神と龍と武闘大会
城を出た星崎はフローラとミユを探すため、街中をぶらぶらすることにした。そんな風にぶらぶらしていると周りの建物に目がいく。やっぱり大きな街って言われるだけあって建物も多くて大きいんだなと星崎は思った。そんなことを考えながらぶらついていると、人気のないような路地の方からなにやら聞き覚えのある声が聞こえてくる。その声の方へ行ってみると、そこには男が二人居り、その向こうにフローラとミユが居た。「フローラお姉ちゃんをいじめるな!」とミユが言うと男が「うっせー!」と言ってミユを突き飛ばす。それを見た星崎が駆けつけようとしたその瞬間、フローラが男二人に飛びかかる。星崎も顔負けの武術で男二人を倒し「ミユちゃんに何すんのよ!ほら謝りなさい!!」と強気に言った。男たちはすぐさま謝りその場を去っていった。それと入れ違いに星崎が二人のもとに駆け寄る。「大丈夫…か?」と星崎が聞く。ミユが「うん!」と元気よく答える。フローラが「あ〜怖かった」と言い、星崎がガクンとずっこけ、「嘘つけ!」と突っ込む。「それにしても、フローラって…」と続ける。「ああいう輩は前から結構居たから、自分の身は自分で守らなきゃって思ってパパに内緒で武術を習ってたの」とフローラが答える。二人が相づちを打ち、三人がその場を去る。
そして、星崎とミユは街を出て、フローラは城へと向かった。星崎とミユが国王に言われた方へと歩いていると、後ろから「ちよっと待って〜!」という声が聞こえてきた。二人が振り向くと、フローラが二人に向かって走ってくる。「フローラ!?なんで!?」と星崎が驚いて尋ねると「なんでって…私も一緒に行くからに決まってんじゃん」とフローラが当然のように答えた。「え?いや…でもあの国王がよく許したね?」「こんなことパパが許す訳ないじゃん!家出してきたの!私街の外のことこの目で見てみたかったからいい機会だと思ってね」「フローラお姉ちゃんも一緒に行けるの?」「そうよ!これからよろしくね。ミユちゃん」「うん!」「やれやれ…お尋ね者になるのだけはごめんだぞ」と星崎が言って三人が歩き出した。
そしてその頃、城を飛び出した神崎は行くあてもなく一人歩き続けていた。
そうして歩き続けていると、いつの間にかとある街に着いていた。神崎は、願斗の居場所の手掛かりを探すため、とりあえずその街に入ってみることにした。神崎の前に二人の門番らしき男が立ちはだかる。「ここは強者のための武闘の街"コロシアム"だぞ。お主のような女人が何の用だ」と門番らしき男が神崎に問いかける。「えーっと…」と神崎が悩んでいると「まさかとは思うが武闘大会に出るために来たのではあるまいな」と門番が聞いてきた。神崎は特に上手い言い訳も思いつかず、これに乗るしかないと思い「そうなんです。実はどうしても武闘大会に出たくて親の反対を押し切り、一人でここまで歩いてきたんです」と答えた。「そうだったのか!それは大変だったな」と門番の一人が感動し通してもらえると思ったが「だがお主のような者がなぜそこまで武闘大会にこだわる?」ともう一人の門番が聞いて来て少し言葉に詰まる神崎だったが「それは…どうしても王様に会って聞きたいことがあったので」と答えた。「ふむ…まあ、そういうことならいいだろう。通れ」「はい!」とこうしてようやくコロシアムの中に入ることが出来た神崎。
そうして中に入った神崎は、まず初めに宿を探すことにした。宿探しのために街を歩いていると一つの大きな宿を見つける。見つけた!と思い、その宿に入り受付の人に話しかける。「ここに泊まりたいんですけど部屋の空きはあります?」「失礼ですが2日後の武闘大会にエントリーされていますか?」と受付の人が聞いた。「してないですけど…」「では申し訳ありませんがお泊まりさせることは出来ません。当店は武闘大会出場者専用となっておりますので」「え?!…そのエントリーってどこで出来るの?」「昨日で締め切られていると思いますので…」「えー!?」と神崎がどうしようとあたふたしていると、階段から一人の男が降りてきた。「すまんな。伝え忘れてたわ。その嬢ちゃんは俺の連れや。通したってくれんか」と
男が言う。「分かりました。そういう事でしたら」受付が答える。
神崎はその男について行くことにした。「あの…ありがとうございます…」神崎が男にお礼を言う。
「律儀やな〜。わざわざお礼とかええって。俺はリュウガ・ショウケン言うもんや!気軽にケンって呼んでくれや」と男が答える。「私は」と神崎が自己紹介しようとすると龍崎がそれを遮るように「神崎美空…やろ?結構有名人やで自分」と言った。「有名人って…なんでですか?」「詳しいことは知らん。俺が知っとるんはあんたの父親があんたに賞金を掛けてまで連れ戻そうとしてるってことだけや」「賞金…!?あんのクソ親父!!!」「まあ…気持ちは分かるが落ち着きや。とりあえず部屋に着いたから中に入りや。」二人が部屋の中に入る。
「で、あなたはそれを知ってたから私を助けたって事ですか?」「ちょっと待ちーや!俺はそんなん興味あらへんわ。」「じゃあなんでなんですか?」「そんなもん、かわい子ちゃんが困っとったら助けるんは当たり前や。後タメ口でええで。俺敬語とか苦手やし」「じゃあ…ケンって武闘大会出場するの?」「当たり前!俺はそのつもりでここに来てるんやし」「私ここの国王に会って話したいことがあるんだけどケンが優勝したら私にも王と会わせてくれない?」「…かわい子ちゃんの頼みとあっちゃ、断られへんわ。よっしゃ!絶対優勝して王と会わせたるわ!」「ありがとう!」「かまへんわ、これぐらい。で、美空ちゃんは今日何も食ってへんのやろ?そろそろ夕食の時間やし一緒に食わへん?」「食べる!お腹減ってたんだよね〜!」「よっしゃ!ほな行こか」二人が部屋を出る。
二人が食堂に着き、ケンがおばちゃんの方に行き「.おっす、おばちゃん」と話しかける。「なんだい、ケン坊。今はあんたに渡す情報はないよ」とおばちゃんが言う。「今日は情報目当てやないわ!わいの分の飯を一人分多く作ってくれって頼みたいだけや」と龍崎が言うと、おばちゃんが神崎の方を見て「あのお嬢ちゃんのためかい。材料も余ってるしそれぐらいならわけないよ」と含み笑いをしながら答える。「ほな頼むで」「はいよ」
おばちゃんとの会話を終えた龍崎は神崎の元へと戻る。「ほな席着こうや」「うん」と二人が席に着き、食事が運ばれ、二人の前に置かれる。他の出場者達の前にも食事が置かれ、それぞれが一斉に食事をはじめる。食事を終え、風呂に入り、部屋へ行きたわいない話をして眠りにつく。そんな生活をもう1日送り、その翌朝、ケンと神崎が目覚め、武闘大会の会場に行く。そしていよいよ武闘大会が始まる。




