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『夫と侍女に裏切られた私は、二人の娘になって復讐を誓う』  作者:


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14/17

14. そろそろおふざけは終わりです。

その後もアデルの武勇伝は積み上がり、作戦が功を奏したのか(?)王家から招待状が届いた。


王家から正式な招待を受けた者だけが参加を許される、年に一度の祝賀園遊会。


アデルはその招待状を胸に抱いた。

(ようやくね。)


今回の標的は、オルブライト公爵。

今までとは違う。

彼こそが、本命であり最後の標的である。


オルブライト公爵には、昔から仄暗い噂が絶えなかった。

領民が忽然と姿を消す。

人身売買に手を染めている。

幼い子どもを好み、嗜虐趣味まであると囁かれている。

それでも、誰も公爵には手を出せない。


王家から臣籍降下した者を祖に持つ名門であり、公爵に歯向かった者は容赦なく消されると言われていたからだ。


(……ちょうどいいわ。)

アデルは、純白のドレスに袖を通した。

(潔く散る。これは私の死装束よ。)


ルーカスも。

リゼットも。

マルクスも。

そして、その二人の娘として生まれた私自身も。

全てを道連れにする。

鏡に映る幼い自分を見つめ、アデルは静かに息を吐いた。


(私は、ここで終わる。)

(さぁ、最後の仕事よ。エマ。公爵に一太刀浴びせるのよ。)


✥✥✥✥✥


ルーカスとリゼットに連れられ、アデルは王宮の庭園を訪れた。

美しく整えられた庭には、白いクロスの掛かったテーブルが並び、王族や高位貴族たちが談笑している。

今まで参加した会とは、明らかに空気が違った。

王族。

公爵。

侯爵。

そして、王国に大きな功績を挙げた者たち。

アデルは小さく息を呑んだ。


その中に、オルブライト公爵を見つけた。

公爵は王族たちと同じテーブルに腰掛け、穏やかに雑談を楽しんでいる。


(……いる。)


アデルは目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。

心臓が嫌になるほど大きく鳴っている。


(私は、ここで終わる。)

そう言い聞かせ、オルブライト公爵へ向かって歩き出した。


そして――。

何食わぬ顔で、公爵の膝へちょこんと腰を下ろした。

周囲の貴族たちが、一斉に目を見開く。


「アデル!」

リゼットが慌てて駆け寄り、アデルを引き離した。

「申し訳ございません、オルブライト公爵様。アデルが大変失礼を――」


アデルは不思議そうに首を傾げた。

「リゼットが公爵様に会ったら、お膝に乗るんだよって言ったじゃない。」

「そんなこと――」

リゼットが言葉を遮ろうとしたが、アデルは気にせず続けた。


「ルーカスとリゼットとマルクスに、公爵様のお城へ連れて行かれた時、お膝に乗って、色々触られても我慢しろって言うじゃない。」

アデルは不満げに唇を尖らせた。


完全に、空気が止まった。

誰も口を開かない。

王弟殿下が、静かに席を立った。


オルブライト公爵は、一瞬だけアデルを見つめると、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。

「お嬢ちゃん、何を言っているんだい。私とは今日が初めてだろう?」

優しい声だった。

けれど、その目は全く笑っていなかった。


「ああ。最近お騒がせのアデル嬢だったかな。大人をからかうものではないよ。」


「でも――」

「アデル!」

今度はルーカスまでやって来た。


アデルは二人に腕を掴まれ、そのままずるずると別の席へ連れて行かれた。


振り返れば、オルブライト公爵は既に何事もなかったように会話へ戻っている。

周囲の貴族たちも、少しずつ談笑を再開した。

園遊会は、そのまま何事もなかったかのように続いていった。


(さすがに王族や高位貴族ね。全く意に介さないわね。一矢報いることなく私は消される…)


アデルは項垂れるのであった。


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