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新国家誕生

「私は零様と結婚します。そのお祝いとして零様に帝国の領地ウライアを差し上げるべきです。」

イザベラ王女が言った。


「お父様、私と零様の結婚のお祝いです。是非とも零様に王国のウライア領を差し上げてください。」

シルビア王女が言った。


「ちょ、ちょっと待って…」

零は混乱している。


両国暫く沈黙があった。


「あの、皆さん、何で僕がウライアを…」

誰も何も言わないので、零が何か言おうとした。


「ワハハハハハ。シルビア、暫く見ぬ間に賢い子に育ったものだ。兄上、これはやられたな。」

会談前から怒りの目をしていた総司令官バルハイトが笑った。


「ありがとうございます。叔父様。」

シルビア王女が笑顔で言った。


「ウライアを分割して帝国に渡すと言うなら、我ら王国軍人は一歩も引かぬ。しかし我が王国軍が負けた零殿の領地になるなら、軍人として文句は言えぬ。違うか、フレリック将軍。」

総司令官バルハイトが言った。


将軍フレリックはチラッと総司令官バルハイトを見たが、何も答えなかった。


暫くイザベラ王女を見ていた皇帝ゼノヒィスが少し笑った様に見えた。


「ふむ。パルマラスの城壁を守り、帝都と民を守ってくれた。イザベラとの結婚祝いもあわせて、我が帝国の名誉騎士、零殿に帝国領ウライアを譲渡する。」

皇帝ゼノヒィスが言った。


「え、いや、あの…」

零が何かを訴えようとした。


「御意。」

将軍フレリックと副将軍ベリンラルが言った。


「我が王国は王国領地ウライアを婿殿に譲渡しよう。」

アルベール国王が言った。


「いや、僕は領地経営などできないですが…」

零が困った顔で言った。


「婿殿、勘違いされては困る。領地ではないぞ。ウライアは独立国となる。」

アルベール国王が笑顔で言った。


「え〜!」

零が驚きの声を上げた。


助けを求めてフェスとリラを振り返った。


フェスとリラの顔は歓喜に満ち溢れている。


零は騎士長レグルスとセレスティアを見た。


騎士長レグルスは相変わらずの無表情で、セレスティアは驚いた顔でシルビア王女を見ている。


カタリナは笑いを堪えている。


『ダメだ〜味方がいない。』

零は絶望した。


「零様なら出来るわ!私達もついているわ。出来ないはずがない!」

イザベラ王女がきっぱり言った。


フェスとリラが何度も頷いた。


「あ〜はい…」

零が気落ちして言った。


アルベール国王は笑顔でシルビア王女を見た。


「シルビア、なぜ婿殿にウライアを統治させようと思ったのだ?」

アルベール国王が聞いた。


「はい。私とイザベラ王女とで毎日色々考えました。グローリ教官からも助言をいただきました。」

シルビア王女が言った。


「グ、グローリ殿が…」

アルベール国王が言った。


「はい。ウライアは両国にとって重要な領地。その重要な領地を守る事ができて、魔族の侵略を跳ね返せるほど強くて、中立の立場のお方にウライアをお任せすればいいのではないかと。」

シルビア王女が言った。


「ああ、その手があったか。」

黒魔法士クラリッサが呟いた。


「クラリッサ、弁えろ!」

黒騎士長デュンデが低く強く言った。


「婚姻のお祝いにと、お話すればお父様も皇帝も、きっと願いを叶えてくださると。」

シルビア王女が言った。


「そうか。」

アルベール国王は苦笑いした。


「帝国は本会談の目的を最良の形で成し遂げた。」

皇帝ゼノヒィスが言った。


「王国にとって良い成果が得られた。ゼノヒィス皇帝、良い会談であった。」

アルベール国王が言った。


「アルベール国王、良い会談だった。お互い良い娘を持った。」

皇帝ゼノヒィスが又少し笑って席を立った。


「では、失礼する。零殿、ウライアとイザベラを頼んだぞ。」

皇帝ゼノヒィスは笑いながら言った。


「いや、あの、僕は…」

零は皇帝ゼノヒィスにすがったが、皇帝は部屋から出ていった。


将軍フレリックと副将軍ベリンラル、護衛の黒騎士達も後に続いた。


なぜか黒魔法士クラリッサは残った。


アルベール国王は意味深に皇帝を見送った。


「我らも帰るぞ。セレスティア、カタリナ、引き続き婿殿の護衛を頼む。」

アルベール国王が言って席を立った。


「はっ。」

セレスティアとカタリナが答えてアルベール国王を見送った。


「あんた、何してんのよ?」

カタリナがクラリッサに言った。


「私はイザベラ王女の魔法の家庭教師に任命されたの。」

黒魔法士クラリッサが言った。


会談場を出た後、副将軍ベリンラルが将軍フレリックに小声で問いかけた。


「将軍、本当にあの頼りない少年が、ウライアの我が帝国軍8000を抑え込んだのですか。」


「パルマラス城壁の時もそうだったが、今日も頼りなく見えた。」

将軍フレリックは笑った。


「しかし事実だ。零殿のおかげで王国が直接の対戦国としては廃除できた。」

将軍フレリックが意味深に言った。


1か月後。


零達とシルビア王女達とイザベラ王女達は、ウライアでの王国と帝国の首脳会談の会場に、譲渡契約締結の為に来ていた。


シルビア王女には、近衛騎士ルティナ、クノーラが同行している。


イザベラ王女には黒騎士フィオナ、クロムエル、黒魔法士クラリッサが同行している。


帝国の皇帝ゼノヒィスの代理として将軍フレリックが来ている。


王国のアルベール国王の代理として宰相フランツが来ている。


両国共にウライアを自国領地とした上で、零に譲渡すると言う契約書を零と締結した。


同時にウライアは、グランバルト王国、イタリウス帝国との同盟の契約も交わした。


グランバルト王国とイタリウス帝国との同盟にはまだ時間がかかるが、ウライア王国の仲介で進められる事が決まった。


「これでウライアは王国と帝国から独立した。僕達の国になったね。」

零が契約締結の直後に皆に言った。


「主、おめでとうございます。」

「零様、おめでとうございます。」

フェスとリラが笑顔で言った。


「零様、おめでとうございます。」

シルビア王女とイザベラ王女も笑顔で言った。


「うん、ありがとう。じゃ皆行こうか。」

零が皆に言って、粒子で転移して、契約締結の会場から消えた。



【次回予告 】

ウライアの民の現状。


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、

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また読んでもらえることを楽しみにしています。

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