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信奈の野望 元自衛官が異世界転移  作者: M


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清洲城(信奈)

深夜の清州城。信奈が天守閣で夜風に吹かれていると、再び観音寺城からの伝令が駆け込んでくる。息を切らした兵が膝をつき、書状を差し出す。松明の光が、その緊迫した表情を照らし出していた。


伝令兵


(肩で息をしながら)

「信奈様! 観音寺城より、小田氏治様からの緊急の報告でございます!」


信奈


(書状をひったくるように受け取り、封を切る)

「デアルカ! 氏治から二度目の伝令!? 一体何が……!」


(書状を読み進め、その内容に顔色を変える)

「デアルカ……内裏に!? 三好の間者が!?」



書状には、光秀との協議で判明した三好三人衆の策謀が詳細に記されていた。朝廷内部への浸透、そして帝を人質に取る可能性——その全てが、信奈の予想を遥かに超える危険な状況を示していた。


(書状を握りしめ、拳を震わせる)

「デアルカ……! 三好のやつら、帝を狙っているのね……! 許せない……!」


(天守閣の欄干を強く叩き)

「氏治……! あなた、よくここまで掴み取ったわね……!」


前田利家


(駆け寄ってきて、不安そうに)

「信奈様、これは……一刻を争う事態では!?」


信奈


(利家に向き直り、鋭い眼差しで)

「すぐに全軍に出陣準備を命じなさい! 夜明けを待たず、今すぐ京へ向かうわよ!」


(書状をもう一度見つめ、氏治の文字を目で追う)

「氏治……あなたは光秀殿と共に、内裏の警備を固めて。私が、必ず援軍を連れて駆けつけるから……!」



信奈の瞳には、愛する者と天下を同時に守らねばならない、魔王としての覚悟が燃え上がっていた。


(書状の最後の一節に目を留め、表情が一瞬だけ和らぐ)

「デアルカ……氏治、あなた……」


(小さく呟く)

「『信奈様、ご安心ください。この氏治、必ずや帝をお守りし、三好の野望を打ち砕いてみせます』……」


氏治の言葉には、信奈への忠誠と、同時に彼女を安心させようとする優しさが込められていた。信奈の指先が、その文字をそっとなぞる。清州城の夜風が、彼女の茶筅髷を揺らし、月明かりが彼女の横顔を照らし出す。


(書状を胸に抱きしめ、決意を込めた声で)

「デアルカ……氏治、あなた一人に任せるわけにはいかないわ。私も、必ずそこに駆けつける!」


(前田利家に向き直り、命令口調で)

「天動衆の精鋭部隊を集めなさい! 京までの最短ルートを確保し、夜明け前に出陣よ!」


(天守閣から京の方角を見つめ、静かに呟く)

「氏治……光秀殿……待っていなさい。この織田信奈が、必ず三好の企みを粉砕してあげるわ!」


(書状をもう一度見つめ、愛おしそうに)

「そして、氏治……あなたを、必ず無事に連れ戻す。約束よ……」


信奈の瞳には、魔王としての冷徹さと、恋する少女としての熱情が同時に宿っていた。夜空には星が瞬き、遠く京の方角には、運命の戦いが待ち受けている。


清州城の天守閣から、信奈の命令が次々と発せられていく。城下では松明が一斉に灯され、夜の闇を切り裂くように兵たちが動き出す。馬の準備、武具の点検、糧食の確保——全てが、京への急行軍に向けた準備だった。


(書状を懐にしまい、南蛮兜を手に取る)

「デアルカ……氏治が切り開いた道、私が完璧に仕上げてあげるわ」


(兜を被り、マントを翻す)

「三好三人衆……帝を人質に取ろうだなんて、その浅はかな策、この第六天魔王が許すとでも思ったの?」


前田利家


(階段を駆け上がってきて、報告する)

「信奈様! 天動衆の精鋭三百、出陣準備完了いたしました! 馬も揃っております!」


(利家に向き直り、力強く頷く)

「 では、すぐに出陣よ!」


(天守閣の欄干に手をかけ、城下を見下ろす)

「全軍に告げなさい! 我らは今より京へ向かう! 目的は、帝の御身を守り、三好の野望を打ち砕くこと!」


信奈の声が、夜の清州城全体に響き渡る。兵たちが一斉に鬨の声を上げ、その士気は天を突くほどに高まっていた。


(階段を駆け下り、城門へと向かいながら)

「氏治……光秀殿……私が着くまで、絶対に無理はしないで。特に氏治……あなたは、私の大切な……」


(言葉を飲み込み、頬を染める)

「……大切な家臣なんだから!」

信奈が馬に跨り、城門が開かれる。月明かりの下、小田軍の精鋭部隊が一斉に京へと駆け出していく。その先頭には、茶筅髷と南蛮兜、そして揺れる京友禅の装束——尾張のうつけ姫、小田信奈の姿があった。


(馬上から、夜空を見上げ)

「氏治、待っていなさい。この信奈が、必ずあなたの元へ駆けつけるわ!」


清州から京への街道を、小田軍の精鋭部隊が疾駆していく。月明かりに照らされた道は、まるで銀色の帯のように続いている。馬蹄の音が夜の静寂を打ち破り、信奈の茶筅髷が風に激しく揺れていた。


(馬上で、懐の書状に手を当てる)

「デアルカ……氏治、あなたの報告、完璧すぎるわよ。光秀殿との連携、内裏への浸透の把握……」


(少し不安そうに、夜空を見上げる)

「でも……三好三人衆が本気で動き出したら、あなた一人では……」


前田利家


(信奈の隣を走りながら、声をかける)

「信奈様! このペースなら、夜明け前には京に到着できます! 氏治様も、きっと無事でいらっしゃいます!」



(前田利家に向き直り、強がるように)

「デ、アルカ、当然よ! 氏治は私が選んだ家臣なんだから、そう簡単にやられるわけがないわ!」


(しかし、その表情には隠しきれない心配が浮かんでいる)


街道沿いの村々が、次々と背後に流れていく。信奈の心は、京へ、氏治の元へと急いでいた。彼女の瞳には、愛する者を守りたいという強い想いと、魔王としての冷徹な決意が同時に燃えている。

(小さく呟く)

「氏治……あなたが『上屋抽梯』を使うつもりなら、私もその梯子を外す役割を担ってあげる」


(拳を握りしめ)

「三好三人衆……あなたたちが『屋根に上った』瞬間、この織田信奈が、完璧に逃げ道を断ち切ってあげるわ!」


夜が白み始め、東の空がわずかに明るくなってきた。京はもう、すぐそこまで迫っている。

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