停戦へ状況説明
零達一行はウライアの王国軍本陣の総司令官執務室に通された。
執務室には総司令官バルハイト公爵、副官クレーラル、大隊長ハーラスがいる。
「閣下、王宮からの親書です。」
隊長レオラルドが言って総司令官バルハイトに親書を手渡した。
「オーエン大義である。何だ、セレスティア、カタリナではないか、久しいな。」
総司令官バルハイトは言いながら、魔法鑑定で何も無い零達をジッと見ている。
零が粒子で鑑定すると総司令官バルハイトはアルベール国王の弟で爵位は公爵、ウライア侵攻の王国軍の総司令官である。
「はっ。」
セレスティアとカタリナとオーエンが言った。
「その者達は何だ。」
総司令官バルハイトが聞いた。
「はっ、零殿はシルビア王女の婚約者です。後の2人は護衛のフェス殿とリラ殿です。」
隊長レオラルドが言った。
「ほう、その少年が王宮を救ってくれた、ジュリアスやシルビアを救ってくれた零殿か。」
総司令官バルハイトが言った。
「零です。後の2人は僕の仲間のフェスとリラです。」
零が言った。
暫く零達を見ていたが、徐ろに親書を開き、読み始めた。
「可能な限り戦闘を控えろと書いてある。帝国と同盟を結ぶつもりのようだ。」
総司令官バルハイトが言った。
「ど、同盟!そんな、今までの戦いは何だったのですか。」
大隊長ハーラスが言った。
「なぜ帝国と同盟になるのですか。理由は何でしょうか。」
副官クレールが聞いた。
「…零殿、どう思う?」
総司令官バルハイトが聞いた。
「はい。親書にはワイバーン部隊の事も書かれているのではないですか?」
零が聞いた。
「ほう、知っているのか。」
総司令官バルハイトの目が少し鋭くなった。
「あと数時間で魔王軍のワイバーン部隊がここに来ます。」
零が言った。
「それは本当か。」
大隊長ハーラスが驚いて聞いた。
「何体のワイバーン部隊なのだ。」
総司令官バルハイトが聞いた。
「はい。100体程です。」
零が答えた。
「ひゃ、100体?!」
大隊長ハーラスが仰天した。
「魔王軍はワイバーン部隊を得て、東の魔物の森は、もう盾にはなりません。」
零が言った。
「北の帝国軍と南の王国軍が戦ってる時に、東から、横から100体のワイバーン部隊の攻撃を受けたら全滅だな。」
総司令官バルハイトが苦笑いした。
「閣下!」
大隊長ハーラスが叫んだ。
「かと言って、ワイバーンのブレスから逃れる術は無い。」
総司令官バルハイトが言った。
「ワイバーンは僕達が何とかします。」
零が言った。
「何とか?100体のワイバーンをどう何とかするのですか。」
厳しい目で副官クレールが言った。
「あははは…なんとか、頑張ります。」
零は苦笑いで言った。
「ワイバーンも問題だが、我ら王国軍が退けば、帝国軍が押し込んで来る。押し込まれればなかなか戻せん。簡単には引けん。」
総司令官バルハイトが零を見て言った。
「はぁ。でもゼノヒィス皇帝も同じ考えのようです。」
零が言った。
「な、皇帝に会ったのか?!」
大隊長ハーラスが怒声を上げた。
「はぁ。色々あって、最近、僕達は帝国の名誉騎士になって、僕はイザベラ王女と婚約しました。」
零が申し訳なさそうに言った。
「な、何だと!お前達、敵騎士なのか?!」
大隊長ハーラス又叫んだ。
リラが軽く会釈した。
フェスが不敵に笑った。
「捕らえよ!」
副官クレールが鋭く叫んだ。
執務室にいた王国兵士達が零達に殺到した。
「主、ここは我にお任せを!」
フェスは少し喜んで狼牙剣を抜いた。
零はその王国兵士達を全て粒子で固めた。
「フェス、やめなさい。」
零は呆れて言って、フェスも粒子で固めた。
「閣下、僕達は王国の味方です。でも帝国の敵ではありません。今から帝国軍にワイバーン部隊の事を説明して、王国軍が押し込まれる事の無いよう、一時停戦する事をお願いして来ます。」
零が言った。
「…帝国軍が拒否したら?」
総司令官バルハイトが真剣な顔で言った。
「その時は仕方ないので実力行使で帝国軍を止めます。」
零が笑顔で言った。
「ワハハハハハ!そうか!では帝国の事は零殿に任せよう!セレスティア、零殿に同行せよ、カタリナ、零殿とイザベラ王女との婚約の事、残って詳しく説明せよ。」
「はっ。」
セレスティアとカタリナが答えた。
「じゃ、帝国に行って来ます。」
と言って、固めた王国兵士達を解除して、零達は粒子の転移で消えた。
帝国皇宮謁見の間。
「よいな、その親書をウライア戦線の副将軍ベリンラルに届けよ。」
皇帝ゼノヒィスが言った。
「はっ」
使者バーンズが拝命した。
「失礼します。」
謁見の間の扉を守る黒騎士が入って来た。
「何だ?」
黒騎士長デュンデが言った。
「名誉騎士零殿とフェス殿とリラ殿、王国の近衛騎士セレスティアが、あの、来られました。」
黒騎士が言った。
「何だそれは、しっかり伝えんか!」
黒騎士長デュンデが怒った。
「はっ。既に扉の外に転移して来ておられます。緊急だと申しております。」
黒騎士が言った。
「はぁ?転移魔法?まったく魔力を感じなかったんですけど?!」
黒魔法士クラリッサが焦って言った。
黒騎士長デュンデが皇帝ゼノヒィスを見た。
皇帝ゼノヒィスが頷いた。
「お通ししろ。」
黒騎士長デュンデが言った。
【次回予告 】
停戦の親書は間に合うのか。
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