表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~  作者: 初雪空
第五章 政治がクラウドソーシング化する時代
55/83

国民に気前のいい政治家!?

女子だけの剣術大会と、水着が似合う南国の海!

どちらも、命を落とすほどに刺激的!?

https://www.amazon.co.jp/dp/B0DNMBVV8L

 俺の義理の父親にあたる桔梗(ききょう)巌夫(いわお)が、俺を見た。


室矢(むろや)くん? もう1人、紹介しておきたい……。お願いします」


 いかにも堅苦しい雰囲気のスーツ男は、畳の上で座ったまま、会釈した。


「警視庁から来た、緒方(おがた)です……。室矢さんには常日頃、お世話になっております」


 会釈しつつ、返答する。


「室矢です……。こちらこそ、よろしくお願いいたします」


 話の流れから、この男が本題らしい。


(元首相の巌夫さんと、中央でも上にいる財務省のトップと対等か……)


 だとしたら、警視庁でのポジションは、自ずと知れる。


 相手の反応をうかがっていると、その雰囲気を察した緒方が話し出す。


「ご存じだと思いますが、今は衆議院選挙で都心は騒がしくなっています」

「はい」


 相槌を打ったら、緒方はためらったあとで口を開いた。


「実は……。現在、我々の管轄でテロが頻発しているのです」


 驚いた俺が、まじまじと見つめる。


 その視線を受け止めつつ、緒方は畳の上に置いていたビジネスバッグを手にとった。


「全て小規模で、幸いにも大きな被害が出ておらず、カバーストーリーで誤魔化しています……。これをご覧ください」


 デジタル全盛期の時代に、紙の書類だ。


「拝見します」


 ローテーブルをはさんで受け取り、眺める。


(……思っていたより、多いな?)


 東京のマップに、赤のマジックらしき印が点在している。


 横から覗き込んできた小田切(おだぎり)は、感想を述べる。


「規則性は……なさそうだな?」


「はい、ご明察の通りです! 我々のプロファイリングと分析でも、今のところは……」


 俺は、別紙に箇条書きとなっている事件を眺めた。


 目的不明のハッキング、多数。

 それに伴う、不法侵入や器物破損、脅迫……。


 反社会的勢力による犯罪行為、その資金源となっている疑いあり。


 実行犯は――


 年齢と性別に関係ない、引き篭もり。

 それに、主婦、学生、社会人、宗教法人、公務員……。


 傷害事件であっても、殺人はない。


 顔を上げた俺は、率直に言う。


「申し訳ありませんが、これらを摘発するか、検挙のお膳立てをしろというのは遠慮させてください」


 正直、付き合いきれない。


 俺の表情を見た緒方は、慌てて言う。


「いえ! これらは、すでに把握済み! 室矢さんに頼みたいのは、これらを指示したと思われる人物の特定、できれば身柄の拘束です! 無力化でも、当方は構いません。最後の1枚をご覧になっていただければ、お分かりいただけるかと」


 催促されて、それを見た。


 警察のデータベースによる、個人情報だ。

 捜査した情報も、書き込まれている。


 隣に座った小田切も、興味深げに覗き込む。


「男性の仲四氏(なかよし)真琴(まこと)……。現在は、40歳ぐらい。不登校のままで、公立中学を強制卒業。ネットの匿名掲示板やSNSアプリで乱暴な言動を繰り返しており、本名のままで活動……。職歴なし、賞罰なし……。何だ、こりゃ!? にしても、どっかで聞いた名前だなあ?」


 首をひねった小田切に、巌夫さんが説明する。


「今の選挙に立候補していますよ?」

「ああっ! それでか!?」


 俺は、緒方に尋ねる。


「仲四氏が見つからない?」

「ええ! ネット……正確にはスマホで指示していると思われるのが、この仲四氏でして」


 緒方の説明によれば――


 アプリなどで指示しているが、いずれかの場所まで。


 そこへ行くと、オンラインの端末や紙による作業指示と、封筒に入った現金などがある。


 中身は……平均10万円?


 場合によっては、50万円、100万円。


 実行させることに対して、破格すぎる。


「要するに、スパイごっこですな! アナログと組み合わせていることで、点と点が繋がらんのです」


 ここで、巌夫さんが捕捉する。


「警察官の一部も、見つけた現金を自分のモノにしたらしくてな……。現場へ睨みを利かせるので、手一杯だそうだ」

「あー! たまに聞くよな、そういうの?」


 小田切が茶々を入れたが、他は反応せず。


 俺は、緒方を見た。


 首肯した彼が、話し出す。


「選挙の間は、治安維持がやっとでして……。ですが、やつが代議士になることは看過できません!」


 そりゃ、そうだ。

 自分たちをコケにしたうえ、身内に犯罪者まで出した相手となれば……。


 そう思いつつ、核心を突く。


「仲四氏が当選する可能性は、あるんですか?」


 ため息をついた巌夫さんが、首を縦に振った。


「そこだよ、室矢くん! 個人へのバラ撒きで、人気が高まっている! アバターとかいうCGで主張しており、若者を中心とした浮動票をまとめられたらマズい。支援している政党はないものの、老若男女問わずに支持者がいるようだ」


「ついに、政治家もVtuberになりやがったか……」


 ツッコミ役になった、小田切。


 いっぽう、俺は返事をする。


「桔梗さんの依頼でもありますし、仲四氏に対処します」


 見るからに喜んだ緒方は、声を上げる。


「おおっ! では――」

「この捜査の間だけで良いから、以下の条件をご承諾ください」


 室矢家が、警部としての警察手帳、実弾の銃火器を行使する。


 警視庁に、24時間対応のサポートチームを置く。


 室矢家の責任は一切問わず、表に名前を出さない。


「分かりました! ただちに、サポートチームを編成しますので!」


 畳の上で土下座しながらの、よろしくお願いいたします、という言葉で、緒方は退席した。


 摺り足の気配が遠ざかった後で、日本酒を飲んだ小田切が笑い出す。


「クククッ! 警部に頭を下げる総監は、初めて見たわ!!」


 やっぱり、その立場だよねえ……。


 そう思いつつ、俺も目の前にある酒を飲む。


 また、面倒になりそうだ。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ