↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花道闊歩 -異世界の光る球に転生した最弱生物は、死ぬ運命の女の子二人を絶対!老衰エンドに歩ませます!-  作者: ガリガリワン
第一幕 第一章 貧乏少女編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/14

第三話 死のリスト


 坂田はフリィアの住むボロ家にて。


「おばば、お水汲んでくるね」


「気を付けるんだよぉ」


 相変わらず透明でありながら観察中、異世界に転生して今日で二日目。結局今は何もできないため、色々と情報を取り込むことが出来た坂田であった。


(……この青い画面、なんて呼ぶべきか)


 彼は一つの疑問を抱いている。


(二人の死ぬタイミングが映されてるリスト……ご丁寧に危険度まで書かれてるし、低・中・上・超・極って、ほんっとゲームみたいなシステムだな)


 青い画面。自身が出てきてほしい時や出てほしくない時、勝手に空気を読んで消えたりしてくれる存在。


(死ぬタイミングが書かれてるし、“死のリスト”でいっか)


 改めて、死のリスト。坂田は目覚めてからそれを眺めていた。


「うん、気を付けるね……!」


(……にしても、バカじゃねぇのw? 何回死ぬタイミングあるんだよw……!)


[1/3893]


 大体1ページに40個ほどの死が記されている。それが3893ページ。坂田はあまりのクソゲーにもはや笑ってしまう。

 その間にも、自身が守るべきフリィアという少女は、今日を生きるために家から出かけてしまった。彼もそれに合わせて動き出す。


(リルメスの方も、3897ページ……どっちも多すぎるって感じだな。なんだこれ)


 青い画面はフリィアともう一人の守る対象、リルメスで分かれていた。どちらもとんでもない量の死が待ち構えており、冗談を疑いたくなる。


(……やめだやめ! 今は他のことを考えよう)


 仄かに暖かさを感じる季節、おそらく今ここは春を迎えている。坂田はフリィアの後ろを浮きながら尾行し、彼女の容姿などについて考え始めた。


(しっかしまあ……めちゃくそに美形だな! 子供の頃からこの顔立ちはとんでもねぇだろ! 異世界じゃ顔面偏差値が桁違いなのはマジだったのか)


 フリィアは七歳という若さながら、非常に整った顔立ちをしている。いわゆるイケメン女子、髪も短いため余計イケメン度が高い女の子である。


(この世界じゃ俺の顔は不細工扱いだな。案外人外で正解かもな……)


 坂田はそう思いながらふわふわと飛んでいると、彼女が右手に持つ小さな袋が気になった。


全知脳(ぜんちのう)が発動します]


(やっぱ気になった時に自動発動なのか……)


貯水袋(アグホォーラ):便利アイテム

 この世界で流通する携帯型のタンク。

 特殊な固有魔法が施されており、

 一般の物では100Lほど中に水が入る。

 尚、水は袋に入れば重さを持たなくなる]


 そんなことを知った坂田は、明らかに一般の物ではないボロッボロなそれを見て、同情するように乾いた笑いを漏らす。


(はは……絶対買い替えるべきでしょ。でも家があれだし……うーん、どうしようも出来ないよな)


 自身が守るべき対象はどうやらかなりの貧乏人。想像を優に超えてくるその貧乏度に、これからかなり苦労するんだなと、薄々思い始める坂田であった。



 ◇ ◇ ◇



 坂田は異世界に来て四日目を迎える。


 死のリストを眺めていて二つ気がついたことがあった。それは今後、最も意識するべきこと──


(大体危険度に合わせて色がついてるが……危険度も書かれてないこの“黒文字”……説明されなくてもわかる。絶対にやばいやつだ……)


[十二歳、戦争に巻き込まれ死亡]


 坂田はフリィアの家の中で、その黒い文字を見続ける。この文字はフリィアとリルメスどちらにも存在しており、不穏な未来を予見させる。


(5年後か……それまでにどうにか対策しなきゃゲームオーバー。俺の第一目標はとりあえず……リルメスって女の子と関わりを持つこと……)



 異世界に来て六日目。


 坂田は外で薪を割るフリィアを、家の屋根から眺め、意外にも危機が訪れないことに安堵していた。


(種族が死ぬほどいることを知れたぞ……それに、全知脳(ぜんちのう)じゃ知れないことについてもある程度わかったな)


 それ故に坂田は、この透明になった期間で、己が持つ三つの魔法を完全に理解しようとしていた。


(完全記憶と確絶魔法はもうバッチリ。全知脳もそろそろ使いこなせるようになってきたな。でも──)


 全知脳の弱点。それは、何かに記されていない物や、最後にその情報が誰かの口から出て、一ヶ月以上経つと情報を得ることが出来なくなる。


(人物の情報が結局は関わって聞き出すしかない……万能っぽい魔法だったが、なんだかんだ癖ありの魔法だな……だけどまあ、ほんっとに便利だ)


 定期的に死のリストも確認し、リルメスが死んでいる様子もない。


(……リルメスは貴族だ。そう死なんだろ)


 油断大敵という言葉はあるが、今の坂田はそれを踏まえてもリルメスの心配をしない。なぜなら、全知脳で貴族が必ず護衛をつけることを知っているからだ。


(フリィアちゃんも危険度低いやつしかないし、溺死とか起きんだろ。てか、危険度低って書かれてるのは、超低確率な死って感じだな)


 無理ゲーを押し付けられたように感じていたが、ここでほぼ一週間も過ごしていると、意外に快適だった。透明なので人目を気にすることなく、青空広がる天を眺め、夜は星空を見上げる。


 良い生活だった。光る球になってからは食事はする必要がないようで、睡眠時間も4時間ほどで満足できる。元の生活を考えると、ここは天国だ。


(……なーんか。チート使って無双! とかよりも、こうやってのんびり過ごす方が、いいよな〜)


 ポカポカした陽光を浴び、坂田は思う──


(スローライフサイコー!)



[*警告:死の運命が変化します]


(は?)


[フリィア・サタニルド

 危険度:低──危険度:極

 七歳、地竜(ドルメーア)族に捕食され死亡]


 次の瞬間、フリィアの少し先に見える地面が盛り上がり、一気に地面が裂けて中から竜が現れた。


(オイオイオイオイ!! 嘘だろ嘘だろ……!!)


 背筋もないのに背筋が凍りついた。竜、まさしくファンタジーらしい生物。しかし今回ばかりは引っ込んでおいてほしい。


(っ俺、魔法使えないって! どうすんだよ!)


「え……」


全知脳(ぜんちのう)が発動します]


地竜(ドルメーア)族:魔獣科

 多くの大陸に生息する竜。

 地下深くに住まい、時折地上へ──]


(うるさいわァ! どうでもいいんだよ!!)


 坂田はとりあえずフリィアへと飛んでいく。彼女をどうにかして助けなければならない。


(走れ走れ走れ! 逃げろフリィアちゃん!)


「あっ……おば、おばばぁ!」


 フリィアは走り出す。しかし、家の方へと向かい、中にいるおばあちゃんを助けるためだった。


「おばばぁあ!!」


 半泣きで走るフリィア。地竜は彼女からその険しい顔を背けない。


(なんで一人狙いなんだよ!! バカ竜がよ!!)


 不運なことだ。フリィアは最初に地竜に見られたが故に、こうして一人狙いされているのだろう。


 竜は賢い生物である。弱者を狩るのに全力を出す生物でもない。そのせいか、ゆっくりとフリィアへと迫っていく。


(マズいマズいマズい!! 俺って実体あるよな……? 体当たり? いや、弱すぎて意味ねーよ! どうする!? 俺に何ができる!?)


 坂田は焦ったようにくるくると飛び回りながら、地竜へと再び視線を向けた。


「おばば! 外に地竜(ドルメーア)がき、来たぁ!!」


「……フリィア逃げなさい!」


「でもおばばがっ!」


「何言ってんの、おばばなんかより自分の心配しなさい……!」


 家の中ではフリィアとその祖母らしき人物が言い争っている。もちろん、そんなことしている場合ではない。すぐそこまで迫ってきている。


(今言い争うなよ……!! クッソ……クッソなんか思いつけ……! なにか……なにか!)


 坂田は二人と迫る地竜を交互に見ながら、必死に考える。そして、一つの策を思いつくに至った。



(……あれだ)



 土壇場で思い出す、幼少の記憶。

 それは異世界にて奇策になる──


 坂田は地竜に向かって飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。