王宮に戻る
零達はイザベラ王女達を連れてグランバルト王国の王宮の謁見の間に粒子の転移で戻った。
「アルベール国王、お久しぶりです。イタリウス帝国第二王女イザベラです。この度晴れて零様と婚約し、学園卒業と同時に式を挙げる事となりました。」
イザベラが満面の笑みで国王に挨拶した。
国王、宰相、騎士長が呆気に取られている。
零は気まずそうに横を向いている。
「帝国での零様の働きは素晴らしいものでした。ワイバーン、ハイオークを倒し、城壁を直し、民と兵を救い、我が兄を救い、皇宮を救ってくれました。その上、戦の後我が最愛の姉上を病から救ってくれて…」
イザベラ王女が国王に言った。
「待たれよ、イザベラ王女。婿殿と婚約とは何の事だ。」
アルベール国王がイザベラ王女の話を遮って聞いた。
「はい。零様の今回のお働きに皇帝陛下はいたく感謝し、名誉騎士の称号と、私との婚約をお決めになられました。」
イザベラ王女が言った。
「婿殿、これはどう言う事かな。」
アルベール国王が怒りを抑えて言った。
「はぁ、何と言えばいいのか…なんか、すみません。」
零は申し訳なさそうにした。
「主、妻が2人3人の者もおるではないですか。」
フェスがあっけらかんと言った。
「フェス、やめなさい。」
零が小声で言った。
「イザベラ王女、色々お疲れであろうから、別室にて休まれるがよかろう。」
アルベール国王が顔を引きつらせて言った。
「お心遣いに感謝いたします。でも私は妻であると共に、零様の騎士でもありますの。零様のお側に使えます。」
イザベラ王女が言った。
「つ、妻…婿殿もお疲れであろう。今日の所は退がって休まれよ。セレスティア、カタリナ、帝国での事を報告せよ。」
アルベール国王が言った。
零はトボトボと謁見の間を出た。
フェスとリラ、イザベラ王女と黒騎士フィオナとクロムエルが後に続いた。
「帝国での戦はどうであった?」
零達が謁見の間を出た後、普段の顔でアルベール国王が聞いた。
セレスティアとカタリナが帝国での戦闘を報告した。
報告を聞いたアルベール国王も宰相フランツも騎士長レグルスも絶句した。
「零殿の力はそれほどのものなのか。」
宰相フランツが聞いた。
「魔導士クノスバが使った魔法は何だった?」
騎士長レグルスがカタリナに聞いた。
「わからないわ。零達と同じで気配すら感じられなかった。クノスバは化け物よ。」
カタリナが答えた。
「4000体の魔物を宙に浮かせて一瞬で…」
アルベール国王が呟いた。
それからセレスティアは皇宮での事を報告した。
「あのタヌキめ。」
アルベール国王が苦々しく言った。
「申し訳ありません」
セレスティアが謝罪した。
「よい。あのタヌキが相手では仕方あるまい。」
アルベール国王が諦めた様に言った。
「フレリック将軍の言葉、気になりますな。」
宰相フランツが言った。
「ふむ、皇帝が言わしたのであろうがな。」
アルベール国王が言った。
「あれは皇帝の指示だったのですか?」
セレスティアが聞いた。
「…将軍フレリックは皇帝に断りもなく、帝国に関する事を話すなど、ましてや敵国の近衛騎士に漏らすような奴ではない。」
アルベール国王が答えた。
「それでは、なぜあの様な事を言ったのですか?」
セレスティアが聞いた。
アルベール国王がチラッと宰相フランツを見た。
「まずは将軍の言葉を、我が国王にお伝えする為。本当なら王国にとっても良い事ですが、しかし罠かも。我々にそう思わせて何かを企む。」
宰相フランツが答えた。
「タヌキのやる事だからな。面倒な事だ。」
アルベール国王が面倒くさそうに言った。
カタリナがクスッと笑った。
「それに加え、あのイザベラ王女。あの年で騎士並の剣の実力、物怖じせぬ気性と噂だ。偽名を使って敵国の学園に通う強者だ。」
アルベール国王が言った。
「あの皇帝が零殿のお相手に、帝国の至宝と言われるイザベラ王女を選ぶとは。」
宰相フランツが言った。
「そう言えば、イザベラ王女が妙な事を言っておった。姉の病を婿殿が救ったとか。」
アルベール国王が言った。
「はい、皇帝との会見の終わりに零殿はイザベラ王女の姉上の病を治しにいきました。」
セレスティアが言った。
「エルサナ第一王女は才女と名高い人。しかしここ最近は公式の場には出ておりませんでした。」
宰相フランツが言った。
「セレスティア、カタリナ、帝国のエルサナ王女の事、上手く聞き出せ。零殿やリラ殿は口が固い。フェス殿なら何か話してくれるやもしれぬ。」
アルベール国王が言った。
「はっ。」
セレスティアとカタリナが答えた。
「もしやすればタヌキの言うように、良い方に転ぶやもしれん。儂とタヌキ次第でな。」
アルベール国王が独り言のように言った。
零は王宮をトボトボ歩いている。
「主、元気がありませんな。どうしました?」
フェスが聞いた。
「うん、イザベラ王女との婚約の事をシルビア王女になんて説明しようかと思って…」
零が元気なく言った。
「シルビア王女もご自分の婚約者が、私と婚約できたと聞いたら喜ぶに決まっているわ。」
イザベラ王女が元気よく言った。
「あははは。そうだね。」
零が困った顔で笑った。
前からシルビア王女と騎士ルティナとクノーラが歩いて来た。
「零様!」
シルビア王女が嬉しそうに手を振って早足に歩いて来た。
【次回予告 】
王女同士初対面。
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