強引な停戦
「皇帝、突然の訪問お許し下さい。もうすぐウライアの東の魔物の森から魔王軍の100体のワイバーン部隊が来ます。」
零達が入って来て歩きながら言った。
「100体のワイバーン部隊?!」
将軍フレリックが驚いて言って、皇帝を振り返った。
「ふむ。魔王軍め、早かったな。」
皇帝ゼノヒィスが言った。
「皇帝、早速ですが、使者のバーンズさんをウライアに連れて行きます。いいでしょうか。」
零が言った。
「零殿、ウライアで帝国軍が退けば王国軍に攻め込まれる。アルベール国王はどう動くと思う?」
将軍フレリックが少し笑って言った。
「アルベール国王は既に動いています。ウライアの王国軍に使者を送りました。王国軍のバルハイト総司令官は、ついさっきアルベール国王からの親書を受けとりました。」
零は答えた。
「ついさっき?零殿はウライアの王国軍から来たのか?」
将軍フレリックが少し驚いて聞いた。
「はい。」
零は笑顔で答えた。
「零殿はアルベール国王からの親書の内容を聞かされているのか?」
将軍フレリックが聞いた。
「いいえ。でも内容はバルハイト総司令官から教えてもらいました。」
零が言った。
「アルベール国王の親書の内容は?!」
将軍フレリックが聞いた。
「あ〜、え〜、皇帝の親書と同じような感じです。」
零は答えにくそうに答えた。
「な、なぜ皇帝の親書の内容を知っているのだ!」
将軍フレリックが焦って聞いた。
「え〜と、それはですね〜、あ、…すいません。ウライアで帝国軍と王国軍の戦闘が始まりました。ワイバーン部隊も戦闘地域の近くまで来ました。」
零の顔色が変わった。
「何!本当か?ここにいてウライアの事がわかるのか?」
黒騎士長デュンデが叫んだ。
「すみません、急ぎます。じゃ、バーンズさんを連れて行きますね。」
零達は使者バーンズを連れて粒子で転移して、皇宮の謁見の間から消えた。
紛争地ウライア。
王国軍の兵士7000人、帝国軍の兵士8000人。
アルベール国王の撤退命令が前線に届く前に戦闘が始まってしまった。
ワイバーン部隊はその東にはっきり目視できる距離まで来た。
前線の両国の兵士達はまだワイバーンに気づかない。
零達と使者バーンズは最前線の上空に粒子で転移してきた。
『粒子、王国軍と帝国軍の兵士を固めて。』
「何だこれは?!」
「動けない!」
「魔法なのか?!」
戦っていた兵士達は突然動けなくなって、口々に叫んだ。
「これで大丈夫かな。次はワイバーンを捕まえるよ。」
零が言って、零達と使者バーンズは100体のワイバーン部隊の上空まで粒子で転移した。
『粒子、ワイバーンを固めて。』
100体のワイバーンは空中で固まった。
「これでよし。さ、バーンズさん、帝国軍の本陣に行きましょう。」
零が言って、零達と使者バーンズは粒子で帝国軍本陣の手前に転移した。
「何者だ!」
「敵か?!」
帝国軍の兵士が零達を見て口々に叫んだ。
「帝都から皇帝の使者として参った、バーンズだ。皇帝の勅書を携えている。ベリンラル副将軍にお目通りを!」
使者バーンズが叫んだ。
「じゃ僕達はこれで。」
零は言ってフェスとリラ、セレスティアと粒子で転移してそこから消えた。
「あ、お待ち下さい!零殿!」
使者バーンズが言ったが、遅かった。
零達は再び戦場の上空に粒子の転移で現れた。
「主、何をするのです?」
フェスが聞いた。
「うん、まずはケガ人の治癒から。」
『粒子、ケガ人を探索、治癒。』
戦場の負傷兵は皆治癒した。
「じゃ今度は王国兵と帝国兵を分けないと。まずは両軍の中間地点に城壁を作ろう。」
『粒子、王国兵と帝国兵の中間地点に城壁を作って。』
零が粒子に命じると高さ50メートル、15階建てのビルの高さの城壁ができた。
城壁は両軍全兵士を包み込む広さで、両軍の本陣まで囲んだ。
広大な城壁の囲いができた。
フェスもリラもセレスティアも度肝を抜かれた。
「一瞬で城壁が両軍陣営と兵士を囲んで、閉じ込めた…」
セレスティアが呟いた。
零達は城壁の上に降りた。
「高いですな〜」
フェスが驚いて言った。
「その上広大です。」
リラは周りを見渡した。
「ははは。戦闘を止めるにはしょうがないよね。」
零が苦笑いした。
「何だこれは?」
「魔法なのか!」
「卑怯だぞ!」
両軍15000人の兵士が北と南の城壁に分かれて、口々に叫んでいる。
「あー!うるさい奴らだ!」
フェスが叫んだ。
「これだけの数が叫ぶと凄いですね。」
リラが不快な顔で言った。
「酷いね。ちょっと声が外に漏れないようにしようか。」
『粒子、音が外部に漏れないようにして。』
零が粒子に命じると一瞬で音がなくなった。
「…静かになった。」
セレスティアが言った。
「じゃ次は両軍兵士を北と南に分けようか。」
『粒子、帝国兵を北に、王国兵を南の城壁の中に移動させて。』
粒子が両軍数千の兵士を空中に浮かせて北と南の城壁内に分けた。
「お〜」
フェスとリラは北と南に移動する両軍兵士を見ながら声を上げた。
「何だ、これは…」
セレスティアは驚愕した。
「これで両軍兵士は北と南の自軍に分かれたね。じゃ固定を解除するね。」
『粒子、固定を解除。』
両軍兵士の固定が解除された。
【次回予告 】
両軍撤退なるか。
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