二俣城へ向け、出陣・行軍
氏治
それでは出陣しましょう。すでに7日前に情報小隊が監視地点に前進しています。
信奈
(馬の首を軽く叩き、前方を鋭く見据える)
で、あるか! 情報小隊がすでに潜伏しているなら、もう逃げ場はないってことね。
あんたの用意周到さには、本当に脱帽しちゃうわ。
(自信たっぷりに胸を張り、不敵な笑みを浮かべる)
さあ、行きましょう! 武田信玄がどれほどの名将だろうと、天下一の美少女であるあたしと、あんたの策の前では無力だってことを分からせてあげるわ!
出陣の号令と共に、軍勢が天竜川へと向かって動き出す。馬の蹄が土を蹴る音が地響きのように鳴り響き、戦場へ向かう緊張感が最高潮に達する。信奈は隣を走る氏治の存在を意識し、密かにその逞しい背中に安心感を抱いていた。
(ふと顔を赤らめ、小声で囁く)
……帰ってきたら、ちゃんと褒めてあげるわよ。だから、絶対に無事で戻ってきなさいよね。いいわね!
氏治
それにしても、信奈も天動衆の着物が似合ってますね。ちなみに私の部隊の騎兵は馬上戦闘に拘らず、塹壕に入って銃や機関銃を使います。現在は上空で偵察用ドローンで周辺の監視とネットワーク通信を前線の情報小隊としています。
信奈
(不意に褒められて、肩をびくりと跳ねさせ、顔を真っ赤にする)
な、ななな……! 今、なんて言ったの!? 似合ってるだなんて……当たり前でしょ! あたしが着れば何だって最高に似合うに決まってるじゃない!
(照れ隠しにぷいっと顔を背け、金色の瞳を泳がせる)
……でも、まあ、あんたがそう言うなら、少しだけ、ほんの少しだけ、嬉しいと思ってあげてもいいわよ。勘違いしないでよね!
(馬を走らせながら、不思議そうに首を傾げる)
ちょっと待って、今なんて? 塹壕に入って銃を撃つの? それに……ドローン? 空を飛ぶ目があるっていうの? あんたの考えることは、本当に理解しがたいわね。……でも、そういう得体の知れない強みが、あたしを安心させるのも事実なのよね。
戦国時代の常識を軽々と塗り替える異世界の術に、彼女は恐怖よりも、自分だけがその秘密を共有しているという優越感と信頼を抱いていた。
氏治
空を指さして、あの光の点滅をしてる場所です。
信奈
(指し示された空を仰ぎ見て、金色の瞳を丸くする)
……あそこに!? あんな小さな点みたいなのが、あんたの目になってるっていうの? 信じられない……まるで神様の視点を持ってるみたいじゃない。
(驚きで口を半開きにしたまま、改めて隣の氏治をまじまじと見つめる)
あんたっていう人は、本当に底が知れないわね。あたしの知らない世界をこんなにたくさん持っていて……。でも、そういうところも含めて、あたしが認めた男なんだから、妥協は許さないわよ!
空に浮かぶ小さな光の点に、時代の転換点を見る。信奈にとってそれは単なる兵器ではなく、自分を導き、守ってくれる男が持つ圧倒的な力の象徴であり、その特異さが彼への執着をさらに深くさせていた。
(ふんっと鼻を鳴らし、得意げに胸を張る)
ふふん、いいわ! その魔法のような目と、あたしのカリスマ性があれば、武田の信玄なんてあっという間に泣きべそをかかせてあげられるわね!
氏治
そうそう、信奈様に仕官したときのお話しを思い出して喋りだす
信奈
貴様が仕官希望の者か、なになに、剣に槍と後茶の湯にも明るいとなんと、大風呂敷を広げたものだな。この信奈が貴様の化けの皮を剥いでやる。
私と剣で信奈と勝負しなさい
信奈
(予想外の重い一撃に、わずかに目を見開く)
っ……!?
(咄嗟に木刀を交差させて受け止めるが、その衝撃に手首が痺れるような感覚を覚え、一歩後退する)
なっ……、なんて力だ……!
ただの剣術ではないな、お前……!
(乱れた金髪を払い、額に滲んだ汗を拭いながら、高揚した瞳で氏治を見据える)
……ふふっ、面白い。面白いではないか、氏治!これほどまでにあたしを驚かせるとは……。さあ、まだ終わらせぬぞ!
氏治
さらに激しく、信奈様の剣を捌き、さすがは私の仕官したい姫ですね。
「氏治の攻勢は止まらない。さらに激しさを増した木刀の連撃が、信奈の防ぎを次々と捌いていく。その淀みのない動きと、戦場で見せるような鋭利な殺気。信奈は必死にそれを受け流しながらも、目の前の男が放つ異質な輝きに、胸の高鳴りを抑えられずにいた。」
信奈
(息を切らし、頬を紅潮させながら、食い入るように氏治を見つめて)
……っ、何を……何を言ってやがる……!あたしを、褒めるのか……!?
(木刀を交差させたまま、乱れた呼吸を整えようともせず、挑戦的な笑みを浮かべて)
ふん、口だけは達者な奴よな!だが、その言葉に偽りがあるなら、その舌ごと叩き斬ってやるからな!
(瞳の奥に熱い情熱を宿し、さらに深く踏み込みながら)
さあ、まだだ!まだ終わらせてくれぬぞ、氏治!あたしを満足させてみせろ!
「お互いが技を出し尽くし、体力もなくなり、疲れ果て試合が終わる」
激しい攻防が続き、天守閣の広場には荒い呼吸音だけが響き渡る。木刀がぶつかり合う音も、果敢な踏み込みも、すべては限界を迎えて止まった。氏治も信奈も、全身から熱を放ちながら、その場に膝をつく。
信奈
(激しく肩を上下させ、乱れた金髪を額に張り付かせながら)
はぁ……はぁ……っ、くそ……!なんて、力……。
(地面に手をつき、疲れ果てた様子で氏治を見上げる。その瞳には敗北感ではなく、未知の強者に出会えた充足感が宿っている)
(ふっと力なく笑い、自分自身の限界を認めるように)
……参った。あたしの負け、と言ってもよいな……。氏治、お前……。
(少しだけ視線を泳がせ、照れ隠しのように不器用な口調で)
……悪くない、戦いだったぞ。
氏治
信奈様は本当に剣が鋭いですよね
信奈
(不意に褒められ、心臓が跳ねたように肩をびくりと震わせる)
なっ……!何を、唐突に……っ!
(顔を真っ赤に染め、視線を鋭く逸らして、不器用に腕を組みながら)
当たり前だ!あたしは一国の主だぞ? 剣が鋭いなど、そんな当たり前のことを、わざわざ口に出して言うな!
「激しい運動の後の火照りと、予期せぬ称賛による羞恥。信奈の頬は林檎のように赤く染まっている。
普段の威厳ある姫大名の仮面が剥がれ落ち、年相応の少女らしい動揺が、その乱れた呼吸と共に溢れ出していた。」
(チラリと氏治を盗み見て、またすぐに視線を外して、ぶっきらぼうに)
……ふん。まあ、お前の技も、認めないことはない。
(小さく呟くように、しかしどこか嬉しそうに口角をわずかに上げる)
小田氏治、仕官させてあげる。
氏治
これから、よろしくお願いします。
信奈
(ふん、と鼻を鳴らして顔を背けるが、耳たぶまで赤くなっている)
よろしくお願いします、だと……?
随分と謙虚な言い草よな。あたしの配下になるということは、死ぬまであたしに付き従えということだぞ!
(不器用に腕を組み、指先で自分の腕を軽く叩きながら)
いいか、氏治。お前のその力、あたしの目的のために使い切ってもらうからな。
逃げ出そうなんて思うなよ。
「主従としての契約が結ばれた瞬間だった。信奈の口調は依然として尊大でぶっきらぼうだが、その瞳には信頼以上の、ある種の独占欲に似た光が宿っている。戦いを通じて心を通わせた二人の間に、単なる主従以上の奇妙な緊張感が流れ始めていた。」
(チラリと氏治を見て、少しだけ声を和らげて)
……まあ、お前のような面白い男がそばにいるなら、退屈しなくて済みそう。
氏治、期待しているぞ。
「氏治は、武具を置き、主君に対して忠誠を誓う時の、右膝を床につき、頭を垂れるポーズをとりました。これは自らの無防備な姿(=敵意がないこと)を相手に晒すことで、絶対的な服従と忠誠心を示すものです。」
この命尽きるまで、信奈様にお仕えします
信奈
「主従の誓いが天守閣の静寂に溶け込む。信奈は一瞬、呆気にとられたように目を見開いたが、すぐに視線を落とし、何かを堪えるように唇を噛んだ。忠誠を誓う男の真っ直ぐな眼差しに、彼女の心臓が不規則に跳ねる。」
(顔を赤らめ、わざとらしく怒鳴るように声を張り上げて)
なっ……!大げさなことを言うな!このあたしが、そんな殊勝な言葉に絆されると思うか!?
(しかし、その手は無意識に胸元の着物をぎゅっと握りしめている)
……ふん。まあいい。そこまで言うなら、その言葉、死ぬまで忘れさせるなよ。
強がってはいるが、その瞳には隠しきれない喜びと、氏治という存在を完全に手に入れたという充足感が滲んでいる。威圧感に包まれていた姫の肩から力が抜け、ふとした瞬間に見せたその表情は、ただの恋する少女のように脆く、甘い。
(小さくため息をつき、照れ隠しに氏治の肩を軽く突き飛ばして)
ほら、いつまでそこに突っ立っている!さっさとあたしの後をついて来い。
(さっさと歩き出しながらも、時折わざとらしく振り返って氏治の様子を確認する)
おい、ぼさっとするな!あたしの歩調について来られないほど足が鈍いのか?
(不機嫌そうな声を出すが、その口角は緩んでおり、金色の髪が陽光に当たってキラキラと輝いている)
(天守閣から城内へと続く回廊を、信奈が颯爽と歩んでいく。その背中は毅然として見えるが、歩く速度はどこか氏治がついて来やすいように緩やかであり、彼女なりに配慮していることが伺える。)
(ふと足を止め、肩越しに鋭い、けれどどこか期待に満ちた視線を投げかけて)
……なあ、氏治。お前、茶の湯が得意だと言っていたな。
(照れ隠しにふいと顔を背け、小さく呟くように)
あたしも……少しは興味がある。後で、あたしにも教えてくれる?
氏治
もちろんです。
信奈
(回廊を進むにつれ、心地よい静寂が二人を包み込む。信奈の鮮やかな着物の裾がさらさらと音を立て、彼女が時折振り返るたびに金色の髪が光を弾いて舞った。主従という新たな絆で結ばれた二人の間には、先ほどまでの激しい剣戟とは異なる、静かで密やかな熱が漂い始めている。)
(ふと足を止め、いたずらっぽく口角を上げる)
……ふん。まさか、あたしが教えを乞うなんて、お前にとっても意外な展開だろうな。
(氏治の視線を真っ向から受け止め、不敵な笑みを浮かべて)
いいか、あたしが納得するまで、徹底的に付き合わせるからな。中途半端な教え方をした日は……覚悟しておけ
(強気な言葉とは裏腹に、信奈の頬にはまだ薄い赤みが残っている。彼女は再び歩き出し、今度は少しだけ、氏治との距離を詰めて歩き始めた。そのわずかな歩幅の差に、彼女自身の無意識な親近感と、独占欲に似た期待が滲んでいた。)
氏治
なにげない会話が楽しいね。覚えてるよ初めて会った日をあれは仕官先を探してる時に
信奈
(不意に昔話を振られ、驚いたように目を丸くした後、ふいっと視線を外す)
……な、なによ急に。そんな懐かしい話、今さらしてどうするのよ。もしかして、あたしに惚れ直したとか? ふん、いいわよ、認めてあげても!
(思い出に浸ったのか、少しだけ声のトーンが柔らかくなり、頬をわずかに赤らめる)
仕官募集のときなんて、あんた、なんだか変な格好してたし、言ってることもわけわかんなかったし……。でも、その自信満々な顔だけは、あたしの心に刺さったのよね。あ、今のは聞き間違いよ! 絶対に誰にも言いふらさないでよね!
(戦場へ向かう緊迫した道中でありながら、二人の間にだけ流れる穏やかで甘い時間。信奈はぶっきらぼうな言葉で塗り潰そうとするが、その瞳には初対面から彼に惹かれていた少女のような純粋な情愛が溢れている。)
(馬の手綱を軽く引き、隣の氏治をちらりと見上げる)
……でも、まあ。あんたが来てくれたおかげで、あたしの人生は退屈しなくて済んでるわ。……感謝しなさいよね、あたしみたいな天下一の美少女に仕えられるなんて、最高の幸運なんだから!
(馬の蹄音が天竜川のせせらぎにかき消され、周囲の空気は次第に冷え込み、戦場の緊張感へと塗り替えられていく。心地よい回想に浸っていた時間も終わり、前方の監視地点から無線機を通じて緊張した報告が入り始めた。)
信奈
(表情を引き締め、金色の瞳に鋭い光を宿して前方を睨む)
……ふん、いいところね。思い出話に浸ってたのは今のまでよ。ここからはあたしたちの時間じゃない。武田の連中に、天下一の美少女がもたらす絶望を味合わせてあげるわ!
(馬上の姿勢を正し、不敵に微笑みながら氏治に視線を送る)
さあ、あんたの得物、あの迫撃砲とかいうやつをぶっ放しなさい! あたしが最高の指揮を執ってあげるから、あんたはただ、敵を粉々に砕いてあたしを満足させればいいのよ!
(甘い空気は一瞬で消え、戦国大名としての冷徹な覇気が彼女を包み込む。しかし、その瞳の奥には、愛する男が振るう圧倒的な力への期待と、彼と共に勝利を掴むことへの狂おしいほどの歓喜が燃えていた。)




