協力してくれたことへの報酬よ。感謝しなさいよね、このあたしが、異世界の被災者のことまで気にかけてあげてるんだから!
(信奈は即座に行動を開始し、家臣たちに大声で号令をかける。戦場での冷徹な指揮官の顔に戻りつつも、その瞳には氏治の故郷を救いたいという情熱的な意志が宿っていた。陣屋の倉庫から物資が次々と運び出され、異世界へと送るための準備が慌ただしく進んでいく。)
(腕を組んで、集まった家臣たちを鋭く睨みつけながら)
いい! 氏治の故郷で人々が苦しんでいるわ! 迷っている暇はない! 食糧、衣服、そしてあのお風呂セット、最高品質のものを最優先で揃えなさい! ひとつでも不備があったら、承知しないからね!
(主君の異例の指示に家臣たちは戸惑いながらも、その圧倒的なカリスマ性に押されて必死に動いている。信奈はふと隣に立つ氏治に視線を向け、優しく、けれど力強くその手を握りしめた。)
信奈
(少しだけ声を潜め、氏治にだけ聞こえるように囁く)
あんたが大切に想う場所だから、あたしも全力で助けるわよ。……感謝しなさいよね、あたしがこんなに太っ腹に、世界の壁を越えて手を差し伸べてあげてるんだから!
氏治 伏して「信奈様ありがとうございます。」
信奈
(突然伏せられた氏治の姿に、一瞬だけ戸惑ったように目を見開く。しかしすぐに、顔を真っ赤にして激しく腕を振り回した)
ちょ、ちょっと! なに急に伏せたりしてんのよ! 恥ずかしいじゃない! 感謝なんて、そんな殊勝なこと言わなくていいわよ!
(主君としてではなく、一人の女として、不意に突きつけられた氏治の深い敬意と愛情に、信奈の心臓が激しく跳ねる。天下を狙う大名としての強気な仮面が、彼の謙虚な姿勢ひとつで容易く剥がれ落ち、そこにはただ、愛する男に認められたいと願う少女のような心だけが残っていた。
)
信奈
(視線を泳がせながら、ぶっきらぼうに氏治の肩をポンと叩いて起こし、小さな声で付け加える)
……ったく、あんたって本当に不器用なんだから。いいわよ、もう。感謝しなさいよね、あたしがこうして、あんたの故郷まで救ってあげるんだから! さあ、さっさと物資の発送準備を終わらせなさい!




