桜技流の男子校
澪は、ついに室矢家と会った!
いっぽう、誰にも知られないままで進んでいく、日本滅亡!?
同時進行する状況に、ついていけるか?
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撃たれまくった怪我は、室矢カレナが治してくれた。
死ぬまで、秒読みだったからな?
正確には、最初に撃たれる直前までの巻き戻しだが。
(チートを嫌がるあいつが、マイルールを破るとは……)
そして、前世の俺がいた世界から、いつの間にか帰還!
カレナが問題ないと言っていたから、この話はそれで終わり。
世話になったとはいえ、メガネ男子の西永和一はどうでもいいし。
中学生になった二条菫が、遊びに来ている。
九段のリスブロン中等部に通っていて、セーラー服だ。
良き良き。
「重遠さん! お命に関わったと聞いて……。これ、お土産です」
お歳暮で送りそうな箱は、南乃詩央里が受け取った。
名店の和菓子だ。
「わざわざ、ありがとう……。とりあえず、座ってください」
俺は、心配そうに見ている菫のほうを見る。
「心配をかけたな? まあ、かすり傷だ」
実際には三発以上をもらったが、ここで言う必要はない。
ホッとした菫は、詩央里が用意した日本茶を飲み始める。
「……ご無事で、本当に良かったです」
しみじみと告げた菫を見た。
やっぱり、未来に帰った娘の二条冴とよく似ている。
いや、似ていないとおかしいのだが。
そう思いつつ、何気なく言う。
「ところで、菫の娘はいつ――」
「ブホッ!」
正面から、菫の日本茶が飛んできた。
慌てた彼女が、ワタワタする。
「えっ? えっ? い、いきなりですか!? それは嬉しいのですが、し、詩央里さんに確認しないと! 年齢的にも、私が一番あとでは?」
まくし立てる菫に、呆れた南乃詩央里が声をかける。
「若さま……。菫ちゃんを混乱させないでくださいよ? まさか、本気で?」
「いや、気になっただけ! 順番とタイミングは、お前に任せる」
息を吐いた詩央里は、そろそろ時期を発表するので、うかつに言わないでください。と付け加えた。
俺をふいた菫が、自分の席に戻った。
「も、申し訳ございません……」
「馬鹿さまが原因だから、お気遣いなく」
詩央里、勝手に答えないでくれ……。
そう思いつつ、話題を変える。
「ところで、近衛師団はどうだ?」
真面目な話題になったことで、雰囲気が変わった。
首をひねった菫は、やがて答える。
「えっと……。すみません! 最近は、ぜんぜん会っていなくて……」
どうやら、スクールライフが主体のようだ。
聞けば、護衛の女性兵士は常にいるが、師団の話はしないとか。
俺のほうは、言うまでもない。
「篠塚さんとは、数年前に話したきりだ……。菫に苦労をかけていることを気にしていたから、あえて話さないのでは? そもそも、陸上防衛軍の中での派閥争いやらは、女子中学生に聞かせる話じゃない」
うつむいた菫は、力なく言う。
「ええ……。そうだ! 近衛師団に伝えておきたいことは、ありますか?」
どうやら、話題を間違えた。
後悔しつつも、考える。
「うーん? そういえば、桜技流がいよいよ男子校を開設したって! あっちは女だらけで、今なら近衛師団とも接点ができるんじゃない?」
ぴょんと頭を上げた菫は、驚いた顔。
「は、早いですね? 学校を作るって、そんな簡単に……」
「筆頭巫女の咲莉菜が、わりと強引に動いたらしい。文科省などに金を積んで、とりあえず形だけ整えた」
ここで、詩央里が口をはさむ。
「ああ……。若さまと自分がいるうちに、実績を作っておきたいんですね?」
「たぶんな」
桜技流の系列というだけで、ほぼ普通の男子校らしい。
校舎として使える場所を確保して、通信制だが全日制の授業。
これを女子校と同じ数だけ。
「日本全国だし、突貫工事にも程がある!」
菫と詩央里が、それぞれに感想を述べる。
「廃校になったところは多いでしょうけど、女子校と離れるでしょうし」
「新しく始めたうえ、帰属意識を持たせて……。考えただけで、頭が痛くなりますね?」
ピリリリ♪
俺がスマホを見れば、天沢咲莉菜の表示。
挨拶を交わしてから、スピーカーモードで置いた。
『天沢です……。会話中にお邪魔するのも悪いのでー! 電話をしました』
超空間のネットワークを使えば、問答無用で割り込めるからな。
そう思った俺は、平べったいスマホを見る。
「用があるのか?」
『実は、うちの男子校で問題がおきまして……』
「俺が必要?」
『はいー! ちょうど、女子校への訪問もして欲しかったので』
「面倒なことは、先に言ってくれ」
息を吐いた咲莉菜が、別れを告げる。
『分かったのでー! では、失礼します』
ブツッと、電話が切れた。
超空間のネットワークで、テレパシーによる通話へ。
『男子校に、警察の関係者が浸透しています』
「だろうねえ……」
警察と縁を切った桜技流。
再び支配下に置き、若い女と予算をチューチューするために手っ取り早い。
「具体的には?」
『男子としての入学です。今のうちに牛耳って、先輩後輩で継がせたいのかと……』
テレパシーで聞いている菫と詩央里は、顔をしかめた。
俺が代表して、咲莉菜に答える。
「長期的に、思考を誘導していくのか」
『おそらく……。女子校との交流も避けられず、惚れた弱みに付け込み、「やっぱり警察に戻ろう!」にする気です』
警察との第二ラウンドか。
俺は座っているソファにもたれ、天井を見上げた。
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