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『夫と侍女に裏切られた私は、二人の娘になって復讐を誓う』  作者:


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10. 息子のセドリック

セドリックが学園に入学するまでの四年間、なんとか守ってみせる。

セドリックが学園に入れば、叔母様もこの家へ足を運ばなくなるはず。

それからが本当の復讐よ。



次の日から、私はセドリックの部屋を訪ねるようになった。


リゼットに、うるうるとした瞳を向ける。

「おにいちゃまと、あしょびたいの」

「いいわよ」

リゼットは笑顔を貼り付けて答えた。

きっと、ウォーエン伯爵夫人に余計なことを言われるのを恐れたのだろう。


コンコン。


返事はない。

仕方なく、そのまま扉を開けた。

部屋のカーテンは閉め切られ、手入れも行き届いていなかった。

置かれているのは、ベッドとソファだけ。 あまりにも殺風景な部屋だった。

マルクスが侍女たちを遠ざけていたのだろう。

胸が締め付けられる。


私はカーテンをすべて開いた。

差し込んだ光の中、セドリックがベッドにぼんやりと座っていた。

やはり細く、青白い。

その姿が、お父様と重なった。

涙が滲む。


「わたち、アデル。よろちくね」

返事はない。

もしかして……まともに話せない?

病弱だなんだと人を遠ざけ、誰かと話すことさえ奪っていたの?


私が命を懸けて産んだ子に。


あまりにも残酷な仕打ちに、殺意すら覚えた。


その次の日、私は従者と侍女を連れて、セドリックの部屋を訪ねた。

またカーテンは閉め切られ、手入れも行き届いていない。


思わず皆、ぎょっとする。


急いでカーテンを開けると、従者たちは見繕った家具を次々と部屋へ運び込んだ。

侍女は積もった埃を拭き、慌ててシーツを取り替えていく。


(よしよし。まずは健康からね。 毒入りのお茶も用意できなくなったし、まずは順調ね。)

エマは満足げに頷いた。


アルベルト医師から、できるだけ水分を取らせた方がいいと教わっていたので、果実水をなるべく切らさないよう侍女に頼んだ。


朝は朝日とともに侍女を連れて部屋を訪れ、カーテンを開ける。

それからセドリックと朝の散歩。

朝食はパンプディングにしてもらい、子どもでも食べやすいよう甘めの味にしてもらった。

(食欲も出てきたし、顔色も良くなってきたわね。)

午前中は、私が絵本を読んで聞かせた。

(ああ……我が子に本を読み聞かせる日が来るなんて。)

セドリックは興味深そうに、絵本を覗き込んでいる。

(可愛いわね。 髪の色は私で、目元はお父様にどことなく似ているわ。 ああ、可愛い。)


エマは小さな手を伸ばし、そっとセドリックの頭を撫でた。


絵本を読んで、少し身体を動かしたら、お昼寝の時間。


二人で同じベッドに潜り込み、うとうとと眠る。


それが、いつしか二人の日課になった。



そんな日常が続いた。


そんな中、朝の散歩に幸せが訪れた。

朝露に濡れる鈴蘭の花をセドリックが摘み、私に渡してきた。

「アデル、あげる。」

なによりの宝物だった。

初めて聞いた言葉が、私の名前。

そしてプレゼント。


涙が次々と零れ落ちてきた。

セドリックはその姿を不思議そうに見るのだった。

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