難民救出
零達と王女達はウライアの西の端に転移した。
「酷く荒れた所ですな。」
フェスが言った。
「うん、20年も紛争地だったからね。」
零が答えた。
「零様、ここはどの辺りですか。」
リラが聞いた。
「ここはウライアの西の端だね。」
零が答えた。
「零殿!こんな所にシルビア王女を連れてくるなんて!どういうおつもりか?!」
騎士ルティナが怒って言った。
「ここにはウライアの紛争の被害にあってる人達がいます。これから紛争の被害にあってる人達を助けます。シルビア王女、辛いものを見ることになると思います。学園にお送りしましょうか?」
零が優しい笑顔で聞いた。
「零様、私は大丈夫です。ルティナ、いつも心配してくれてありがとう。でも私も皆のおかげで強くなってるのよ。」
シルビア王女が笑顔で答えた。
「王女…」
騎士ルティナは心配そうにした。
「じゃ、行きましょう。」
零は歩き出した。
皆は後に続いた。
少し歩くと古ぼけて、ボロボロの教会のような建物に着いた。
中から人の声がする。
零が先頭で建物のボロボロの扉を開けた。
中には盗賊のような男達が30人程いる。
「何だお前ら!」
「騎士がいるぞ。」
「帝国の騎士か?」
「お姫様のようなのがいるぞ。」
「高く売れるんじゃないか。」
盗賊達は口々に叫んだ。
「クロムエル!」
イザベラ王女が鋭く叫んだ。
イザベラ王女が言い終わらぬうちに黒騎士クロムエルは疾風の速さで5人の盗賊を斬って捨てた。
「な、なんたこいつら!」
盗賊達は黒騎士クロムエルから離れて逃げた。
「動くな!動けばこの子供の首を落とすぞ。」
女の子を抱え、首に剣を当てた盗賊が奥から現れた。
「こっちもだ。動くなよ。」
別の所からも男の子を抱え、短剣を首に当てた盗賊が出てきた。
「動くな。」
「へへへ。動くなよ。」
他にも別の3ケ所から子供を抱えた盗賊が出てきた。
フェスが異様に殺気立った。
「おい!騎士共!剣を捨てろ!」
盗賊の首領らしき男が言った。
騎士達は誰も剣を捨てない。
「あ〜人質がどうなってもいいのか?よ〜し1人殺してしまえ!」
盗賊の首領が言った。
「あっああ!動いたらダメだよ!後悔するよ。」
零が慌てて止めた。
「あ〜小僧、何言ってやがる。1人殺せ!」
盗賊の首領が言った。
「へい!」
盗賊の1人が子供を短剣で刺そうとした。
「ギャー」
叫び声を上げて、子供を殺そうとした盗賊の短剣を持つ手首が落ちた。
「なっ何だ!手首を斬ったのか?魔法か?!」
盗賊の首領が言った。
零は既に子供達と盗賊全員を粒子で囲み、子供達の粒子に刃物で触れたり、盗賊が動いたら、粒子が手首を斬り落とすように命じている。
「動いたらダメだよ。」
零が又言いながら、盗賊の首領に向って歩きはじめた。
フェスとリラが後に続いた。
「ふざけるな!」
別の盗賊が剣で子供の首を斬ろうとした。
「ギャー」
剣が粉々になって、その盗賊の手首も落ちた。
「だから、動いたらダメだって。ゆっくり動くのはよくしたから、子供達をそ〜と離して。そ〜とだよ。」
零が歩きながら言った。
「ギャー」
奥の別の盗賊も子供を刺そうとしたので手首が落ちた。
「た、助けてくれ。」
盗賊の首領が言った。
零が盗賊の首領の目の前まで来た。
「ぬかったな魔法使い!至近距離に来るとは!」
盗賊の首領は剣を零の頭上に振り下ろした。
「ギャー」
盗賊の首領が剣を振り被った時に、剣を握った両手首が盗賊の首領の背後に落ちた。
手首のない腕が零に振り下ろされた。
「動いたらダメだよ。他の人も、動いたらダメだよ。」
零が言った。
「ギャー」
あちこちで動いてしまった盗賊達の手首が落ちて悲鳴を上げている。
黒騎士フィオナとクロムエルはこの光景に息を飲んだ。
「あんた、意外と怖いわね。」
カタリナが零に言った。
「私は動いても大丈夫よね。」
黒魔法士クラリッサが恐る恐る聞いた。
「当たり前でしょ。」
カタリナが呆れて答えた。
「カタリナ、あれは何の魔法よ?」
黒魔法士クラリッサが真剣な目で周りの魔法残滓を探りながら聞いた。
「…あんたには零の魔法はわからないわ。」
カタリナが答えた。
セレスティアがクスっと笑った。
零が奥の扉を開けた。
中に隠れていた5人の盗賊が零に襲いかかった。
「ギャー」
フェスとリラが5人の腕を一瞬で斬り飛ばした。
零が粒子で流血が広がらないようにして、盗賊の出血だけを止めた。
「フェス、リラ、ありがとう。」
零が笑顔で言った。
「はっ。」
フェスとリラが言った。
その部屋には百人程のウライアの避難民が詰め込まれていた。
盗賊達は避難民を共和国で売り飛ばそうとしていた。
『粒子、治癒。』
零の粒子で避難民を治癒した。
零は粒子で扉を作った。
「ここに入ってください。食べ物や風呂や服を用意してます。」
零が言って粒子の保存領域に招いた。
粒子の保存領域で、粒子で事前に用意した、風呂、部屋、服、水、パン、ハイオークの肉のシチューを勧めた。
本来粒子の保存領域には空気がない異空間なので、粒子で空気を転移させている。
「皆も入ってくださーい。」
零は王女達に言った。
「盗賊の皆さんはそのまま動かないでくださーい。後でまた来ますから。動くと相当痛いですよ。」
零は扉から顔だけを出して言った。
「主、これも美味しいです。」
フェスがシチューを食べながら言った。
王女達が粒子の扉から保存領域に入ると、既にフェスがシチューを食べていた。
「でしょ〜」
零が笑顔で言った。
「フェス、あんた何食べてんのよ。民の食料でしょ!」
カタリナが怒って言った。
避難民達は最初食べるのを躊躇していたが、フェスが食べているのを見て子供達が食べだした。
「あの、騎士様、これは一体どういう事なのでしょうか?あの少年は誰なのでしょうか?」
避難民の1人がセレスティアに聞いた。
「あの方は先程、ウライアの国王になられた零国王だ。国王になられてすぐ、ウライアの民を救いに来られた。」
セレスティアが答えた。
「こ、国王様?」
避難民が驚いた。
「じゃ次の避難民達の所に転移します。」
零が言った。
【次回予告 】
国外のウライアの民を救い出す。
物語を読んでいただきありがとうございます。
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